未公開株管理の「易参」が数億円調達、スタートアップのストックオプション運用を標準化へ

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未公開株管理の「易参」が数億円調達、スタートアップのストックオプション運用を標準化へ

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プライマリーマーケットでの株式管理を手がける「易参(Inssent)」が「順為資本(Shunwei Capital)」「源碼資本(Source Code Capital)」などから数百万ドル(数億円)に上るプレシリーズAの資金調達を行ったと発表した。

同社は2017年末に設立、データとアルゴリズムを駆使した業界標準化ソリューションを提供することで、顧客企業のストックオプション運用や株式の流動性向上を後押ししている。

「資本設計(エクイティ管理)」は、ビジネス界の細分化が進む中で生まれてきた業種だ。これまで中国では弁護士事務所やコンサルティング会社がエクイティ管理を担当してきた。しかしその業務は、個人的な経験に基づくものが多く、データの裏付けがないだけでなく、仕事が遅いわりに料金が高額だったりするため、サービスを利用する企業は少なかった。

易参は株式管理に関するノウハウやテクニックを構造化し、業界データとアルゴリズムを活用することにより、様々な発展段階にある企業に対するローコストかつ高効率なサービス提供を可能にした。米国では、第三者による株式管理は成熟産業となっている。易参が目標としているのは米国の「Carta」だ。Cartaは米国のプライマリーマーケットで最大のエクイティ管理と取引を行うプラットフォームだ。同社は2019 年にシリーズEで3億ドル(約320億円)の資金調達に成功、評価額を17 億ドル(約1800億円)とした。現在は顧客企業1万4000社を抱え、数千億ドル(数十兆円)相当の株式資産を管理している。

易参の創設者、黄怡然氏によれば、企業が自社の株式管理をする際、二つの問題に直面するという。一つ目はストックオプション活用においてリスクの予測がつかないことや情報の不透明性だ。これについては2018年7月に運用を始めたSaaS製品「易参inX株式管理システム」が解決する。二つ目の問題は、経営者が業界データや専門家の意見を参考にしながら意思決定の合理性を論証する必要があることだ。これについては19年7月に運用を始めた「BI 推薦アルゴリズムシステム」が経営者の意思決定をサポートする。

inXシステムの画面

SaaSを使用した類似製品は他にもあるが、黄氏によれば易参の競争力は製品化能力と、製品の迅速でこまめな更新によって上場を目指す企業のニーズを満たすことができる点にある。また業界データ、推薦アルゴリズム、ライフサイクル全体に及ぶ株式管理を提供することで、アナリスト個人の経験に依存することや、多くの人材を分析に投じる必要がなくなる。コンサルティングをシステム化することで、根拠があり正確なデータ提供だけでなく、その効率も大幅に向上させることができた。1人のコンサルタントが1年間に50~100の案件をこなせるようになるため、顧客数、売上高、利益のいずれの面においても易参が類似製品をはるかに凌駕している。

ストックオプション提案例

易参の製品は単なるストックオプションの管理ツールではない。ライフサイクル全体に及ぶ株式管理システムなのだ。株式の発行や買戻し、持分に関する権利行使などの管理だけでなくinXシステムでは資本政策表(キャップテーブル)も生成されるため、経営者が資本構成を把握して正確な決定を下すことができる。さらに資産状況や自社の必要に応じ、株式流通サービスも提供する。ストックオプションはインセンティブ制度の一部でもあり、財務コストや税務負担が生じるため、将来的にはHR(人事)SaaSや財務・税理SaaSとの連結も計画している。

inXシステムの資本政策表

易参がサービスを提供する顧客は現在、約1000社に上る。2019年には顧客数が18年の3倍になり、売上高も4倍になった。料金徴収は、株式管理のアカウント使用料を徴収するサブスクリプション制と、個別の特殊な案件ごとの案件制の2種の方法がある。

易参は今回の資金調達後、より多くのサービスモデルを提供し、現在の主な顧客層であるニューエコノミー企業に加え、オールドエコノミー企業も取り込んでいく方針を示している。同社にはまた、華東および華南支社を設立し、周辺地域の顧客企業へのサービスを充実させる計画もある。現在、シリーズAでの資金調達が始まったところだ。

(翻訳・近藤)

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