ネスレ、中国の飲料水事業を再編 ローカル商品切り捨てペリエなど高級路線へ

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ボトルウォーター生産世界最大手のネスレが中国市場の飲料水事業を再編する計画であることがわかった。

今月20日、ネスレ中国法人は「飲料水事業でグローバル部門と新戦略が共有できたため、中国市場でも将来に向け最良のソリューションを探り、一部ブランドの売却も含めて検討していく」と発表している。

中国市場において、同社の精製水ブランド「ピュアライフ」は地場ブランド「農夫山泉(Nongfu Spring)」に大きく水を開けられている。また傘下のローカルブランド「雲南山泉(YUNNAN SPRING)」も振るわない。一方、近年の中国でも健康志向の若者を中心に人気が高いスパークリングウォーターでは、同社のペリエが長年にわたり王座を維持している。

市場シェアの限界と需要の急増、二つの要素を鑑み、事業再編に移ることが徐々に明らかになってきた。

年間売上高600億元(約9100億円)に迫る同社の飲料水事業だが、大々的にテコ入れされるのはこれが初めてではない。

米ブルームバーグの報道によると、同社の飲料水事業は昨年、過去10年で最悪の成績に終わり、オーガニックグロースは1.9%減となった。業界内の競争が過熱したうえに消費者間で脱プラスチック容器の動きが強まったためだ。しかし廉価帯の商品が減速する一方で、高価格帯の飲料水は世界全体で8%以上の成長を見せており、ネスレが飲料水事業を見直すきっかけとなった。

ネスレは6月、同事業の戦略刷新を図っていくと発表。同社を代表するグローバルブランドおよび高級ミネラルウォーターのブランドにより注力していくと同時に、機能性飲料などの健康飲料へ投資していくとした。

ネスレ中国の飲料水事業は主に輸入品と現地生産の二本立てだ。前者はペリエやサンペレグリノなどの高級ブランド、後者はピュアライフや雲南山泉などだ。ピュアライフは同社で売上本数最多のボトルウォーターブランドとなっている。

画像:ネスレ公式サイトより

ボトルウォーターは飲料事業で最大のカテゴリで、近年稀に見るペースで成長を続けており、2014~2019年の年平均成長率(CAGR)は10%となっている。競争の激しい中国市場では、華潤怡宝食品飲料(CR Beverage)の「怡宝(C’estbon)」や景田食品飲料(Ganten Food & Beverage)の「百歳山(Ganten)」などのローカルブランドにシェアを奪われつつある状況だ。商品トレンドに特化したデータ会社「欧睿数據(oIBP)」によると、昨年の中国のボトルウォーター市場は、シェア上位4社を農夫山泉(11.5%)、華潤怡宝(9.5%)、景田(5.1%)、娃哈哈(Wahaha、3.2%)が占め、ネスレは8位(1.6%)に留まった。

ネスレが飲料水事業で成長を目指すならば高級志向を目指すことになるだろう。今年6月には同社傘下の高級ミネラルウォーターブランド「アクアパンナ」が中国進出を果たしている。これでネスレの三大ミネラルウォーターブランドはいずれも中国進出済みとなった。一方で、前出のピュアライフや雲南山泉などは売却される可能性が高まっている。ダノンも6月に中国地場ブランド「益力(Yili)」を売却、今後はエビアンやボルヴィックなどの輸入事業へ注力していくという。
(翻訳・愛玉)

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