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ライブコマースは、2020年においてもっとも注目される販売手法であり、その影響は生活関連サービスにも広がっている。アリババ傘下の生活関連サービスアプリのアリペイや「餓了麼(ele.me)」、「口碑(Koubei)」、生活関連サービス大手の「美団(Meituan Dianping)」傘下のアプリ「美団」、「大衆点評(Dianping)」、「美団外売(waimai.meituan)」が、ライブ配信機能を追加した。
生活関連サービスのライブ配信で何を売るか
新型コロナ禍を受け、店内飲食中心のレストランも出前やテイクアウトに対応するようになり、その売り上げを増やすことが急務となった。従来のオンライン広告は、消費者の購買につなげるまでに時間がかかるため、その場での購入が期待できるライブコマースが注目されている。
現在、生活関連サービスのライブコマースは、主に次の3種類の方法で行われている。
まずは店内飲食でのみ使用できるクーポンの販売である。これは口碑と大衆点評のライブ配信で比較的多く見られる。次にデリバリーと店内飲食でともに使用できる引換券の販売で、美団外売と餓了麼での取り扱いが多い。最後が、ライブ配信で紹介した商品を取り扱う店が視聴者の現在地周辺にある場合、それを表示させ、注文へと誘導する方法だ。
生活関連サービスプラットフォームでのライブコマースは販売プロセスに、従来の店舗、配達員、消費者の三者以外に、配信者が新たに加わることを意味する。配信者への利益配分比率、配信者の育成方法などをいかに確立するのかが、当面の課題になるだろう。
アリババの試み
アリババは2019年の双11・ダブルイレブン(アリババ主催の11月11日に開催されるECセール)のときに、口碑と餓了麼でライブ配信を試験的に行った。今年3月にはアリペイにもライブ配信機能を追加し、観光情報、フードデリバリーの注文、レストラン予約、美容室予約などに利用できる。
さらに、アリババは5月21日に生活関連サービスの配信者を10万人育成または認証し、10万の店舗のライブ配信を行うと発表した。一部のチェーン店の従業員向けのトレーニングはすでに始まっている。
2020年の第1四半期、アリババ傘下のECプラットフォーム「淘宝(タオバオ)」のライブ配信の日間アクティブ店舗数は前年同期比で88%増え、2020年度のライブコマースの取引総額は前年同期比100%超の速さで成長している。ライブコマースは今やアリババの小売事業の成長を牽引する原動力になりつつある。アリババはその勢いに乗じ、生活関連サービスをさらに強化していきたいのである。
ライブコマースを必要とする美団
美団がライブコマースに乗り出すのはブームに遅れないためだけではない。感染症の影響が予想以上に深刻だからである。
5月の中国全国の外食産業の売上高は3013億元(約4兆5000億円)で、前年同期比18.9%減となった。1月〜5月の外食産業の売上高は1兆1346億元(約17兆円)で、同36.5%減だった。外食産業の回復がまだ見通せないなか、美団はライブコマースで売り上げを伸ばし、店舗との関係をさらに強化していく必要がある。
アリババより遅れてライブコマースに参入した美団は、商品の販売手法で工夫をしている。例えば出前で使用できるクーポンの販売、レストランの店員による配信でおすすめ料理の紹介をするなどは、従来になかった手法だ。
観光のライブコマースでは、美団は5月から「旅行達人(観光に精通したエキスパート)」を募集している。採用された場合、ショート動画1本当たり200~8000元(約3000円~12万円)、ライブ配信1回あたり100~3000元(約1500円~4万5000円)のボーナスが支払われるほか、トラフィックを優先的に誘導してもらえるようになる。
アリババと美団の生活関連サービスのライブコマースを見ると、アリババはライブコマースに長けているため、その手法を生活関連サービスに生かすことが重要となる。美団は販売手法などで工夫し、ライブコマースでの売り上げよりも、ライブ配信によって自社が得意とする出前や店内飲食を増やしていきたいという姿勢を見ることができる。
しかし、オンラインからの注文に迅速に対応しなければならないため、現時点では両者とも大型チェーン店の規格品の販売が中心である。配信者を含めた利益配分をどのように設定するかなどの課題も未解決だ。生活関連サービスのライブコマースがより広まるためには、ビジネスモデルの早期の確立が急務となるだろう。
(翻訳:小六)
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