政府のDX推進に注力へ、アリババと中国聯通で合弁会社を設立

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近年のクラウドサービスや5Gの成長で、政府や大手企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX。デジタル化による業務の根本的変革)のニーズが高まっている。しかし、こうした顧客のニーズは一般消費者よりはるかに複雑で、技術をどのように実用化するのかが課題である。

「雲粒智慧(yunlizhihui)」はこうした政府、大手企業向けのデジタル・トランスフォーメーションサービスを専門とする企業である。2018年に設立された同社は、「中国聯通(チャイナ・ユニコム)」と「阿里雲(アリババクラウド)」が共同出資しており、持株比率はチャイナ・ユニコムが51%、アリババクラウドが34%、従業員持株が15%である。同社は全国100近い政府機関やさまざまな業界の顧客にソリューションと製品を提供しており、業種はスマートシティ、環境保護、緊急事態対処、警察、公的サービスなど多岐にわたる。

同社はまだ事業の方向性を模索している段階だが、昨年、水利・環境保護事業の売上高が全体の1/3を占めたことからも分かるように、すでに重心が明確になりつつある。大型事業としては、チャイナ・ユニコムが中心になって進めている無錫の河長制(地方政府のトップが当該地域の河川の環境保護の最高責任者を兼務する制度)によるプロジェクトや雄安新区の環境スマートモニタリングプロジェクトにおいて、雲粒智慧のソリューションが採用されている。

株主がチャネルを提供してくれるため、雲粒智慧は市場開拓をする必要がなく、製品の開発とサービスに集中することができる。筆頭株主であるチャイナ・ユニコムは全国32の省・自治区・直轄市に政府機関・大手企業向けの営業チームがあり、雲粒智慧はこれらを利用することができる。

同社の製品はクラウド・コンピューティング、ビッグデータ、AI、IoTに基づくプラットフォームである。なかでも特に各業界向けの実用化とサービスの更新を支えるミドルプラットフォーム(企業などの内部プラットフォーム)に注力している。

デジタル・トランスフォーメーション分野では技術開発に特化した企業もあるが、雲粒智慧は実用化をより重要視している。例えば北京市西城区向けの都市管理ソリューションでは、違法な工事や道路の占用行為を防犯カメラで識別できるようにし、また、行政ホットラインに音声認識機能を組み入れ、質問内容によって自動的に関連情報を呼び出し、コールセンターの効率を上げるといったカスタマイズを行った。

同社の湯子楠CEOは、技術でトップを走るのではなく、サービスの向上を目標にしており、人間によるきめ細やかなサービスを提供していきたいと語る。

このような位置づけのため、今後同社は開発チームと実用化チームを分け、中国各地に実用化センターを設置する形で規模拡大を目指すとしている。2019年に華中実用化センターを立ち上げ、今後全国で4つの実用化センターを建設する予定だ。事業の展開状況によっては実用化センターが子会社となる可能性もある。

(翻訳:小六)

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