現実世界を3Dモデル化、注目高まる空間知能技術による「ミラーワールド」

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現実世界を3Dモデル化、注目高まる空間知能技術による「ミラーワールド」

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次世代通信5Gの全面的な拡大とAI技術の成熟にしたがって空間知能技術も注目されるようになってきた。「空間知能(Spatial Intelligence)」とは空間コンピューティングとAI技術を通して、空間・シーン・データ・ユーザーをつなげ、そこに時間という次元も取り入れてユーザーの感知できる世界を広げることを指す。代表的な例が、この空間知能技術に特化したベンチャー企業「Deep Mirror(宸境科技)」が開発した「ミラーワールド」。複数人がリアルタイムで共有可能な、現実世界の土地、道路、建築物等の3Dデジタルコピーだ。こうした試みは「5G+AI+AR時代」の新技術・新サービス開発にとっての重要なインフラになる可能性を秘めている。

Deep Mirrorの雷加貝CTO(最高技術責任者)によると、空間知能技術によって人間とコンピューターのインターフェースは二次元から三次元になるという。人々はより効率的で直観的にコンピューターとコミュニケーションしそこから情報を取得することが可能になる。なかでもスマートシティは空間知能技術の主な実用化シーンの一つだ。同社はすでに広州市南沙区と提携して「明珠湾ミラーワールド」をリリースしている。

精鋭ぞろいの技術チームで困難な研究に挑む

Deep Mirrorは自動運転技術トップクラスの中国スタートアップ「Pony.ai(小馬智行)」の元COO兼代理CFOの胡聞氏、同企画責任者で国際情報オリンピックの金メダリストでもある漆子超氏、グーグルの先端技術研究機関「Google X Lab(現X)」の初期メンバーであった雷CTOを初め国内外の名門大学を卒業したそうそうたるメンバーで構成されている。

同社によると、30人余りの創業メンバーはみな米「ウェイモ(Waymo)」やグーグル、Facebook、百度、ドローン開発企業「DJI(大疆)」などトップレベルのテクノロジー企業での経験を持ち、半数を超えるメンバーに自動運転開発企業での経験があるという。このほかコンピュータ科学のノーベル賞とも言われる「チューリング賞」唯一の華人受賞者で、清華大学交叉信息研究院(IIIS)院長を務める姚期智氏の協力を得て、今後は中国トップレベルの清華大学の中でもさらに厳選された学生で構成されるコンピューター科学実験班(通称「姚班」)や人材などの方面で密接に提携していくという。

創業メンバーの持つ技術をベースに、同社は「空間知能クラウド」「3次元NLU(自然言語理解)」「VIO(Visual Inertial Odometry)+リアルタイム位置情報と地図の構築」「センサー融合」「マルチエージェントシステムを利用した深層学習」「クラウドエンジン」という核心技術チェーンを構築したいとしている。

都市レベルのミラーワールド「Mirror Verse」をリリース

同社は2019年7月に広州市南沙区に設立され、空間知能技術やAR(拡張現実)技術のプロジェクトと資本に関して現地の政府と提携を進めている。現在、南沙区で前述の明珠湾ミラーワールドの運用を行っている。

ミラーワールドは同社の核心技術を総合的に応用したものだ。明珠湾ミラーワールドは、建設予定の建築物や景観、デザインなどを現在の風景に付け加え、米マイクロソフト社のMRヘッドセット「Hololens(ホロレンズ) 2」や携帯電話端末を通して未来の明珠湾ビジョンを表示する。具体的には以下のような三つの特徴を持つ。一つ目はシェアすることができ、持続可能な空間スマートクラウドと現実世界の座標を統合することができる。二つ目はリアルタイムで複数のユーザーと同期や更新ができる。三つ目は新しい技術の枠組みを利用することで、プラットフォームを超えたロバスト性の高いインタラクティブ体験ができることだ。

今後南沙区では、明珠湾を中心とした自由貿易区全体のミラーワールドを構築する予定だ。

明珠湾ミラーワールド適用前後の比較図

同社の首席アーキテクトである漆子超氏によると、関連技術が徐々に成熟していくことで、空間知能クラウドやミラーワールドが「5G+AI+AR時代」の重要なインフラになるという。それと同時にソーシャルやエンターテインメント、情報取得などのシーンを支えるものとして、根本的に人々のライフスタイルを変えることになるという。南沙区ミラーワールドの実用化によって同社の技術発展はさらに加速するだろう。

Deep Mirrorはエンジェルラウンドなどですでに数百万ドル(数億円)を調達しており、「IDGキャピタル」の元パートナー楊飛氏とテック企業の創業者数人が共同出資している。

(翻訳・山口幸子)

(編集・後藤)

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