遠隔操作可能のシート型消火剤 低コストで自家火災予防

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中国の消防設備産業は2017年に市場規模が3000億元(約4兆5000億円)を超えて巨大産業に成長したが、技術革新の遅れた小規模企業が多く、市場は分散している。

現状では家庭用消防設備の普及も進んでいない。古い居住区では消防設備が不十分な上、消防車の進入がままならない場所も多い。消防設備を完備した集合住宅でも、人々の防災意識が低いため、適切な管理がなされてないケースが散見される。しかも、大半の都市で配備されている消防車では、高さ50メートルを超える高層ビルの消火・救援活動に十分対応できないという問題もある。

この現状を変えるべく、「上海聯捷消防科技(Shanghai Legion Fire-fighting Technology)」は家庭および企業向けに手軽でコストパフォーマンスの高い消防ソリューションを提供している。同社のソリューションは多機能スマート感知機、海外製の低圧ウォーターミストシステム、自動消火シートという三つの主力商品から成っている。火災感知器はそれ自体が警報を発するだけでなく、WeChatを利用したリモート通知にも対応しており、ウォーターミストシステムと連動して消火作業を行うことができる。

この総合ソリューションは、最低限の費用と手間で最大限の安心を感じてほしいとの思いから生まれたという。それは主力3商品の特徴からも見てとれる。

上海聯捷が開発した多機能スマート感知器は、熱や煙など単一のシグナルのみを検知する従来型の感知器とは異なり、多様なシグナルを検知するセンサーを搭載しており、環境や物品、人の行動など複数の要素から総合的に判断できるため、感度を高めつつ誤作動率を引き下げることに成功している。火災による煙、高温、ガス漏れのほか、不法侵入や盗難、住人の異常に対しても常時監視を行い、異常を感知すると直ちに警報を発する。機器を電源につなぎ、WeChatでQRコードをスキャンしてインストールすれば、スマホに警報が届くという手軽さが魅力だ。

統計によれば、出火原因として最も多いのは電気設備関連だという。家庭の分電盤やスマートフォンの充電器、コンセントなどは配線の不具合や劣化などから出火しやすく、直ちに消火しなければカーテンなどの内装品、家具、衣服類に燃え広がる可能性が高い。分電盤やコンセントなど電気火災の初期消火を行うために上海聯捷が開発したのが、火災の起きやすい場所に貼るだけの自動消火シートだ。

消火シートの主成分はナノレベルのマイクロカプセルで、背面が粘着テープになっている。分電盤などの密閉された空間に貼っておくと、火災時の熱でマイクロカプセルが破れて消火剤が放出され、初期消火を行えるというものだ。商品サイズはコンパクトな5×10cmで、カットして使うこともできる。同商品は国内の権威ある検査機関の認定を受けており、ショッピングモール、電力会社、物流倉庫、化学工業メーカーなどで実用が始まっている。今後、市場の拡大と販売増が進めば、生産コストは大幅に下がるとみられる。

低圧ウォーターミストシステムはデンマーク製で、水道水を直接利用するためポンプや貯水タンクは不要。使用する水量はスプリンクラーや消火栓に比べてはるかに少ないものの消火効率は大きく向上しており、大量の水を使用する従来の方式で生じていた二次被害を防止できる。さらに多機能スマート感知器との通信機能を追加したことで、消火機能の自動作動やリモート起動を行えるようになった。

ビジネスモデルにも工夫が見られる。創業者の劉益民氏によれば、これまで消防設備を市場に投入するには設計、工事、メンテナンスなど専門の業者をいくつも介する必要があり、多大の時間と費用がかかっていたという。そこで同社は高級住宅の管理会社や不動産会社と直接交渉し、同社の消防設備パッケージを標準仕様として導入してもらうことを計画している。不動産会社側にとっても、少ない費用で手軽に「安全な家」というセールスポイントを打ち出して競争力を増すことができる。

上海聯捷の設立は2017年。創業者の劉氏は中国科学技術大学卒で安全工学を11年学んだ後、12年にわたって安全設備の研究開発や企業の安全管理に従事してきた。同社は現在、製品の実用化が始まったことを受け、エンゼルラウンドでの資金調達を進行中。
(翻訳・畠中裕子)

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