中国、低コストで携帯性に優れたデジタルX線装置 感染症流行で需要高まる

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中国、低コストで携帯性に優れたデジタルX線装置 感染症流行で需要高まる

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COVID-19パンデミックが世界経済へ及ぼした影響はマクロで見ると大打撃だが、いくつかのニッチ市場に対しては曙光となった。今回は、COVID-19パンデミックに刺激され爆発的に成長し始めた「デジタルX線」について考察する。

X線は私たちにとって身近なものだ。X線(レントゲン)検査はよく知られた医療手段であり、X線検査を受けたことのある人も多いだろう。では、デジタルX線とは何か。デジタルX線(DR)はX線から枝分かれした新しい分野であり、デジタル画像処理システムを利用するので、現像システムのコストと設備設置面積を大幅に削減する。デジタルX線はまた瞬時に画像を提供でき、患者の待ち時間短縮にもなる。

デジタルX線は、放射線源-検査対象-放射線画像検出器-画像デジタル化システム-デジタル画像処理システムから構成される。

従来のX線、CT、MRI、PETなどの大型画像診断機器は導入に数億円の費用がかかり、通常、配備できるのは比較的大きな病院のみである。世界保健機関の調べでは、世界人口の3分の2は医療用画像診断システムを利用できないという。

きっかけはCOVID-19パンデミック

胸部X線は医学界で認められたCOVID-19の診断根拠ではないが、患者のほとんどは陽性と診断された後、レントゲン検査を受ける。

COVID-19パンデミックで大量の患者が押し寄せたとき、既存の画像診断設備では対応できなかった。例えば、COVID-19の疑いがある、または陽性と確認された患者のCT検査を行った場合、CT室を閉鎖して消毒しなければならず、消毒作業には通常1時間を要する。結果、COVID-19関連の検査だけでCT設備を使い果たし、院内感染のリスクをも増加させてしまった。大型のCT装置は非常に高価で、ほとんどの医療機関にとって大量設置など不可能だ。

対するデジタルX線の強みは、その携帯性にある。デジタルX線は医療スタッフが患者のベッドサイドへと持っていけるので、患者はレントゲン室に行く必要がなく、重度のCOVID-19患者の初期診断にかかる時間を節約でき、病院のワークフローと使用効率を改善できる。また、デジタルX線をICU(集中治療室)近くに設置すれば、ウイルス感染のリスク軽減にもなる。

デジタルX線装置では画像処理ソフトと専用機器により処理速度を高速化し、ワークフローを最適化するほか、臨床判断支援システム(CDSS)に接続することもできる。

デジタルX線装置はCTシステムよりも手頃な価格のため予算に限りのある病院にも導入でき、COVID-19対策に適している。また、消毒しやすい形状で、抗菌コーティングが施された装置もあるため病院でも好評だ。米国放射線学会(ACR)も今年3月、デジタルX線システムをCOVID-19の診断治療に推奨したという。

デジタルX線開発メーカー

デジタルX線装置の開発トップ企業は大型医療機器メーカーがメインだ。注目企業としては日本のキヤノンや富士フイルム、中国「聯影医療(United Imaging Healthcare)」「マインドレイ・メディカル(邁瑞生物医療電子)」「万東医療(Wandong Medical)」「奕瑞科技(iRay Technology)」「美亜光電(HEFEI MEYER OPTOELECTRONIC)」「深天馬(TIANMA)」「万睿視(Varex Imaging)」「康衆(CareRay)」、仏「Trixell」、韓「ビューワークス」「Rayence」などの上場企業が挙げられる。

特にiRay Technologyが中国ハイテクベンチャー向け株式市場「科創板(スターマーケット)」に上場し、時価総額が130億元(約2000億円)を超えたことは注目に値する。同社はデジタルX線検出器の中国トップメーカーであり、この分野におけるグローバル市場シェアは12.91%、中国国内のニッチ市場では第1位で、量産能力をも備える。この会社の非凡さは、国産a-Si(アモルファスシリコン)フラットパネル検出器を自社開発して外国メーカーの技術独占を打ち破り、産業チェーンを先進国から中国国内へ移転させたことにある。COVID-19パンデミックにより需要が急増し、2020年の売上高は95%増加すると同社は予測している。

United Imaging Healthcare社のDR装置「uDR悟空」(写真提供:United Imaging Healthcare)

COVID-19パンデミックがもたらした急成長

デジタルX線は肺炎の初期診断を行ううえで重要であり、通常、COVID-19感染症患者の検査にも含まれている。携帯性に優れたデジタルX線装置なら患者のベッドサイドで撮影、画像処理ができ、緊急治療室や集中治療室で肺炎の進行を追跡するためにも使用できる。

また、他の画像診断方法より高速で低コストという強みもある。したがって、多くの国で資金がデジタルX線装置に流れている。今年上半期、デジタルX線装置は大きく販売を伸ばしたものの、新規感染者が減少するにつれて下半期の需要は減少すると予想されるため、2020年のデジタルX線装置の出荷台数は全世界で35%増となる見込みだとデータは示している。(翻訳:永野倫子)

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