スマートカー時代の幕開け アリババ傘下車載システム「斑馬」CEO:その影響力はスマートフォンを超える

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2014年、アリババと「上海汽車集団(SAIC)」が業界を越えて手を組み、車載システムなどを手掛ける「斑馬網絡(Banma Network Technology)」を設立した。その後、コネクテッドカー「栄威(ROEWE)RX5」がリリースされ、同社はコネクテッドカー業界のベンチマーク企業となった。しかし2社の超大手企業が提携するにあたっては困難もあり、斑馬網絡は2018年から低迷期に突入し、役員の離職も相次いだ。アリババと上海汽車集団はこうした背景のもと、斑馬網絡とアリババのIoT向けOS「AliOS」の組織を再編することで合意した。

2019年8月28日、アリババは斑馬網絡を技術面でサポートするため、「YunOS(AliOSの前身)」の知的財産権と事業を全て斑馬網絡に移行すると明らかにした。これに伴い、アリババは同社の筆頭株主となった。当時のAliOSの従業員は600人余り。大量の中核的な技術者をアリババからスタートアップ企業である斑馬網絡に異動させるには大きな困難が伴った。

この組織再編を主導したのが、かつてAliOSを率いた張春暉氏だった。

張氏はアリババに入社以前、「マイクロソフトリサーチアジア(MSRA)」でタブレットPC「Surface」やクラウドコンピューティングの対話エンジンなどの開発に携わっていた。2010年にアリババに入社した張氏は総勢800人を超えるAliOSの開発チームを立ち上げ、中核システムやバーチャルマシン、クラウドサービス、アプリケーションフレームワーク、テスト自動化などに関する研究・開発を主導。2016年にはAliOSに基づいて開発された斑馬網絡の車載ソリューションを搭載したコネクテッドカー「栄威(ROEWE)RX5」を発表し、大ヒットに導いた。その後2年余りで斑馬網絡の車載ソリューションを搭載した車両は100万台を超えた。

2017年の組織再編により、張氏はAliOSを一時的に離れることになる。AliOS事業グループがアリババクラウド(阿里雲)スマート事業グループと統合され、張氏はアリババ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥網絡(Cainiao Network)」のET実験室主任に就任し、無人運転による端末物流など最先端技術の開発を手掛けることになった。

昨年8月、アリババと上海汽車は斑馬網絡の組織再編で合意したが、スタッフの融合が大きな課題となっていた。そこでアリババグループの張勇CEOは、AliOS立ち上げの功労者である張春暉氏を指名。「役員が今回の組織再編にかける思いが伝わったのと、もう一度車載OSに挑戦できるとの考えから復帰を決めた」と張氏は話す。

今年5月、斑馬網絡は今年初の董事会で、郝飛CEOに加え、張春暉氏をCo-CEO(共同経営責任者)に任命した。これにより斑馬網絡とAliOSの戦略的な組織再編が完了した。組織再編後の斑馬網絡はアリババクラウドや地図サービスの「高徳地図(Autonavi)」、スマートスピーカーの「天猫精霊(Tmall Genie)」、半導体の「平頭哥半導体(Pingtouge Semiconductor、T-HEAD)」などアリババグループ各社の強力なサポートを得ている。張氏は「これらの会社全てが斑馬網絡にとって重要な技術資源となる」と語った。

斑馬網絡が組織再編を行っていた1年余りの間に、コネクテッドカー業界の競争は激しさを増していた。IT大手のバイドゥとテンセントは自社のコネクテッドカーソリューションをリリース。多くの自動車メーカーと契約を結び、市場で存在感を示している。通信機器大手のファーウェイ(華為技術)もICT技術を結集してスマートカーの新部門を設立し、業界向けのソリューションを提供。さらにバイトダンス(字節跳動)やシャオミ(小米科技)などもコネクテッドカー市場に参入する動きを見せている。

しかし張氏は、2020年はスマートカー時代の幕開けだとし、自動車業界がスマート化という転換点を迎える中で、OSは独特な技術的価値と強みを発揮するとの考えを示すとともに「車載センサーが一層増えている。より多くのICチップやセンサーがOSによってつながる必要がある。車内でもより価値のあるサービスが必要とされるため、OSは必需品となる」と述べている。

大手各社が相次いでコネクテッドカー業界に参入していることについて、張氏は「コネクテッドカー産業がインターネット産業と結びつくことで生み出されるエネルギーと影響力は、スマートフォン産業を超えるはずだ。自動車とスマートフォンのエコシステムは構築の方法が違う。自動車産業はサービスエコシステムを構築し、OSを通じて各サービスをつなげ、積極的にユーザーにサービスを提供する。それと同時に各サービスと基礎的な計算能力とをつなげる必要もある。アリババのおかげで、われわれはこの方面では何の心配もしていない」と自信をのぞかせた。

(翻訳・山口幸子)

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