コスパの良い中国産LiDARが好調 新型インフラ整備で広がる導入の裾野

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コスパの良い中国産LiDARが好調 新型インフラ整備で広がる導入の裾野

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中国産LiDAR産業は軌道に乗りつつあり、「鐳神智能(Leishen Intelligent System)」「速騰聚創(RoboSense)」「禾賽科技(Hesai Technology)」をはじめとする中国新興企業が輸入LiDAR市場を奪い合っている。

さらにファーウェイやドローン最大手のDJI(大疆)といった大企業も続々と市場に参入したことで、業界競争は徐々にヒートアップしている。新型肺炎の拡大および新型インフラの影響を受け無人化が大きなトレンドとなっており、「ロボットの眼」であるLiDARはより大きな成長のチャンスを迎えている。

だがLiDARについて語る際、コストと量産化が終始問題となってくる。「コストパフォーマンスは鐳神智能が早い段階で市場参入するにあたっての戦略の一つだった」と同社の販売総監を務める王婉婉氏は話す。

2015年創業の鐳神智能はLiDARを中心としたトータルソリューションを手掛ける企業であり、同社のサービスは自動運転およびADAS(先進運転支援システム)、スマート交通、軌道交通、ロボットのナビゲーションおよび測位、物流・運送AGV(無人搬送車)、測量・マッピング、スマートセキュリティ、産業自動化、港湾自動化の9分野をカバーする。

「継続的な製品改良により、当社はすでにハイエンド市場における一定の影響力を蓄積してきた。現在は科学的かつ合理的なコストコントロールに加え、安定的で信頼性の高い性能により重きを置いている」。鐳神智能は現在、世界有数の自動車向け機能安全規格を満たしたソリッドステート式LiDAR量産メーカーに名を連ねており、測量・マッピング用LiDARおよび関連ソリューションを発表している。特に同社が開発した軌道交通向けの列車専門LiDARは、同社の強力な技術とサプライチェーンを裏付けるものとなっている。

鐳神智能のLiDAR関連製品

テクノロジーがコアコンピタンスに

鐳神智能の創業者である胡小波氏は高出力ファイバーレーザー機器メーカーの出身であり、自身の豊富な技術的蓄積と産業リソースを同社に持ち込んだ。

「レーザー機器の応用分野の一つがLiDARであるため、当社が現在生産中の一部の遠距離用LiDARにも以前の技術や過去に生産・開発したファイバーレーザーを援用している」。鐳神智能はコアデバイス関連技術を自社で確立しており、これが自社開発チップおよび複数分野をカバーするソフトウエア・ハードウエア製品ラインナップの幅広さに表れている。

鐳神智能のレーダー専用16チャネルTIAチップ(写真:鐳神智能)

同社はToF(Time of Flight)方式、位相方式、三角測量方式およびFMCW(周波数変調連続波)方式からなる4種の測量原理を確立し、全面的なLiDARアレイを構築することで、さまざまな業界のソフトウエアに対応するトータルソリューションを生み出している。生産に関しては、半自動化生産ラインを自社工場に導入したほか、特にキャリブレーション方式において自社設計のプログラムとソフトウエアを採用した。既存のキャリブレーション方式やロボットに比べ、製品のデバッグ効率と良品率の引き上げおよび納期短縮に成功している。

鐳神智能のLiDARは広東省科学技術庁によりLiDARエンジニアリング研究センターに認定された(写真:鐳神智能)

新型インフラで迎える成長チャンス

「現在は主にマルチビームLiDARおよび遠距離用LiDARを中心とするハイエンド~ミドルレンジ市場の獲得に努めている」と王氏は話す。「最大のポテンシャルを抱える市場はやはり自動車分野。現在、屋外の低速走行車にはLiDAR搭載のまとまったニーズがあり、今後に向けた技術的蓄積も続けていく。また測量・マッピングの市場規模は現在は小さいが、技術面での参入障壁が大きく、製品の収益性も他の分野に比べてかなり高い」

鐳神智能の製品は国内外である程度の導入が進んでおり、自動運転分野においては中国自動車大手の東風汽車集団と量産レベルでの協業を続けている。また路車間通信においては同社製品が全国十数都市のモデル区に設置されているほか、港湾自動化に関しては障害物回避などを目的として広東省東莞港にLiDARが導入された。王氏によれば「今年中に鐳神智能の黒字化させる計画」であり、昨年の出荷台数は1万台を超えた。「今年上半期の出荷台数は前年同期比で約2~3倍となっており、そのうちかなりの部分は新型肺炎の影響によるもの」

ラインオフとなった東風汽車集団のsharingvan(写真:鐳神智能)
広東省広州市生物島の路車間通信プロジェクト(写真:鐳神智能)

中国が進める新型インフラ建設(新基建)の追い風を受け、路車間通信およびスマート交通の導入は大きく進んでおり、実証実験レベルから大規模導入に入る可能性が高い。王氏は山東省莱蕪高速道路での例を挙げ、「当社は約500セットのLiDARを納入済み。特に高速道路でETCが全面的に採用されて以降、カメラによる検出漏れの問題が深刻化している。LiDARがこの補足または代替となれば大きな量産チャンスとなる」と語った。

同社は広東省深圳市および浙江省嘉興市に自社工場を抱える。現在はシリーズCでの資金調達も進めており、これまでに4度にわたり約2億元(約30億円)の調達に成功している。
(翻訳・神部明果)

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