激震の市場で新たな注目株は「インスタントコーヒー」、業界スキャンダルが吉に転じるか(一)

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激震の市場で新たな注目株は「インスタントコーヒー」、業界スキャンダルが吉に転じるか(一)

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コーヒー産業で長らく最下層に置かれてきたインスタントコーヒーが高級路線に転じることで、にわかに注目株として伸びてきている。

中国で例年開催されている最大級のネット通販イベント「双11(ダブルイレブン)」では昨年、新興ローカルブランド「三頓半咖啡(Saturnbird Coffee)」が老舗ネスレを上回り、コーヒーカテゴリで首位に立った。三頓半咖啡はわずか2年で4回の資金調達に成功し、短期間で人気を獲得。インスタントコーヒーブームを巻き起こしている。

今年に入り、中国では「スペシャルティコーヒー」を謳った新興コーヒーブランドが続々と資金を集めている。2月以降に資金調達を行ったのは、発表されているだけで三頓半咖啡のほかに「沃欧咖啡(wow coffee)」「時翠咖啡(SECRE COFFEE)」「永璞咖啡(PU COFFEE)」の3社だ。インスタントコーヒーを手がけるようになったプレーヤーは他にも後を絶たない。先日、ほとんどの店舗を閉店した「連咖啡(Coffee Box)」もそのうちの1社だ。

インスタントコーヒー、なぜ人気に?

インスタントコーヒーに人気が集まる理由として、多くの投資家やコーヒー業界関係者は一様にこう述べる。「もともと市場を積極的に開拓しているプレーヤーが少なく、その反面で新たな需要が生まれたからだ」。

コーヒーを価格帯別にみると、1~3元(約15~45円)はネスレやマックスウェルハウスなどのインスタントコーヒー、10~15元(約150~230円)はコンビニコーヒーやカプセル式コーヒー、15~20元(約230~300円)はマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどのファストフード系コーヒー、20~30元(約300~450円)は「瑞幸咖啡(luckin coffee)」「連咖啡(Coffee Box)」など新興のローカル系コーヒー、30~40元(約450~600円)はスターバックスやコスタコーヒーなど外資系チェーンのコーヒーとなる。そして5~10元(約75~150円)の価格帯は空席だ。

ニュータイプのインスタントコーヒーはまさにこの空白を狙っている。市場は大きく、新商品が望まれ、多くのプレーヤーが商機を見出している。一時は廉価でおいしいコーヒーを提供する新興チェーンがインスタントコーヒー市場を脅かしたが、インスタントコーヒーは今も市場全体の7割を占めている。しかし、ネスレが中国市場にインスタントコーヒーを持ち込んでから30年、インスタントコーヒーはほとんど進化していない。

そのため、スペシャルティ系の新興コーヒーブランドは自身の商品を「インスタントコーヒー」と呼ばれることを嫌う。「安っぽい」イメージが付きまとううえ、実際に彼らの商品はいわゆる従来のインスタントコーヒーとは方向性が異なるものだからだ。

新世代のインスタントコーヒーはドリップバッグやフリーズドライ、ソリュブル(粉末状のコーヒーだが従来のものとは製法が異なる)が主だ。新興コーヒーブランド「魚眼咖啡(FISHEYE)」の創業者・孫瑜氏は、「過去数十年にわたって普及してきたインスタントコーヒーが消費者に好まれたのは『安いから』に他ならず、味は二の次とされてきた。しかし現在ではより品質の良いものが求められるようになり、それが商機となっている」と語る。

魚眼咖啡はこれまで店頭でスペシャルティコーヒーを提供してきたが、今年になってフリーズドライのインスタントコーヒーを発表、大手ECプラットフォーム「天猫(Tmall)」に旗艦店を出店した。「農夫山泉(Nongfu Spring)」「楽純(Le Pur)」といった畑違いの大手飲料メーカーも今年になってインスタントコーヒー市場に進出してきている。

魚眼咖啡がインスタントコーヒーを手がけるようになった理由は至ってシンプルだ。インスタントコーヒーはライフスタイルやシチュエーションを問わずに気軽に飲める。店舗で提供するコーヒーより顧客獲得のハードルも低い。孫氏は「我々はすでに店舗運営を通じて多くのコアユーザーを抱えている。新商品を提供することで、彼らには店舗以外のさまざまなシーンで我々のコーヒーを味わってもらえるようになる」と説明している。

市場はすでに埋まってしまったのか?

三頓半咖啡に出資する「天図投資(Tiantu Capital)」のマネージングパートナー潘攀氏は、インスタントコーヒー市場の門戸はまもなく「締め切り」になるとみている。「ネスレを除いたプレーヤーはいずれも三屯半咖啡に遠く及ばない。サプライチェーン、商品、マーケティング、販売データ、顧客とのインタラクション、規模、どれをとってもだ。さらにイノベーティブなブランドも誕生する可能性はあるが、現段階ではまだ現れていない」と述べる。

「華創資本(China Growth Capital)」の余躍氏は反対に、どのブランドにもチャンスがあると考える。消費者は新しもの好きで、嗜好も多様化しているため、コーヒー市場でも1社による独占状態にはならないだろうとみている。

激震の市場で新たな注目株は「インスタントコーヒー」、業界スキャンダルが吉に転じるか(二)

(翻訳・愛玉)

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