コストコを狙うアリババ、中国ブランド初の会員制倉庫型店舗をオープン

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

コストコを狙うアリババ、中国ブランド初の会員制倉庫型店舗をオープン

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

10月1日、アリババ傘下の次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」が、中国初の国内資本による会員制倉庫型店舗「盒馬X会員店(Hema X member store)」を上海にオープンした。

盒馬X会員店の第1号店は上海市浦東新区の「森蘭商都(SunLand Mall)」の地下1階にあり、敷地面積は盒馬生鮮のほとんどの店舗より広い1万8000平方メートル。すでに6月4日には、上海で初の盒馬X会員店を経営する計画について発表しており、9月23日にはオンラインでのテスト運営を開始した。将来的には、この業態を北京、西安、深圳等の都市にも展開させるという。

盒馬X会員店は倉庫型の商品棚と、オン/オフライン一体化運営モデルを採用している。盒馬のWeChat(微信)公式アカウントによれば、初回投入される人気商品リストには、高級白酒「飛天茅台」、PB商品の「盒馬MAX南極銀ダラ輪切りトロ」、フィリップスの電動歯ブラシ、エビアンのミネラルウォーター、盒馬のマスコットキャラクターの特大ぬいぐるみなどが含まれている。同店は有料会員制スーパーの業態としてアリババが初めて実現させたプロジェクトであり、「食」のシーンを中心に商品カテゴリーを構築し、費用対効果の高い消費に注力する。

盒馬は2018年にX会員決済システムをローンチした。この会員システムはまず上海で実施された後、北京や深圳などの都市に拡大されていった。現在、盒馬X会員の年会費は258元(約4000円)で、X会員は週に1度(火曜日もしくは水曜日)、盒馬生鮮でも盒馬X会員店と同じ12%引きの追加優待を受けられる。

X会員店はアリババが「ニューリテール2.0」(一体化したサプライチェーンシステムを中心にオン/オフラインの全チャネルで運営と販売を行うビジネスモデル)の時代に行う試みの1つである。盒馬の侯毅CEOは以前、オンライン経済はすでに中国における小売の主流となっており、将来的にはニューリテール2.0がサプライチェーンの上流と下流をつなぎ、サプライチェーンの大規模化と最高水準にまで高められた質および効率を基礎に、いつでもどこでも消費者のニーズを満たし、運営コストを軽減させるだろうと述べている。

2019年8月27日、米会員制スーパー「コストコ(Costco)」中国第1号店が上海市内にオープンした。コストコはコストパフォーマンスの高さを武器としており、オープン初日から熱狂的な消費者でごった返した。その爆発的人気により中国全土で会員制倉庫型店舗モデルが話題となったが、コストコは幸先の良いスタートを切ってすぐ、今度は上海市浦東新区に2号店をオープンした。今後はさらに深圳、杭州、蘇州などへの進出を計画しており、コストコの中国展開への強い意志が見て取れる。

盒馬が中国国内企業として初めて会員制倉庫型店舗をオープンした上海は、米ウォルマート系列の会員制スーパー「サムズ・クラブ(Sam’s Club)」の戦略の要衝であり、コストコの本拠地でもある。盒馬がX会員店のオープン日を国慶節に定めたのは、「中国人自身の会員制店舗」とメディアに解釈してもらうためだ。

小売業で最も重要なのは商品力である。これまで中国の小売業が会員制店舗にチャレンジしようとしなかったのは、バイヤーの能力不足、究極の商品を実現する能力の不足が主な原因だ。盒馬は長年にわたる模索の中で仕入れ能力を絶えず強化しており、会員制店舗へのチャレンジもほぼ必然の流れだっただろう。

盒馬の最大の強みはオン/オフラインの一体化にあるのに対し、コストコやサムズ・クラブの強みはオフラインにある。この側面から見ると、盒馬は将来、コストコやサムズ・クラブにとって最も警戒すべきライバルになるかもしれない。

侯毅CEOは、盒馬X会員の商品はどれも低価格だが、今後さらなる低価格を目指すとしており、会員に驚きをもたらすだろうと述べている。盒馬がWeChatの公式アカウントで発表した人気商品を見ると、茅台酒、ステーキ用牛肉、牛乳などコストコの商品セレクトとも類似している。

盒馬の全国標準品仕入販売総責任者である趙家鈺氏は以前、盒馬は他の会員制店舗よりも中国人の消費ニーズを理解し、ローカルな特色を備えており、これこそが盒馬の大きな強みではあるが、現在の盒馬の商品セレクトを見ると、この強みが充分には発揮されていないと述べている。

「我々は生活の利便性にこだわり盒馬生鮮や小型スーパー『盒馬Mini』を作り、費用対効果にこだわって盒馬X会員店をオープンし、さらに海外生活を表現しようと越境店舗体験センターを作った。我々は様々な業態を通じて盒馬にとって最良のオフライン体系を構築し、アプリに必要なトラフィックを獲得したいと考えている。」(侯毅CEO)

今回オープンした盒馬X会員店が、盒馬の業態多様化ビジョンを完成させるための重要な1ピースになることは間違いないだろう。

(翻訳:浅田雅美)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録