崩壊寸前だった中国EV「バイトン」、新会社設立でM-Byteの量産に向け再始動

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崩壊寸前だった中国EV「バイトン」、新会社設立でM-Byteの量産に向け再始動

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中国電気自動車(EV)ブランド「BYTON(拜騰)」を展開する「南京知行新能源汽車(Nanjing BYTON New Energy Vehicle )」(以下、バイトン)は7月1日以降、わずか100人の従業員を残して中国での事業を一時停止している。だがバイトンは、完全にその動きを止めていたわけではなかった。

8億ドルを一瞬で溶かした中国新興EV「バイトン」、その崩壊の舞台裏(上)

同社は、「盛騰」と命名した新会社の登記を申請しており、8月末にも企業法人営業許可証を取得する見通しとなっている。新会社は20億元(約300億円)を調達し、延期されていたEV「M-Byte」の量産を加速する方針で、現在「中国第一汽車集団(China FAW Group )」(以下、一汽集団)と「吉利汽車(Geely Automobile)」が出資に向けて積極的に動いている。

バイトンはすでに購買業務も進めている。入札情報サービスサイトに公示された情報によると、バイトンの「新エネルギー車の基幹部品プロジェクトにおける弱電設備の自動制御システムに関する役務委託契約」が8月22日、「南京中時江建設工程」によって落札されている。

開発・購買・製造部門などに残った従業員らは事業の一時停止以降、新会社設立に向け急ピッチで作業を進めていた。

バイトンはM-Byteの設計を一部変更するにあたり、コスト管理を徹底する方針。例えば、一部プロジェクトの委託先を外国のサプライヤーから中国本土のサプライヤーに変更することで時間的・経済的コストを低減するという。

また、自宅待機させていた従業員を順次呼び戻しており、現在稼働している従業員は約130人に増えている。現在は開発スタッフを中心に3回目の増員を進めており、従業員数は間もなく200人近くになる予定だ。

関係者は「バイトンは9月にも全力で事業を再開すべく準備している」とし、当初は6カ月としていた事業停止期間を大幅に短縮する計画を明らかにした。

現在の主な経営陣は、首席事務官の丁清芬氏、サプライチェーン管理・開発担当副総裁の段連祥氏、総経理の応展望氏の3人。このうち、応氏が製造関連の事業を担当している。

バイトンは、一汽集団が6月末に提示した案に基づいて事業再編を進めており、同社南京工場ではM-Byteだけでなく、一汽集団が手掛ける高級車ブランド「紅旗(ホンチー))」のEV「EQ320」も生産することになる。一汽集団がシリーズBでバイトンに出資した際、南京工場の年間生産能力15万台のうち5万台分をEQ320の生産に充てることで合意していた。

同工場では今後、その他のブランドのハイエンドEVも受託製造する計画で、現在はアウディと協議中だという。

事業再開の準備段階において、一汽集団は株主として、引き続きバイトンのコスト管理を強化していく。現在稼働している従業員に対しては、すでに「基本給+歩合給」制度が適用されている。歩合給の割合は職位によって異なるが、全体の15〜30%の範囲だという。

バイトン南京工場

従業員らは新会社「盛騰」の登記完了後、改めて契約を結ぶことになる。バイトンは過渡期における歩合給の全額支給を保証しており、従業員は自動車製造事業の再開に全力を傾けている。

中国新興EVメーカーは今年下半期、競ってセカンダリーマーケットに参入し、活力を取り戻そうとしている。「小鵬汽車(Xpeng Motors)」は「理想汽車(LEADING IDEAL)」を追って米国でのIPO(新規株式公開)を目指しており、「威馬汽車(WM Motor)」は上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スター・マーケット)」への上場を急いでいる。

遅れをとってしまったバイトンは、技術開発と製造の面に残った「宿題」を片付けながら先頭集団を追いかけなければならない。(翻訳・田村広子)


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