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12月3日、AI技術開発の「雲従科技(CloudWalk Technology)」が上海証券取引所に目論見書を提出した。ハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット)」で上場する予定だ。
目論見書によると、雲従科技は37.50億元(約560億円)を調達する予定で、調達した資金はAI技術のさらなる開発と、流動資金に充てられる。
雲従科技は2015年に設立。同社の中心メンバーはすべて中国科技大学と中国科学院の出身で、政府系ファンドから多額の出資を受けているため、「AIの中国代表」と呼ばれている。
設立以来、同社は30億元(約450億円)近くを調達してきた。創業者の周曦氏は自身の企業を通して、雲従科技の株式の23.2%を保有。目論見書によれば、雲従科技は議決権制限株式と普通株を同時に発行し、上場後は周氏が64.6%の議決権を保有することになる。ほかの主要株主に、「中国国新(China Reform Holdings)」、「広州産業投資基金(Guangzhou Industrial Investment Fund)」、「渤海産業投資基金(Bohai Capital)」、「佳都科技(PCITECH)」がある。
同社の直近の資金調達は今年5月に行われ、出資者には「中国互聯網投資基金(CHINA INTERNET INVESTMENT FUND)」、「上海国有企業改革発展株式投資基金」、「広州南沙金融控股(NANSHA FINANCIAL HOLDING)」、「長江デルタ産業イノベーション基金」など政府系ファンドのほか、「中国工商銀行(ICBC)」、ハイアール・グループ傘下の「海爾資本(Haier Capital)」が名を連ねた。
中国の有力なAI企業には雲従科技のほか、「商湯科技(SenseTime)」、「礦視科技(Megvii)」、「依図科技(YITU)」がある。この4社は合わせて「AI四強」と呼ばれているが、雲従科技がこの中では最初に上場することになりそうだ。
雲従科技の業績を見てみよう。2017年、2018年、2019年の売上高はそれぞれ6453.37万元(約9億7000万円)、4.84億元(約70億円)、8.07億元(約120億円)。2020年上半期の売上高は2.21億元(約30億円)だった。
上記三年間はともに赤字であり、その額は、2017年6789.25 万元(約10億円)、2018年2億7145.88 万元(約40億円)、2019年5億587.17万元(約80億円)だった。2020年上半年も4億494.29万元(約70億円)の赤字だった。
調整後純利益は上記三年間でそれぞれ1億631.63万元(約24億円)の赤字、1億8067.52万元(約27億円)の赤字、17億801.61万元(約270億円)の赤字だった。2020年上半年の調整後純利益は2億8620.22万元(約40億円)の赤字だった。
赤字は巨額だが、雲従科技は会社の年平均成長率が358.47%に上るため、2〜3年以内に損益分岐点に到達できると見ている。
また、同社の技術を導入する顧客が増えるにつれ、粗利率が上昇するとしている。2017年から2020年上半期までの粗利率はそれぞれ36.12%、21.46%、38.89%、52.87%だった。これは、ソリューションが標準化できるようになったため、案件あたりのコストが毎年下がっているためだ。また、2020年に発表した最新のハード・ソフトが一体化したAIソリューションのコストも大幅に下がった。これらのことも、同社の利益率の改善を支えるという。
雲従科技の主な顧客は、金融機関、行政、モビリティサービス業界である。直近の大型契約は、今年9月と10月に落札した中国の税関総署と中山医院南沙分院のスマート化プロジェクトである。特に後者の契約金額は3.12億元(約47億円)であり、中国のAI企業が公開入札で落札した契約としてはこれまで最高額である。
なお、目論見書によると、公正価値の変動により、雲従科技は2019年度に株式報酬費用を13億元(約200億円)計上している。(翻訳:小六)
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