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中国スマホ大手でIoT家電ブランドとしても知られるシャオミ(小米科技)が、バイトダンス(字節跳動科技)のコラボツールツール「飛書(Feishu、海外版は「Lark」)」を導入することが明らかになった。開発企業はバイトダンス傘下の「北京飛書科技(Beijing Feishu Technology)」(以下、飛書科技)。
シャオミ創業者の雷軍氏は7月24日、SNS「微頭条(weitoutiao)」でコメントを発表し、飛書を全社的に導入することを決定したと明らかにした上で「飛書は、情報の作成・共有や共同作業が非常に簡単かつ効率的で、使えば使うほど使いやすくなる」と述べた。
雷軍氏が微頭条で発表した過去のコメントでも、シャオミが昨年10月から小範囲で飛書のテスト運用を開始しており、今後は運用範囲を全従業員約2万人に拡大していく方針が示されていた。
シャオミは以前、自社開発したグループウエアの運用を試みていた。しかし多くの場合、各部門は従来のOAシステムを使用し、人によってはSNS、電子メール、オフラインドキュメントなどを利用して個別に業務を進めていた。同社の組織が拡大するのにつれて、これらオフィスツールの切り替え作業が業務効率に極めて大きく影響するようになっていた。
今回シャオミを顧客に加えたことで、飛書科技は目標達成に向け大きく前進した。同社は今年の目標として、インターネット、テクノロジーおよびメディアの3業界の大手企業を顧客として取り込んでいく方針を明らかにしていた。
一方、シャオミが飛書を導入するに至ったのは、事業内容が多岐にわたる上、海外にも多くのオフィスを構えるバイトダンスの傘下企業が開発した飛書が、同様の業務形態を持つシャオミに適合したためだと考えられる。
雷軍氏は飛書の導入にあたり、情報作成・共有および共同作業における特長を重視したとしている。飛書の共同作業ツールとしての特長は「情報蓄積の力」と「情報共有の効率」にある。
飛書は、業務の鍵となる情報を合理的に蓄積し、利用者の方針決定によりどころを与える。この考え方は「情報を流通させることで価値を創造する。情報をコントロールするのではなく、情報を文脈(コンテクスト)として提供し、各人に判断の権利を与える」というバイトダンスの理念と一致する。
この考え方は、飛書の機能にも反映されている。飛書のインスタントメッセンジャーではグループチャットの全履歴が閲覧できるほか、ToDoリストの役割も担い、グループチャットに関する全情報が画面左側に表示されるため、効率よく迅速な返信ができる。
文書作成ツール「飛書Docs」は文書の編集だけでなく「共同作業と意思疎通」という価値を備えており、意思疎通の効率を高めると同時に情報の蓄積を簡便にし、日常的な思考や業務の蓄積を企業の知的資産に変換することが可能だ。
飛書Docsには「共同作業と意思疎通」の機能が詰まっている。飛書Docsでは同僚へのコメントや作業の割り振りができる。「@」を利用して文書や表、連絡先、作業グループを挿入すれば、即座にコミュニケーション・モジュールと連動させることも可能だ。共同作成中の文書に編集やコメントが加えられた場合は情報ウインドウに表示されるため、文書を開かなくても最新の状態を知ることができる。
飛書科技は効率的なオンライン会議スタイルとして「飛閲会」を打ち出している。
会議主催者は飛書Docsで作成した会議資料(ページ数無制限)を事前に出席者に送信し、目を通しておくよう要請する。会議開始後15分間は各自が資料を黙読し、オンラインで資料上にコメントすることで質疑応答を行う。主催者は全てのコメントを総括し、その場で問題を解決するか明確な解決策を提示する。さらに、今後の作業およびその責任者を資料上に明示する。
飛閲会の核心的なポイントは、事前に会議資料を読み込んだ出席者がオンラインで随時コメントすることで、会議の効率を大幅に高めたことだ。
類似するスタイルの会議は、米ネット通販大手アマゾン・コム(Amazon.com)が最初に盛んに行うようになった。同社創業者のジェフ・ベゾス氏は、会議でのパワーポイント使用を禁止し、事前に紙ベースで6ページの文書を用意するよう求めた。会議開始後の15〜30分間、出席者全員が黙って文書を読み込んだ後、文書をめぐって議論を始めるスタイルだ。
アマゾン・コムの「6ページの紙ベースの文書」も飛書Docsを利用したオンライン会議「飛閲会」も、本質的には会議開始前の十分な準備によって出席者の集中力を高め、議論の効率と解決可能な問題の数を大幅に向上させている。飛書はさらに、会議後の業務を定量化するとともに責任の所在を明らかにし、会議の内容の蓄積とその後の反復利用を可能にした。
シャオミが飛書を採用したのは、情報の蓄積や流通のツールとして使い勝手の良さを重視しただけでなく、バイトダンスの業務に対する考え方や方法論に共感したためだ。一方、飛書の側から見れば、シャオミという大企業へのサービス提供を経験することで、現行の製品システムの改善につながると考えられる。
(翻訳・田村広子)
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