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中国の中央銀行である中国人民銀行のデジタル通貨研究所が、ライドシェア最大手の「滴滴出行(Didi Chuxing)、以下DiDi」と提携し、スマートモビリティにおけるデジタル人民元の可能性を研究していくと発表した。モビリティサービスが多様化していくなか、デジタル人民元を使ったプラットフォームを構築することを目指す。
人民銀のデジタル通貨はこれまで共産党員の党費の納付、交通手当の支給、北京冬季五輪会場での使用しかできないとされていたが、新たな実用化シーンが追加されることになる。人民銀デジタル通貨研究所が消費者向けに事業を展開するインターネット企業と提携するのもはじめてである。
同研究所は2017年1月に設立され、法定デジタル人民元の開発に取り組んでおり、2019年8月までに申請したデジタル通貨関連の特許は74項目に上る。
公式情報によると、デジタル人民元(DC/EP)の開発は着実に進んでおり、二層構造(第一層では人民銀が金融機関にデジタル人民元を配り、第二層で金融機関が一般人にデジタル人民元を届ける仕組み)、M0(現金通貨)の代替、コントロールされた匿名性という前提で、グランドデザイン、規格の制定、機能開発、統合試験を完了させているという。現在深圳、蘇州、雄安新区、成都でクローズドテストを行い、今後北京冬季五輪会場内でのテストも予定されているが、一般人が使用できる場面はまだない。
DiDiの声明では、関連機関の指導のもと、人民銀デジタル通貨研究所に協力し、党中央、国務院が提唱した金融の実体経済への支援力を強化するという方針に沿って、デジタルエコノミーと実体経済の融合を促していきたいとした。
DiDiは2016年に金融事業部を設立し、2017年末に決済サービスのライセンスを取得。ほかには家財保険、小口融資のライセンスも取得している。同社は今年6月に金融事業部の組織構造を改編し、ライセンスを保有する各事業に特化した金融エコシステム管理部を設立し、外部との提携も深めてきた。
経済メディアの「財新(Caixin)」によると、DiDiの金融事業部は昨年中国の四大国有商業銀行の一つである農業銀行に対し、雄安新区でのデジタル通貨のパイロットテストに参加したいと伝えたという。「経済観察報(The Economic Observer)」の公式サイトの報道によれば、今回の提携後も、DiDiは都市と場面を限定してパイロットテストに協力する形で運営していくようだ。
DiDiのほか、生活関連サービス大手の「美団点評(Meituan Dianping)」、動画配信プラットフォームの「ビリビリ動画(bilibili)」も、デジタル通貨に関して人民銀と提携する予定だ。美団は自転車シェアリングサービスにおいてデジタル通貨を使用できるようにし、ビリビリ動画は技術開発を進めている最中だという。さらに、TiKTok運営元の字節跳動(バイトダンス、Bytedance)」などからも提携の申し出があるようである。
先日のインタビューにおいて、人民銀の易綱総裁は、パイロットテストは開発段階でよく見られることであり、デジタル人民元を正式に発行するわけではなく、いつ発行するかのタイムスケジュールもまだないと話している。
(翻訳:小六)
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