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中国の産業用インターネット企業の資金調達が急増 半導体やエネルギーが重点分野

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2020年は、インダストリアル・インターネット(産業用インターネット)が大きく成長する1年になるだろう。中国が年初から推し進めている「新インフラ」の政策の一環として、産業用インターネットが注目を浴びたのに続き、新型コロナ後の経済活動に必要なオンライン化、無人化、スマート化のニーズも高まっているためだ。

こうした背景によって、産業用インターネットは今年、VCに人気の投資先になっている。ここでは、近年の産業用インターネットに関する資金調達を振り返り、その特徴をまとめてみたいと思う。以下に挙げるデータは、すべて調査会社「鯨準(jingdata)」のデータベースから取得したものである。

産業用インターネット業界は初期段階 資金調達はシリーズAまでが中心

産業用インターネットという概念が提唱されたのは2012年で、その後新設される産業用インターネット企業は毎年増え続け、2017年にピークに達した。2015年〜2018年まで、毎年20社以上が設立されている。現在活躍している「雪浪数制(Xuelang Digital System Technology)」、「上海慧程(H VISIONS)」、「格創東智(DETECH)」、「蘑菇物聯(MOGULINKER)」、「錙雲科技(ZIYUN TECHNOLOGY)」といった企業は、ともに2015〜2018年の間に設立されたものである。

産業用インターネット企業の設立年

資金調達額をみると、500万元(約7500万円)以下と1000万〜5000万元(約1億5000万円〜7億5000万円)がもっとも多いことをわかる。74社の資金調達歴を分析したところ、シードラウンドとシリーズAの段階にある企業が70%を占めることがわかった。

資金調達額の比率
各シリーズの資金調達件数の比率

一方で、2017年以前と比較すると、直近3年間はシリーズB、Cの資金調達が増えていることがわかった。

年別の資金調達

資金調達額が急増、特定分野に集中

ここからは、2017〜2020年の52回の資金調達をサンプルとして、企業の特徴、川下産業の業種、出資者の特徴を見てみたい。

2017年以降の資金調達件数

まず、2017年から2020年までの期間、資金調達件数と金額が急増していることがわかる。2017年は全年で調達回数が4回だったのに対し、2020年は9月までの時点で24回の調達が行われており、金額は2017年の65倍の23.6億元(約350億円)に上っている。

2017年以降の資金調達額

産業用インターネット企業の種類別にみると、汎用型プラットフォームが総調達金額の64%を占め、特定業種に特化したプラットフォームの割合は36%だった。さらに、この36%のうち、エネルギーや電力、半導体、エレクトロニクス・アセンブリ用のプラットフォームが、特に多くの資金を調達したことがわかった。

各業種の資金調達額の比率

VCの特徴

出資したVCを見ると、産業用インターネットに複数回出資したVCが多数あることがわかった。

また、産業用インターネットは国策である新インフラの一環であるため、国有のVCや政府が設立した産業基金が出資する例がよく見られる。今回集計した52件の資金調達は総額36.3億元(約540億円)となったが、国有VCや各種産業基金の出資額が、全体の61%に相当する22億元(約330億円)となっていた。

これまで、産業用インターネットについては批判的な声が多かった。アセットヘビーであること、特定業種向けにカスタマイズされるため、他業種への横展開が難しいこと、ビジネスモデルが不明確であることが特に問題視されていた。しかし、アセットヘビーとカスタマイズ化は、当該分野の参入ハードルを高めることができることをも意味する。そして、産業用インターネットの顧客は、資金力を持ち、優れたシステムを導入する意欲が高いため、十分な市場が見込めるといえる。そのため、産業用インターネット分野でも、ユニコーン企業が誕生する土壌が備わっていると言える。現時点ではシリーズB、Cまで成長した企業はまだ少ないが、大きなポテンシャルを持つこの業界を資本市場がさらに支えていけば、いずれIPOする企業が誕生するだろう。

付録:2017〜2020年の52件の資金調達一覧

(翻訳:小六)

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