世界最大のユニコーン、アリババのアントが上場へ 5年間で収益6000億円の株主も

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世界最大のユニコーン、アリババのアントが上場へ 5年間で収益6000億円の株主も

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7月20日、アリババの決済サービスであるアリペイを運営する螞蟻集団(以下「アント・グループ」 アント・フィナンシャルから2020年6月改称。以下アント・フィナンシャル時代に関する記述もアント・グループと表記)が、上海証券取引所の科創板(スターマーケット)と香港証券取引所のメインボードで同時に上場する計画を発表した。スーパーユニコーン企業である同社の時価総額は2000億ドル(約21兆円)以上とされており、今年世界最大のIPOになる可能性がある。この時価総額で上場となれば、中国国内でアリババ、テンセントに次ぐ時価総額第三位のインターネット企業となる。

アント・グループには32社の株主があり、アリババ系列が3社、外部の投資家が29社である。親会社のアリババの持株比率は33%、アリババ従業員の持株会社「君瀚」と、アント・グループ従業員の持株会社「君澳」の持株比率は合わせて50%、残り29社の持株比率が17%となっている。上場によって、最大の見返りを得るのはどこだろうか。

5年間で収益6000億円の国家社会保障基金

アント・グループの時価総額を上記金額で計算した場合、29の投資家が所有する17%の株式の時価総額は2380億元(約3兆6000億円)となる。29社のうち、6社は持株比率が1%以上である。持株比率の高い順に、中央政府の年金基金である「中国国家社会保障基金」の2.97%、「上海置付」の1.96%、「上海衆付」の1.31%、「中国人寿保険(China Life Insurance Company)」の1.06%、「上海麒鴻」の1.05%、「上海祺展」の1.02%となっている。

アント・グループの29社の投資家の持株比率

収益額から見ると、国家社会保障基金は約408.8億元(約6000億円)の収益で最高額となる。 国家社会保障基金の元副理事長の王忠民氏は、「社会保障基金は国民の未来を保証するものであり、投資は慎重を期さなければならない」と講演で表明したことがあるが、彼はアント・グループへの投資を決めた人物でもある。2015年、アント・グループの時価総額がまだ300億ドル(約3兆円)だった頃に、国家社会保障基金は同社のシリーズAの資金調達で78億元(約1200億円)を出資し、最大の外部投資家となった。この出資は国家社会保障基金史上初の、新興産業に従事する民間企業への直接投資となった。

その後のアント・グループは資金調達を繰り返し、国家社会保障基金の持ち株が希薄化されたものの、それでも408.8億元(約6000億円)の収益は、全国13.5億人の年金保険加入者一人あたりの個人年金口座に30元(約450円)をプラスしたことになる。

戦略的提携がもたらす産業の変化

アント・グループの株主は投資をするだけではなく、事業面でも積極的に同社と提携を行ってきた。「中国郵政(China Post)」傘下の投資会社「中郵資本」がアント・グループに出資すると、中国郵政はすぐにアリババ、アント・グループと金融、物流面で提携をはじめた。「中国郵政貯蓄銀行(Postal Savings Bank of China)」も国有大型銀行のなかで、最初にアント・グループとの提携を行った銀行だ。郵政貯蓄銀行が全国に持つ店舗によって、アント・グループは自社のサービスをほぼすべての村まで行き渡らせることができるようになり、アリペイなどのサービスを通して、地方の消費者と零細企業にインクルーシブファイナンスサービスを提供している。

中国の四大上場保険会社である「新華保険(New China Life Insurance)」、「中国人民保険集団(People’s Insurance Company of China)」、「太平洋保険(China Pacific Insurance)」、中国人寿保険もアント・グループの株主である。アント・グループが公表したデータによれば、同社が提供する保険プラットフォームには80社以上による2000以上の保険商品があり、延べ4億人が利用している。また、アント・グループが得意とするフィンテック技術は、保険会社にとって大きな魅力である。

「2019アリババ投資家大会」において、アント・グループの井賢棟董事長は、同社のブロックチェーン技術を使用すれば、治療費の領収書の真偽を簡単に確認することが出来、保険金支払事務一件あたりのコストを100元(約1500円)から1元(約15円)に削減でき、支払いまでにかかる時間を数日から数分間に短縮させることができると話していた。

アント・グループが技術面でさらに進化することで、各業種の株主との提携がさらに深まり、より多くの革新的な変化が起きるだろう。

作者:Wechat ID:tech618 周暁奇

(翻訳:小六)

原文はこちら

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