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難関のチップ自社開発を諦めないシャオミ その理由は

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スマホ・IoT家電大手のシャオミ(Xiaomi、小米)の雷軍CEOは、10周年記念大会の前に、SNSでファンの質問に答えるイベントを行った。そこで彼は、ここ数年進展のなかったシャオミ自社開発のチップについて、「計画は継続中」だと話した。

この言葉は、様々な要因によりチップの国産化を進める中国のスマホ業界の流れに沿ったものだが、チップを開発するのは、容易ではない。

チップに投資するシャオミ

シャオミは2017年2月に自社開発のチップを発表したが、その後の新製品については全く報道がない状態である。現在の同社の動きを見る限り、自社開発よりも、チップ関連企業に投資することに熱心なようだ。

シャオミは2017年に、政府系ファンドの「湖北省長江経済ベルト産業牽引基金」とともに、「小米長江産業基金」というファンドを立ち上げた。その後の3年間で、公開されているだけで37回の投資を行い、投資対象にはMCU、RFチップ、ディスプレイ用ICなどチップ関連企業がある。ほかにも半導体原材料、部品、集積回路設計などの企業に投資しており、産業チェーン全体をカバーできる規模となっている。

自社開発は難航

シャオミが2017年に発表したチップは、同時発売されたスマホに搭載されたが、売れ行きは惨憺たるものだった。失敗の最大要因は、チップにあった。

シャオミのチップは28nmのプロセスを採用したが、当時はすでに16nmが普及しており、ハイエンド機種には14nmプロセスのもあった。つまり、性能面では初めから勝負にならなかったのである。

加えて、スマホにとって最も重要な通信機能を担うベースバンドチップの開発において、シャオミは難関にぶつかった。その結果、当時のチップは「中国聯通(チャイナ・ユニコム)」の3G、4Gネットワークと、「中国電信(チャイナ・テレコム)」のすべてのネットワークで使用できず、当該機は実質「中国移動(チャイナ・モバイル)」専用の機種になってしまった。

その難題は、5G時代になった今も克服されていない。5Gは2G、3G、4Gの通信も可能であり、これまでの通信技術の蓄積が求められる。いきなり5Gのベースバンドチップだけを開発するというのは、ありえないことである。そのため、半導体の雄インテルでさえ5Gベースバンドチップの開発から身を引き、開発陣をアップルに譲渡した。そのアップルも現時点ではまだ自社開発のチップを搭載せず、クアルコムのチップを使用している。

シャオミの重要課題はなにか

調査会社「IDC」が発表した今年第2四半期のスマホ市場シェアを見ると、シャオミは第4位につけている。5位の「OPPO」との差は1.6%、3位のアップルとの差は3.3%であり、上位との差がさらに広がっている。

2020年第2四半期の全世界スマホ出荷台数 画像はIDC公式サイトより

つまり、シャオミが上を追いかけるのは難しく、下からは強力なライバルが迫ってきている状態だ。となれば、当面の間、スマホ事業に集中することが肝要となるだろう。

スマホ以外では、シャオミが重視するIoT家電も成長が鈍ってきた。2020年第1四半期の財務レポートによれば、IoTとライフスタイル製品の売上高は130億元(約2000億円)で、直近の4期で最低となり、前期比33.3%も下がった。

シャオミの2020年第1四半期財務レポート

前年同期比では売上高が7.8%増となったが、これもスマホの12.3%増、インターネットサービスの38.6%増と比べれば低い水準である。

成長の鈍化の原因として挙げられるのが、ファーウェイ、アリババ、そしてスマホメーカーのOPPO、「vivo」、「realme」、「一加(OnePlus)」などが続々とloT家電を発売したことである。競争が激しさを増すなか、シャオミはIoT家電にもかなりの神経を使わなければならなくなっている。

そうした状況なら、わざわざ巨額な投資をしてチップを開発するのは得策とは思えない。そう考えた場合、スマホメーカーがチップを開発する必要はあるのだろうか。

通信技術の特許をめぐって、近年アップル、ファーウェイが相次いでクアルコムと係争になり、どちらも最終的にはクアルコムに損害賠償し、特許使用料の高騰を飲まざるを得なくなった。その動きを見て、スマホメーカーは続々とチップの自社開発に乗り出しており、シャオミ以外にも、OPPO、vivoが同様な方針で動いている。

さらに、政治的要因がテック企業に甚大な影響を与えうることも、近年に起きた事象が証明している。そのため、難しくても、チップの国産化を進めることは、こうした企業にとっては必要なことなのだ。(翻訳:小六)

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