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SpaceX投資家に独占取材:イーロン・マスク神話はいらない

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ゲスト:張璐(Lu Zhang)氏、シリコンバレーの著名投資家で、スタンフォード大学工学部卒業。2015年にFusion Fundを設立、現在約1億ドル(約106億円)の資金を管理し、新しい技術を活用するスタートアップに集中して投資。2018年、張氏は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出される。全米十大優秀華人青年のほか、シリコンバレービジネスジャーナルからシリコンバレーで最も影響力のある女性にも選ばれた。

編集者注:本文は36Kr LIVEから抜粋。

シリコンバレー精神:富の創造、最も重要なのは世界を変えること

ーーこのほど、イーロン・マスク氏が創業したBMI(Brain Machine Interface)研究のスタートアップである米ニューラリンク(Neuralink)が小ブタの脳と機械をつなぐインターフェイスの実験が話題になった。また、テスラの株価が急上昇し、イーロン・マスク氏が長者番付で3位に浮上した。現在、中国メディアはマスク氏を地球を救う、不可能はないアイアンマンのように伝えているが、海外やシリコンバレーでは彼のことをどう評価されているのか。

張:マスク氏は確かにBMI、ナノロボットなどの概念を広め、社会に大きく貢献してきた。しかし、ニューラリンクの技術はこの分野で最先端ではない。私たちが2015年に投資した同業のParadromics社の方が技術は進んでいるし、動物実験も2年前に行っている。それでも、マスク氏は間違いなく話題を作ってくれた。ただ、やはり客観的にみて評価をすべきだろう。

マスク氏の評価は、中国、米国、シリコンバレーの内外を問わず一致している。彼は夢を追う革新者であり、こういう夢を追う人が技術の力で人類を探求に突き動かしてくれることを誰もが望んでいる。

シリコンバレーの文化は世界を変え、同時に富を創造することではあるが、最も重要なのは世界を変えることにある。マスク氏だけでなく、シリコンバレーの多くの企業家は技術で世界への影響力を創造することを信条にしている。

マスク氏の過度な神格化は不要

ーー御社はイーロン・マスク氏創業のSpaceXに投資しているが、投資家から見るとマスク氏はどんな人か。

張:SpaceXとテスラの成功の裏には、巨大資本の支えがある。毎年投資家会議で会うと、彼が技術のどこに期待しているかが伝わってくる。彼は自分を支援し、信頼してくれる投資家ととても良い関係を築いている。

また、テスラもSpaceXも強力なチームを抱えている。製品づくりに注力し、さらに専門性の高いメンバーが投資家との橋渡しをして、資金を確保している。科学技術イノベーションの企業であり、ビジネスとしても成功している企業だと思う。

ーーマスク氏のツイッター上や普段の言動がやや派手で、優れたCEOではないと言う人もいるが。

張:上場企業のCEOとして言えば、彼は個人のブランド化を重視し、しかもパーソナルブランドと会社のブランドを密接に結びつけている。これは極めてリスクが大きい。だから、投資家からすれば、取締役会はしっかり会社をマネジメントし、パーソナルブランドと会社のブランドは区別してほしい。

ただ、メディア発表会でのマスク氏が彼の全てだとは思ってほしくない。彼は技術を愛し、本の虫で世間に疎いところさえある。成功のビジネスマンだが、科学に熱い情熱を傾けるハイテク分野の創業者だ。また、彼とチームは仕事でとても苦労している。シリコンバレーでは努力する聡明な人は大勢いるが、努力と聡明さの程度には差がある。彼は非常に聡明であり、しかも普通の人とは比較にならないほど努力する。

とはいえ、マスク氏を過度に神格化するのはいかがなものか。彼のビジョンは、技術で世界をよくすることだ。

ーーマスク氏は「気が狂っている」ように見えるが、彼のロジックと問題を解く方法は非常に現実的で、着実に物事を進める。彼は2006年に4段階に分けたテスラの計画を公表した。第1段階は、新エネルギー車の生産により、資本を厚くする。第2段階は、稼いだ資金で、より低価格の車を生産する。第3段階は、さらに利益を上げ、量産可能でリーズナブルな車を生産する。第4段階はSolar Cityに関することで、太陽光エネルギーを基礎にした持続可能なエネルギーを普及させる。

張:業績の良いスタートアップはいずれもこのようにステップを踏んで進んでいる。技術の活用も同じだ。市場が求めるのはより良く、より速く、より安い製品だが、それが最も良い製品とは限らないし、既存の産業ともつながりがなければならない。

最も重要な目標は生き残ること

ーー2020年はすべての人にとって非常に難しい1年だ。今シリコンバレーのスタートアップ・エコシステムはどうなっているか。
張:世界はコロナ禍にある。これは多くの創業者にとって非常に大きな試練だ。創業者にこの試練に立ち向かう能力があるか、適時調整して対応できるか、同時に厳しい状況でも投資家や提携先に自分の強い決意と会社に対する思いを見せようとするかは、とても重要なことだ。

私は以前取締役会で創業者に対し、この先数年で確かなのは、不確実であることだと言った。不確実で不安定な時は、創業者が直ちに対応できるかが試される。激動の時期こそ、大勢を見極め、耐えることが必要だ。最も重要なのは生き残ることだ。

ーーマスク氏もまさにそういう人物と言える。

張:シリコンバレーのイノベーション精神は、技術で産業に影響を与え、世界を変えることだ。これは3、40年も受け継がれているものであり、マスク氏はこのシリコンバレー精神を体現している。

今後数年のうちに、多くの優秀な創業者が新しいテクノロジーの波に乗って卓越した企業を創るだろう。同時に、Space Xが新たな領域に踏み出して民間企業や政府を刺激したことで、今後軍事産業や政府が深く絡む産業が民間に開放されるかもしれない。

(翻訳・二胡)

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