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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「密」を避けるため、自動化や無人化への認識が著しく高まっている。短距離物流配送の自動運転企業などもこのビジネスチャンスを狙っている。
低速自動運転配達車など自動運転技術開発の新興企業「ニューロ(Nuro)」がこのほど、米ドラッグストア大手の薬局サービス「CVSファーマシー(CVS Pharmacy)」との提携を発表。テキサス州ヒューストンの一部エリアの住民にCVSの薬を配達するという。ニューロはトヨタのプリウスでの配達を行い、今後はカスタマイズした配達用小型EV「R2」を段階的に使用する計画だ。
CVSファーマシーの公式サイトかアプリで薬や日用品を購入したあと、ニューロ自動運転無料宅配サービスを選択する。現時点での配達エリアはテキサス州ベルエアの一部地域となっている。無人配達車が到着すると、購入者はIDカードをカードリーダーにかざし、読取りが終われば荷物を受け取ることができる。車内には運転手はおらず、荷物が載せてあるだけだ。
米ドラッグストアチェーン・ヘルスケア大手「CVSヘルス(CVS Health)」の店舗運営上級副総裁のライアン・ランバーガー(Ryan Rumbarger)氏は声明の中で、新型肺炎感染拡大中においては、宅配ニーズが増加傾向にあった。消費者が薬局に行けないときに、薬の宅配はベストな選択だとの考えを示した。
今回のCVSとの提携によって、ニューロによる無人宅配の対象範囲がスーパーの日用雑貨から医療・ヘルスケアに広がった。医療・ヘルスケア分野でのニューロの模索は先月にはすでに始っている。新型肺炎感染拡大時期には、カリフォルニア州サンマテオとサクラメントの病院に食品や薬品などの防疫物資を配達している。
ニューロは2018年末から世界食品最大手のスーパーチェーン米「クローガー(Kroger)」と共同で消費者向けの自動運転宅配サービスを推し進めており、現在はアリゾナ州フェニックスのスコッツデールで運営をしている。さらに2019年末、ニューロは米小売大手ウォルマートと提携、ヒューストン地区ではウォルマートの消費者向けに宅配サービスを行っている。
ニューロは2016年創業。グーグルの自動運転チームの前首席エンジニア出身の朱佳俊(Jiajun Zhu)氏とデイブ・ファーガソン(Dave Ferguson)氏が共同で創立した。2019年2月にはソフトバンク傘下のビジョン・ファンドから9億4000万ドル(約1022億円)を調達し、2018年初にはシリーズAで9200万ドル(約100億円)を調達したと発表した。出資者は「高榕資本(Gaorong Capital)」、「網易(ネットイース)」創業者の丁磊氏、エンジェルラウンドでの投資を主とする「真格基金(Zhen Fund)」、投資銀行業務および投資顧問業務を専門に行っている米「グレイロック・パートナーズ(Greylock Partners)」などだ。
今年2月、ニューロは米運輸省(DOT)と米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)の認可を受け、「ハンドルなし、バックミラーなし、サイドミラーなし」の第二世代完全無人自動運転車ニューロ「R2」が公道走行を開始した。認可期間は2年、車両台数は5000台以下とされている。
また4月には、米カリフォルニア州車両管理局(DMV)の認可を受け、カリフォルニア州サンタクララとサンマテオなど9都市の一部公道で無人運転車両2台(非常時用の人員なし)のテスト走行を行った。無人運転車両は晴れの日に限り、制限速度が時速35マイル(約56km/h)の公道上で、時速25マイル(約40km/h)を超えてはならないとされている。走行条件は厳しいが、ニューロはカリフォルニア州でこの認可を得た2社目の企業となった。1社目は自動運転車研究開発企業「Waymo(ウェイモ)」だ。
ニューロに「R2」を生産しているのはデトロイトの「ラウシュ・パフォーマンス・プロダクツ(Roush Performance Products)」だ。同社はかつてグーグルにも自動運転自動車の原型となる「Firefly」(すでに退役済)を生産していた。複数の業界関係者は36Krの記者に対し、ニューロR2の価格は100万元(約1500万円)以上になると話している。
高額な価格は規模化の足かせとなりかねない。とはいえ、ユーザー層の拡充を図り、サプライチェーンの改善をすることで、コスト削減は期待できる。新たなビジネスチャンスが資本市場における同社の評価額を下支えすることになるだろう。
(翻訳:lumu)
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