暗号化したままデータ解析可能な「秘密計算技術」、プライバシー保護のジレンマを解決へ

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デジタル経済時代において政府、企業、個人に富をもたらす「宝の山」となりうるのが数々のデータ。そのすべてを暗号化することは、この核心的資産を保護する上で最も有効的な方法だ。しかし従来の技術では、データから付加価値を生み出すための集計・分析作業には暗号化されたデータを復元してから演算する必要があり、その場合はデータセキュリティーの面で大きなリスクを伴う。こうしたジレンマを解決するのがデータを暗号化したまま解析できる「秘密計算技術」だ。中国の「鍩崴科技(NVXCLOUDS、以下NVX)」はこの分野で注目を集めており、このほどシリーズA(企業創生期のベンチャー投資を受ける第一段階)投資として、啓明創投(Qiming Venture Partners)から数千万元(数億円)の出資を受けた。

現在、集積されたデータから有用な知識などを引き出す「データマイニング」のプロセスにおいては、暗号化されたデータをどう演算処理するかがボトルネックとなっている。データの分析側はデータ所有者の機微情報を知ってはならないが、データ使用者にデータの演算結果を間違いなく提出しなければならないというジレンマがあるからだ。NVXはプライバシーを保護したままデータマイニングを手掛ける業務を展開するテック企業で、中心メンバーはシリコンバレー出身者。「プライバシー保護クラウドコンピューティングプラットフォーム」を構築し、データの「活用可能化と不可視化」の両立を実現、演算過程での機微情報を含むオリジナルデータの漏えいリスクを回避し、ユーザーのプライバシー情報と企業機密を保護している。

同プラットフォームはセキュアマルチパーティ計算などの暗号化計算技術、ブロックチェーン技術および効率的なITインフラの一種であるHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)を採用。コンプライアンス範囲内でのデータ所有者、データ使用者とデータ管理者などの権益保護を前提に、多元的なデータ分析をリアルタイムで行ない、データ保存、送信と演算のすべての過程におけるプライバシー保護の問題を解決しつつ、演算フローの完全性と信頼性を保証した。

同社のソリューションはすでに医療・ヘルスケア、金融などビッグデータセキュリティーとプライバシー保護が必要な分野で用いられている。また、中国医療情報ビッグデータ国家チームと緊密に提携、ローカルおよびクラウド上の医療データのプライバシー保護とセキュリティーを保障している。現在の提携事例では、各クラスの病院で医療データの安全な転送と共有、新型コロナウイルスの感染拡大のモニタリングと分析、新薬開発、安全性情報監視、全国民の健康管理などへのサポートを提供している。

秘密計算は非常に高度な技術要件を求められる業界である。チームには専門技術が必要な上、ハイレベルなエンジニアリング力も求められる。同社は秘密計算の研究者王爽教授が先頭に立ち、生命情報科学(バイオインフォマティクス)の科学者鄭灝博士と共同設立した企業であり、ビッグデータの秘密計算、生命・医学情報の知識を有する中心的なチームを有する。

王爽教授は米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で助教を務め、現在は上海同済大学医学部の准教授である。秘密計算の研究を進め、国際的な特許やソフトウエア著作権を多く有している。また、同分野で最も権威ある月刊ジャーナル誌「Nature Biotechnology」の査読なども担当し、国際的な専門誌の客員編集員や特集号の編集主幹も務める。王教授が指導して開発した「大規模ゲノムデータセキュリティー分析システム」は、インテル社の「優秀貢献賞」を得ている。

鄭灝博士は共同創業者で、米ジョージア工科大学で生命情報科学の博士号を取得、シリコンバレーでの豊かな経験を有する。特許やソフトウエア著作権10件余りを有し、学術出版社エルゼビアの「Digital Signal Processing」誌の編集、「Briefings in Bioinformatics」誌など国際的に権威ある雑誌の評議委員を務める。国際生命情報科学と計算生物学の国際会議委員会メンバーでもある。鄭博士が率いるチームが研究開発したDNAシークエンシング製品の多くがアメリカ食品医薬品局(FDA)と体外診断用医療機器(CE-IVD)の認証を得ている。

(翻訳・lumu)

(編集・後藤)

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