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中国の生活圏内における小売店での消費市場に、巨大企業が続々と参入してきている。たとえば、アリババ傘下の小売店向け経営支援プラットフォーム「阿里零售通(LST)」は、すでに中国最大の日用消費財のB2Bプラットフォームに成長している。
前述の、生活圏内での小売店販売における日用消費財市場は数兆元(約数十兆円)規模であり、零售通はこのポテンシャルをさらに掘り起こそうと積極的な施策をとっている。8月28日、零售通はプラットフォームに登録している150万の零細小売店向けの新たな措置を発表した。
商品の支援
零售通事業部の林小海総経理は、多くの零細小売店はアリババグループが提供するクーポンをもらうためだけに登録していると話す。現在150万店舗が登録しているが、零售通での仕入れをメインとするのは15万にとどまり、林氏が目標とする20万店には届いていない。
そのため、零售通は商品力をさらに上げることで、零細小売店にプラットフォームの魅力を感じてもらおうと考え、より競争力のある価格と、零售通独占販売商品を提供することを検討している。
特に独占販売商品について、林氏は2〜3年間で、100の独占販売商品を作りたいと意気込む。独占販売することによって、ブランド商品の販売効率を上げ、零細小売店の粗利率とプラットフォームの手数料収入を上げることができるという。
零細小売店のための「インテル」を目指す
林氏は零細小売店にとっての零售通を、「パソコンにとってのインテル」と位置づけている。どのメーカーのパソコンもインテルのCPUを使うのと同じように、どこにある零細小売店も、零售通を利用することで能力を上げることができるのである。
そのため、零售通は流通段階を減らすことに注力し、さらに零細小売店のデジタル・トランスフォーメーションを支援している。しかし、特に前者は実行が難しく、業界の理解を得るのに3年かかったという。
事業が始まった当初、零售通は有名ブランドの代理店から商品を仕入れることを検討した。しかし、代理店はメーカーとの契約で販売先を制限されているために交渉が難航し、零售通は卸売市場で仕入れるしかなかった。それでも、わずか3カ月で、零售通を利用する小売店が10万に増え、一年半後には50万になった。
この時期から、メーカーや代理店は零售通のようなプラットフォームの力を重要視するようになり、零售通に商品を出荷しても、市場の秩序が混乱することはないと考えるようになった。零售通はその後も地道に営業活動を展開し、今年7月に5周年を迎える頃には、メーカー、代理店合わせて1万社以上から商品が提供されるようになった。
零細小売店を「個性のあるコンビニ」に
上記の商品の支援のほか、零售通は零細小売店向けにPOS機の導入を強力に推し進めていく予定である。零售通のPOS機を使用する店は全国に20万店あり、これらの店の売上高は1日あたり5800元(約9万円)増えている。また、商品を零售通のみで仕入れる、より緊密な関係にある「天猫小店」も5000店あり、今後はこれら5000店については全店零售通のPOS機を導入するよう要請し、店の陳列なども一新するという。
この施策において、零售通が想定しているのはコンビニである。日系コンビニの加盟金は30万元〜60万元(約450万円〜900万円)と高額だ。それに対し、零售通に加盟するには、2000元(約3万円)でPOS機を購入し、2万〜3万元(約30万円〜45万円)で零售通の陳列改善指導を受ければよく、それだけでコンビニの70%の機能を実現できる。
林氏はまた、「零細小売店がコンビニのように、無個性な店になる必要はない。要は、コンビニにあるようなサービスを提供すればいいのである」と指摘する。
ほかにも、零售通はアリババグループ傘下の各種事業と連携し、生鮮スーパーの「盒馬鮮生(Hema Fresh)」、オンラインスーパーの「天猫超市(Tmall Mart)」、台湾系の食品スーパー「大潤発(大润发)」、フードデリバリーの「餓了麼(Ele.me)」などのサービスや商品を零細小売店で扱えるようにしていく予定で、零細小売店向けの金融支援なども検討している。(翻訳:小六)
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