中国、「時空間データ」で都市を分析 用地選定や運営効率の向上へ

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中国、「時空間データ」で都市を分析 用地選定や運営効率の向上へ

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時空間データプラットフォームを展開する「億景智聯(Changjing.ai)」がエンジェルラウンドで約1000万元(約1億5000万円)を調達した。リード・インベスターは「第四範式(4Paradigm)」、コ・インベスターは「御勢資本(Aedlus Capital)」と「天億創新(Tianyi Innovation Capital Management)」で、調達した資金は主に技術開発や市場開発、プロジェクト実施、コンサルティングチームの充実に充てられる。今回、戦略的投資を行った第四範式は、アルゴリズムやコンピューティングパワーなどの技術面および顧客獲得においても協同する。

これまでの時空間データ処理は、主にGIS(地理情報システム)を利用して地理空間情報の収集や表示、処理を行っていた。産業チェーンは上流の測量設備メーカー、中流の測量サービス提供企業、下流のGISソフトウェア開発やプラットフォームという構成になっている。下流のGIS関連サービスには1000億元(1兆5000億円)規模の市場があるものの、データ収集コストが高く、可視化が難しいため、海外の「MacDonald Dettwiler & Associates(MDA)」や「Esri」、中国の「中地数碼(Zondy Cyber)」「超図(Super Map)」などの大手企業が絶対的優位を占めており、プラットフォーム開発の基礎能力がないスタートアップ企業は苦戦を強いられている。

昨今、AIやビッグデータが普及し、中国版GPS「北斗システム」により測量コストが下がったことに加え、SaaSやクラウドサービスが市場に浸透してきたことで、中国のGISソフトウェアやプラットフォームを開発する技術ハードルや開発コストは以前に比べて下がってきている。事業者向けビジネスの拡大とともにGIS市場の競争は細分化が進み、多くのビジネスチャンスが生まれている。

2019年に設立された億景智聯は、AIやビッグデータ、空間知能技術を組み合わせた、政府や企業向けの時空間データスマートプラットフォームだ。そのサービスは工業団地の計画、事業運営の分析、資源配送管理、立地のスマート評価など幅広い分野に及び、行政のほか不動産業、小売業、物流業、金融業などでも活用されている。

億景智聯のコア技術はビッグデータ、AI、GIS、シナリオの頭文字をとった「BAGS」と表現される。創業者でCEOの孫偉氏によれば、AI技術と具体的な活用シナリオを組み合わせて、産業の生産力をさらに高めることが目標だという。

同社は「百度地図(バイドゥマップ)」と「高徳地図(Autonavi)」をベースに、商業圏や学校、病院、住宅、交通の分布状況を可視化し、地価や家賃、人口などのデータも集約した「City Insight」システムを構築した。

このCity Insightシステムに基づき開発された時空間データプラットフォームはカスタマイズ可能な部分が10%あり、最短2日間で納入できるという。同プラットフォームの特徴は次の三つだ。一つ目は具体的なデータに基づき、地域特性やビジネス、交通、通勤などに求める要素を考慮しながらベストな立地をピンポイントに選定できること。二つ目は地理情報に基づいたエリア区分設定などで、スーパーや物流企業が運営コストの削減と管理効率の向上を実現できること。三つ目はデータを立体的に可視化することで顧客のマーケティング精度を上げられること。

創業メンバーの取引先や通常のマーケティングのほか、取引のあるコンサルタント企業からも顧客を紹介してもらっている。また今回株主に加わったAI・PaaSの第四範式とは事業面での相互補完性が強いため、双方の顧客を紹介し合ったり、共同でプロジェクトを受注したりもしている。現時点では行政関係や不動産業からの受注が件数、金額ともに最多だが、金融業や小売業からの依頼も増加している。

創業者の孫偉氏は過去にバイドゥのスマートシティー事業発展部の総経理を務め、AIや時空間データの分野で多くの経験と人脈を持つ。中心メンバーにもグーグルやバイドゥ、ファーウェイなどに在籍していたAI分野の専門家が多数いる。
(翻訳・畠中裕子)

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