デザイン性と実用性を両立した電動自転車「Molinks」 CATLなどと提携しバッテリー交換ビジネスも視野

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中国で国民的人気を誇る電動自転車は、1990年代に出現して以来その形状も産業チェーンもほぼ変わらないままだ。電動自転車界の革命児と呼ばれるメーカーも現れたが、業界の構図を変えるまでには至っていない。

業界が変わらないのは、電動自転車業界が新規参入者とって厳しいものだからだ。

まず新規ブランドにとって、オフラインの販路を開拓し、アフターサービスネットワークを密に展開することは困難を極める。また完成品を販売するというビジネスモデルでは、在庫過多や資金繰り悪化などのリスクが大きい。加えて二輪車という固定された形状ではコモディティ化が激しく、消費者の心をつかむような差別化が難しい。

新しいビジネスモデルでこれらの問題の解決に取り組んでいるのが電動自転車界のニューフェース「摩霊電動(Molinks)」だ。

摩霊電動はバイクメーカー「浙江銭江摩托(Zhejiang Qianjiang Motorcycle)」と電動自転車部品製造の「雷霆電動車(Leiting Electric Bike)」が共同で立ち上げたブランドだ。銭江摩托はバイクの研究・製造では35年もの経験があり、高い開発力やサプライチェーン統合力、市場開拓能力を摩霊電動ブランドに生かすことができる。

銭江摩托は全国に3000店以上の店舗を抱えており、そのうちの1000店余りで摩霊電動ブランドの販売やアフターサービスを行うという。さらに摩霊電動の製品は銭江摩托の生産ラインや原料を使って生産するため、資金繰りの問題も解決できる。

現在、電動自転車ブランドのオフライン販路は主に販売代理店方式と加盟店方式の2種類がある。「雅迪(Yadea)」や「愛瑪(Aima)」など中国の代表的なブランドは販売代理店方式を採用している。代理店数は雅迪が2019年末時点で2155店、愛瑪が2019年6月時点で1900店ほどだ。対する「小牛(Niu)」や「ナインボット(九号智能)」などの後発メーカーは加盟店方式を採用している。小牛の加盟店数は2020年第1四半期時点で全国181都市に1033店。ナインボットは2020年に400店を開設する計画で、21年には1000店、22年には2000店を目指している。

もし摩霊電動が約束通りオフラインで1000店舗を獲得できれば、新参ブランドとしてかなりのアドバンテージとなる。

一方で、摩霊電動はECサイト大手の「天猫(Tmall)」とも提携し、オンラインで販売し、オフラインで納車するという方式を取り入れている。オフライン店舗に利益を還元することで販路を確保し、オンライン上でもブランドの露出を増やすという作戦だ。オンラインでの売上比率はそれほど高くないものの、天猫サイトでの電動自転車の販売台数は年々増加の一途をたどっており、急速に拡大している分野と言える。

デザイン面でも趣向を凝らしており、米国IDEA賞、ドイツのIFデザイン賞やレッド・ドット・デザイン賞、日本のグッドデザイン賞、中国のデザイン紅星賞など世界の権威あるデザイン賞を幾度も受賞している。

10月21日に天猫サイトで正式にリリースされた摩霊電動の「MOi」はデザイン性と実用性を兼ね備えた新しいタイプの電動自転車だ。

MOi

近年、電動自転車向けのバッテリー交換サービスが急成長中だが、摩霊電動はすでにシェア電動自転車を展開する「哈囉出行(Hello Global)」や車載用電池大手「CATL(寧徳時代)」などと提携を結び、共同でシェアバッテリー技術の開発を行っている。今後リリース予定のモデルは脱着式バッテリーの採用が決まっており、レンタルバッテリーサービスを合わせれば、電動自転車のバッテリー切れ問題を解決することができる。

摩霊電動は幅広い提携を結ぶことでアセットライト方式を実現し、より多くの資金を研究開発に充てることができている。同社の市場における影響力は強まる一方だ。
(翻訳・畠中裕子)


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