シャオミが20万円の有機ELテレビを発売 ファーウェイ系テレビに挑む

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シャオミが20万円の有機ELテレビを発売 ファーウェイ系テレビに挑む

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スマートフォンに続き、シャオミ(Xiaomi)はテレビでもハイエンド路線をひた走っている。スマートテレビメーカー「暴風TV(Storm TV)」のCEOを務めた劉耀平氏が5月にテレビ部門の総経理に就任し、シャオミは7月2日、同社初となる有機ELテレビ「Mi TV Master」を発売した。

同製品は台湾の半導体メーカーMedia Tek(聯發科技)のチップセット「MT9650」に加えクアッドコアのCPU「Cortex-A73」を搭載、ディスプレイは4K+HDR対応、リフレッシュレートは120Hz、MEMC(motion estimation / motion compensation:動き予測・動き補正)技術、スピーカーにはドルビーアトモスを採用しており、かなりのハイスペックだ。

この製品はシャオミで「Masterシリーズ(大師系列)」と位置づけられているが、新製品発表会は極めて簡潔なものだった。テクノロジーを駆使した舞台など高級感のあふれる演出やイメージキャラクターもなく、わずか30分で終了。シャオミ史上、最短時間で終了した発表会の一つとなった。

シャオミのサブブランド「Redmi」を除けば、この1万2999元(約19万5000円)という価格は現在シャオミで最高額の製品となる。発表前、外部では1万5000~2万元(約22万5000円~30万円)前後と予想されていたうえ、シャオミ側もこれまでずっと高級感を打ち出してきたため、ギャップを感じさせる価格設定となった。これはなぜだろうか。

有機ELテレビはそもそも生産台数も少なく高額だ。、シャオミが今回の製品を発売する前は販売価格2万元(約30万円)前後のソニー製品「KD-65A9G」がベンチマークとされていた。また、ファーウェイが3カ月前に発表した同社初の有機ELテレビ「Smart TV X65」も同様に65インチだが、発売価格は2万4999元(約37万5000円)だった。

有機ELテレビというハイエンド市場で、シャオミのテレビは以前のようなコストパフォーマンス戦略を成功させられるのだろうか。

Mi TV はハイエンド路線へ

Mi TV はハイエンド路線に転向する必要があるだろう。

55~65インチテレビは中国市場で競争が最も激しく、成長率も最も大きいカテゴリだ。同時にシャオミのテレビ製品が最も充実しているカテゴリでもある。以前、ファーウェイのサブブランド「Honor(栄耀)」が自社のスマートテレビ「X1」よりも一週間遅く発売したRedmiのスマートテレビ「X」と価格を合わせるため、発売直後にも関わらず600元(約9000円)値引きしたということがあった。最終的に価格1699元(約2万5000円)・自社開発チップ搭載・無広告という戦略が消費者に受け、Honorの「X1」は今年の618セール(6月18日を中心に開催される一連のECセールイベント)期間中、EC大手「京東(JD.com)」の55インチテレビで販売台数トップをおさめた。

Mi TV全体の販売台数は少なくないが、Honorからの猛追は、値引きでシェアを獲得できればローエンド~ミドルレンジのテレビ市場ではシャオミの牙城を崩すことが不可能ではないことを証明する結果となった。

シャオミも当然この問題を認識しており、Redmiとのダブルブランド戦略で対応しようとしている。スマホでもテレビを含めたIoT製品でも、これまでの低価格・高コストパフォーマンス製品は全てRedmiに明け渡していく必要があり、シャオミ本体はしがらみを断ち切って上を目指す必要がある。

スマホではすでにハイエンド市場での手ごたえを感じている。シャオミ史上最高価格の「Xiaomi Mi 10」シリーズは中国エリアですでに100万台以上売れているといい、初戦では勝利を収めたといえよう。

しかしスマホに比べテレビ製品の競争はさらに激しい。シャオミの挑戦は一筋縄ではいかないだろう。

有機ELはMi TVの救世主となるか

有機ELはディスプレイ技術のトレンドであり、家電アナリスト劉歩塵氏は、有機ELは今年下半期に爆発的にヒットするだろうと考えている。時宜にかなった参入が急務であり、「コストパフォーマンス」というレッテルはシャオミの持続的な発展に不利になる。シャオミにはブランドの路線変更とアップグレードが必要だと同氏は考えている。

液晶と比べ、有機ELは自発光方式のため、色域がより広くコントラストもより大きい。画面はより鮮やかで消費電力も少ない。しかし量産化にはまだ限界があり、有機ELテレビの普及をずっと妨げてきたのがその価格だ。シャオミの1万2999元(約19万5000円)という価格設定は65インチ有機ELテレビの中では一定の競争力がある。もしも爆発的にヒットすれば業界全体で価格を見直す動きが起きるかもしれない。

しかし現在、中国の有機EL市場は創維(スカイワース)、ソニー、LG電子という3大ブランドで固められており、最後に参入したシャオミにすでに先行者優位はないと、前出の劉氏は分析している。

この他、シャオミの新製品発表会で多くの人が関心を寄せたのが、有機ELテレビにも起動時の広告があるのかということだった。発表会では言及されなかったものの、商品の紹介を見ると小さい文字で「この商品には起動時の広告を含みます(公共広告、おすすめコンテンツ、商業広告)」と書かれているのが確認できる。

有機ELディスプレイにかかるコストは液晶ディスプレイのほぼ5倍だ。シャオミ産業投資部パートナーの潘九堂氏も、同社の有機ELテレビは「原価ギリギリの販売価格」だと中国版ツイッターの「Weibo(微博)」でつぶやいている。シャオミが商品価格を抑えられるのは強大なサプライチェーンを持っている以外に、インターネットサービスからの収益があるからだ。

65インチの有機ELテレビは現在、基本的には1万元(約15万円)を上回る価格だ。しかし、消費者は生活の質やブランドをより重視しており、価格に対してはそれほど敏感でなく、ブランドのプレミアム価格を受け入れる一定の余地はあるだろう。シャオミは起動時の広告をつけることで販売価格を抑えることに成功したとはいえ、広告があることで購入をためらう消費者がいないとは限らない。

しかしハイエンド市場での勝負は1つの製品で決まるわけではない。今後の製品の位置づけや戦略を見守る必要がある。シャオミのMi TV Masterについても今後の推移を見守る必要があるものの、おそらくシャオミは苦戦を強いられることになるだろう。
(翻訳・山口幸子)

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