環境衛生のデジタル化が進む中国、IoTとAIで清掃業務の高効率を目指す

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環境衛生のデジタル化が進む中国、IoTとAIで清掃業務の高効率を目指す

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人々の日常生活にとって環境衛生は欠かせないものだ。街中の環境衛生を保つために、朝早くから夜遅くまで働く清掃員、街中をくまなく走り回る清掃車、街中の至るところにあるごみ箱や各種ごみの収集、運搬、処理などを行う企業などが、巨大なシステムを構成している。

しかし現在、これらの事業を手掛ける業界はデジタル化があまり進んでいない。多くの企業がなお人の労働力や経験に頼った運営をしており、データを利用してコスト削減や効率化を行うことが難しい状況だ。36Krが今般取材した「酷陸科技(Coollu Network Technology)」は清掃関連の事業者に高効率のIoTデータサービスを提供するテック企業だ。

同社は清掃業者と清掃関連設備のメーカーに、ソフト・ハードウエアが一体となったシステムソリューション提供している。同社の羅舟路CEOは取材に対し、現在市場には二つの課題があると語った。

まず一つ目は、従来の清掃業者には清掃設備、清掃員、清掃エリアのごみ分布状況など重要なデータの取得が難しく、有効に利用するすべがないことだ。そのため設備が遊休状態になったり、総合的な使用率が低くなる等の状況が発生しやすい。二つ目は清掃設備の運行状況のデータがないため設備のメンテナンス効率が悪くなり、故障率が高くなることだ。

これらの問題に対し、酷陸科技はIoT技術を利用して清掃事業の関連データを収集。そのデータをAIアルゴリズムで分析することによって、高効率の運営ソリューションを導き出すことができるという。羅CEOはまた「最終的な目標は清掃業者の総合的な設備使用率を向上させ、設備の遊休率と故障率を低下させることだ」と語った。

データ収集端末に関して同社は、ごみ箱に搭載してその位置情報や、ごみが満杯になった際にセンターにその情報を発するICチップ「酷陸雲桶芯片」、清掃員の管理に使うスマートブレスレット「酷陸雲環」、設備のスマートメンテナンスや故障予測サービスに使う「酷陸雲盒」などを自社開発している。

清掃関連データの分布図

システムに関して、同社には25年以上にわたって積み上げてきた環境衛生設備関連の技術があり、「デバイス・フィンガー・プリンティング」と呼ばれる端末識別技術を通して業界初となる設備の故障識別データベースを構築している。個々の設備と、故障の特徴をデータベースで照合し、さらにアルゴリズムを利用したAIで診断することにより、清掃設備の故障診断が可能となり、メンテナンスのアドバイスもできる。

羅CEOによると、同社のソリューションを採用した企業は、設備の故障で作業に支障をきたす時間が35~45%減少し、設備の稼働効率が50~55%向上。メンテナンスにかかるコストは20~25%減少し、全体的なコストも10~15%減少したという。

故障やメンテナンスなどのアラート画面

羅CEOは自社の競争力は「データ」にあると考えている。酷陸科技は清掃設備のデータを長年にわたって蓄積しており、そのデータとプロジェクトの運営データを組み合わせることで、清掃業者に高効率の車両配置や設備メンテナンスなどを含むデジタル化運営システムを提供することができるからだ。

収益モデルに関しては、同社の主な売り上げはプロジェクト全体のソリューションとそこから派生するデータサービスによって成り立っているという。

経済の発展に伴い、政府の環境衛生事業に対する投資もますます大きくなっており、中国国内の環境衛生市場も拡大している。国家統計局のデータでは、2018年の都市および農村の環境衛生関連の財政支出は2500億元(約3兆7500億円)に達し、過去3年間は平均16.7%前後で成長しているという。「東方証券(ORIENT SECURITIES)」のリポートでは2019年の全国の環境衛生市場の規模は2200億元(約3兆3000億円)に達しており、2020・2021年の成長率はそれぞれ11.9%・7.6%となる見込みだ。環境衛生サービス業界における新規の契約も増加しており、新規の注文金額だけを見ると2017年では前年同期比34.5%増の301億元(約4500億円)、2018年では同62.9%増の491億元(約7365億円)となった。

現在、環境衛生関連の業界では「僑銀環保(Qiaoyin Enviromental Protection)」「玉禾田(EIT Environmental Development Group)」などの上場企業の売上総利益率が20~30%の間となっており、デジタル化によるコスト削減と効率向上のニーズは大きい。

(翻訳・山口幸子)

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