高齢者看護のデジタル化が進む中国 事業に政策的な追い風も

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高齢者看護のデジタル化が進む中国 事業に政策的な追い風も

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「インターネット+看護サービス」アプリの「金牌護士(goldnurse.com)」を運営する「北京美鑫科技(Beijing Meixin Keji)」は、シリーズA+で数千万元(数億円)の資金を調達した。新たに加わった数名のパートナーが今回の主な出資者となっている。同社は調達資金をサービスの向上と事業拡大に充て、「インターネットと医療・介護の融合」というビジネスモデルを進める。2019年にはシリーズAで「誠通置業(Chengtong Zhiye)」から資金を調達していた。

同社は「インターネット+看護サービス」でオンラインとオフラインを融合するOMO(Online Merges with Offline)企業だ。中国では現在、高齢者向け訪問看護の需要に供給が追いつかず、高齢化に伴う要介護高齢者の増加や、要支援高齢者が効果的なケアを受けられないことが問題となっている。さらに病院が病床稼働率を高めようとしているため、退院した患者が質の高い看護を受けにくくなっている。

同社は、オンラインでインターネット看護情報プラットフォームの金牌護士を運営し、オフラインで医療看護サービス機関の「美鑫医療連鎖看護站」を展開、オンラインとオフラインが連動する立体的なビジネスモデルを確立した。

2015年にライドシェア企業「滴滴出行(Didi Chuxing)」の看護師版を目指して設立された同社は、事業戦略、製品、組織の方向性が次第に固まり、OMO訪問看護が主要事業となった。共同創業者でCEOを務める丁少磊氏は、個人と協力する「淘宝(タオバオ)」モデルから病院と協力する「天猫(Tmall)」モデルへ進化したと説明している。

現在は病院と提携し、インターネット看護SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)プラットフォームを構築し、退院した患者に継続的な看護サービスを提供。また、看護サービスや人材育成を行う「護理工作室」を設立すると共に、上流部門のサプライチェーンから消耗品を供給することで、循環型のインターネット看護サービスを提供している。

丁少磊氏によると、同社は「航空総医院」との試験事業を通じて標準化された運営方法を確立し、それをもとに300カ所余りの病院と提携してサービスを展開。地方政府との提携も開始し、都市レベルでの「インターネット+看護サービス」プラットフォームを共同で構築している。

「病院との提携を通じて効率的な参入ルートを見つけ、経営指標が大きく伸びた」という。現在、プラットフォームサービスは全国400都市以上に登録看護師が18万人、提携医療・介護機関が300件余りとなっており、利用者は延べ500万人に上る。

またこの1年で、オフライン展開する「美鑫医療連鎖護理站」は長期介護保険に頼ることなく単独での黒字計上に成功した。今後は長期介護保険と事業保険が急速に発展し、高齢者の長期看護サービス利用料の支払い問題も解決すれば、同社の収益は大きく拡大すると見込まれる。

オンラインとオフラインの融合が進む中、金牌護士による診療アフターサービスの提供能力とリスク管理能力を活かし、同社は保険会社と商品や立替、支払査定などで提携し、診療アフターサービスの競争力を高めている。

昨年第4四半期(10~12月)以降、同社は複数の保険会社と提携を結び、事業を急速に拡大した。

政策的にも「インターネット+看護サービス」にゴーサインが出た。2月12日には中国国家衛生健康委員会(NHC)が北京市、天津市、上海市、江蘇省、浙江省、広東省を「インターネット+診療サービス」試験地区に指定し、サービスの規格化を進める通知を発表。業界全体が新たな局面を迎えている。

丁少磊氏は、OMOのビジネスモデルがすでに軌道に乗ったと説明した上で、現在は医療と介護が融合する新型総合サービス事業者を目指す戦略に着手しており、共同経営方式によって全国で1000カ所以上の「美鑫医療連鎖護理站」を展開するために提携先を選んでいることを明らかにした。

同社は今回、資金をパートナーから調達し、新たに関志康氏、呉忠氏、劉利民氏をパートナーに迎え入れた。聯席董事長の関志康氏は、香港で訪問看護関連事業を手掛ける企業として唯一上場している「百本医護(Bamboos)」の創業者。呉忠氏は「南南合作金融中心(FCSSC)」の事務局長と「東英金融(Oriental Patron)」の役員を、劉利民氏は米NASDAQ上場企業の役員を務めている。

また、同社は新たな資金調達も計画しているもようだ。
(翻訳・神戸三四郎)

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