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マンガ、アニメ、コスプレなどのサブカルは中国でも根強い人気があり、人気動画サイト「ビリビリ動画」はまさにサブカルの愛好家に支えられて成長を続けてきた。サブカル関連市場の拡大に伴い細分化が進み始め、なかでもサブカルファッションがZ世代(2000年代以降生まれの若者)を中心に注目されている。
テンセントが昨年5月に発表した「2000年代以降生まれの好みについて」というレポートによると、この年齢層が日本の女子高校生制服風の服装(以下「JK制服」と略称)、中国の伝統服装に着想を得た漢服、ロリータファッションに関するものが最も注目を集めたという。新興企業も登場しており、「十三余(SHI SAN YU)」、「重回漢唐(CHONGHUI HANTANG)」などの漢服ブランドや、サブカルグッズのセレクトショップ「十二光年(Shier Guangnian)」が資金調達に成功している。
この業界の新しい動きとして注目されるのが、サブカルファッション愛好家のための「多糖(Duotang)」というSNSだ。多糖のアプリは2020年5月にオープンテストを開始し、これまで100万近いユーザーが登録しており、数十万ものサブカル関連のUGC(ユーザー生成コンテンツ)が投稿されている。サブカルファッションのコミュニティとして、現在中国トップクラスの人気度を誇っている。なお、創業者の劉彦碩氏の前職はビリビリ動画のセキュリティ担当である。
多糖の試算によると、2019年後半時点でのサブカルファッションの愛好家は1000万〜2000万人である。アリババ傘下のECプラットフォーム「天猫(Tmall)」の「2020漢服消費トレンドインサイト」では、2020年に天猫で漢服を購入した消費者は2000万以上だとしている。ほかのECでの購入者も合わせると、2020年のサブカルファッションの購入者は3000万人以上に達すると劉氏は見ている。
大きな市場が形成されつつあるが、この分野に特化したプラットフォームはまだない。サブカルファッションの愛好家は、通常複数のSNSやECプラットフォームを使い分け、情報の仕入れ先と商品の購入先が分かれているのが現状だ。その分、情報と商品の繋がりが弱く、アプリとアプリの間を何度も切り替えなければならない煩雑さもある。
そこで、多糖はまずサブカルファッション愛好家のためのSNSを作り、そこからEC機能も含めたプラットフォームに育てようとしている。こうした細分化された市場のSNSでは、いかにユーザーのロイヤリティを上げるのかが大事だが、多糖はどのような手法を採っているのだろうか。
多糖はまず、サブカルファッション愛好家にとって不可欠な機能から着手し、自分が購入した商品が本当に有名ブランド品であるかどうかの鑑定機能、新商品の発売カレンダーなどを提供した。それによりコアユーザーを集めることに成功した後、多糖はコミュニティ機能に乗り出し、UGCの充実を図った。現在の多糖のコミュニティはJK制服、漢服、ロリータファッションの3つに分かれ、それぞれ一般的なコミュニケーション機能、商品鑑定機能、イベント開催機能が備わっている。
EC機能は現時点ではまだなく、劉氏はコミュニティの質を高め、愛好家の枠を超えるようなイベントを起こすことを重視していると話す。ユーザー間の信頼関係が醸成された後に、個人間の取引を仲介する機能を導入し、そこから見えてきたニーズによって改善を続ける計画だ。
多糖の新規ユーザーの獲得は愛好家同士の口コミによるところが大きい。また、同社は低コストのグロースハックを複数回行い、より正確なマーケティングを実施することに成功している。
多糖はエンジェルラウンドで「真格基金(ZhenFund)」と「源来資本(FountainBridge Capital)」から資金調達をした。今後は上述の通りにコミュニティを育成していくと同時に、サブカルファッションブランドとの提携も視野に入れている。(翻訳・小六)
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