テスラが中国EVメーカーに圧力 一方でサプライチェーンのレベル向上にプラスの効果も

36Kr Japan | 中国No.1スタートアップメディア日本版

中国最大のスタートアップメディア、36Krの日本版です。先端企業の技術開発、業務提携、ファイナンス状況など中国の「今」を現地から届けるとともに、日本人向けの解説などのオリジナル記事を発信します。36Kr日本版を見れば、中国が分かります。

大企業注目記事

テスラが中国EVメーカーに圧力 一方でサプライチェーンのレベル向上にプラスの効果も

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国新興EVメーカー「威馬汽車(WM Motor)」を創設した自動車メーカー出身の瀋暉氏は、ほかの新興EVメーカーが創設初期にOEMの形で新エネルギー車を生産するのとは異なり、創設半年後にはシリーズAで調達した資金10億ドル(約1100億円)で自社工場の建設に着手した。現在、中国国内のトップ新興EVメーカー「小鵬汽車(XPENG Motors)」も生産許可を取得し、「自社生産+OEM」モデルをスタートさせている。新興EVメーカーの「理想汽車(LEADING IDEAL)」も自社生産の道を歩み始めた。「中国のテスラ」とも称される新興EVメーカー「NIO(蔚来汽車)」は国営系乗用車メーカーの「江淮汽車(JAC)」と提携し、OEMモデルを継続するという。

しかしながら、新エネ車の製造となると、生産ラインの問題だけではなくなる。サプライチェーン(供給網)も大きな問題だ。「部品メーカー側からすれば、メイン工場の生産規模、企業発展の持続可能性、価格交渉能力なども考慮しなければならない。このため従来の自動車メーカーと新興EVメーカーでは部品の価格設定が異なる」と述べるのは中国「蓋世汽車研究院」シニアアナリストの王顕斌氏だ。

広東省にある小鵬汽車肇慶工場 画像:小鵬公式ウェイボー

過去のアップルのようにサプライチェーンけん引するテスラ

テスラは2020年1月7日、上海で「中国産Model 3」の納車記念イベントを行った。イーロン・マスク氏はわざわざ上海まで駆けつけ、Model 3のオーナーにキーを自ら手渡した。また、その場で「中国産Model Y」のプロジェクトをスタートすることも発表した。

「一年前、マスク氏がここを訪れたときは一面の荒れ地だった。一年後の今日、ここは毎週3000台の国産Model3を生産するテスラのギガファクトリーとなった」。イベント当日、テスラの公式ウェイボー(微博)にはこのような書き込みがアップされている。

現地生産のテスラの正式納車は、中国国内の新エネ車業界にとっては大きな圧力となったが、その一方で、中国国内の新エネ車サプライチェーンには直接的なメリットも生まれている。

「テスラの現地生産により中国国内部品メーカーは恩恵を受けることになる。それはiPhoneが中国のサプライチェーンのけん引役になったのと同じだ」と自動車関連ニューメディア「電動汽車観察家」の創設者、邱鍇俊氏はこのように述べた。現在、中国のサプライチェーンはiPhoneにとって欠かせない存在となっている。2019年時点で、アップルの世界トップ200のサプライチェーンのうち中国本土の企業は40社に上っている。アップルも電子機器の受託製造サービス(EMS)を手掛ける「立訊精密工業(ラックスシェア)」などのリーディングカンパニーを多く生み出している。

従来型のガソリン車と比べると、新エネ車の部品数は3分の2ほどだが、新エネ車の製造自体は非常に複雑な製造プロセスである。テスラを例にとると、パワートレインシステム、電気駆動システム、充電、シャシー、ボディー、その他パーツ、センターコンソールシステム、インテリア、外装などを含む。これに関連するサプライチェーン企業は恩恵を受けるチャンスがある。

テスラはティア1(Tier1)、ティア2(Tier2)として、中国の精密機器メーカー「長盈精密(Everwin Precision)」「滬士電子股份(WUS Printed Circuit)」「東山精密製造(DSBJ)」、リチウム電池関連メーカー「科達利(KDL)」「先導知能(LEAD)」など130余りの関連企業と提携している。

テスラのサプライチェーン 画像:国泰君安証券研究より

王氏はまた、「テスラがけん引しているのは中国の自動車部品業界全体の競争優位性だ。中国国内の自動車サプライチェーン企業が競争をすることで、技術力向上が望める」と語った。

イーロン・マスク氏は今年1月、リチウムイオン電池メーカー「寧徳時代(CATL)」と韓国LG化学(LG Chem)をサプライチェーンに加えたと発表した。これにより、世界トップ3の動力電池企業3社がすべてテスラの「コミュニティ」に加わったことになる。

世界の動力電池業界の花形である寧徳時代は、中国国内新興EVメーカーの動力電池サプライヤーでもある。蔚来、小鵬、威馬など、いずれも寧徳時代の電池を採用している。

とはいうものの、新興EVメーカーの生産規模自体は小さく、サプライチェーンでは何ら優位性はない。業界関係者が明かしたところでは、同じ金型代金にしても、ガソリン車では10万元(約150万円)とすれば、新興EVメーカーに対する見積価格は40万元(約600万円)以上となる。新興EVメーカーは生産量が増えなければ、サプライチェーンでの優位的なポジションは得られないのだ。

テスラが中国サプライチェーンをかき乱す一方で、新興EVメーカーもサプライチェーンにおける価格交渉権を向上させつつあるのだ。

作者:Tech星球、周曉奇

(翻訳:lumu)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録