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中国では現在、配膳ロボットの導入が急速に進んでいる。
飲食関連のビッグデータを研究する「餐宝典(New Catering Big Data)」は、中国の配膳ロボット市場の規模が2019年にはわずか2億2000万元(約35億円)だったが、2020年には約12億元(約190億円)へと拡大し、2025年には約150億元(約240億円)に近づくとの見通しを示している。
配膳ロボット市場の規模拡大に加え、ロボット開発をめぐる技術的進歩も目覚ましい。その一方で、実際にロボットを利用する飲食店の現状からは業界に課された課題も見えてくる。
配膳ロボットが実現する効率向上とコスト削減
現在、最も普及している配膳ロボットは「KEENON ROBOTICS(擎朗智能科技)」および「PuduTech(普渡科技)」の製品だ。
KEENON ROBOTICSの李通CEOによると、同社の配膳ロボットは現在、中国全土で1万台以上が活躍しているが、その大半が昨年導入されたものだという。
数年前の中国の配膳ロボットは、設定された経路に敷設した磁気テープに沿って料理を運ぶに過ぎなかった。走行経路が固定されているため、結果的に配膳のプロセスが複雑になるという難点もあった。
しかし、中国国産のレーザーレーダーやRGB-Dカメラ、自己位置推定とマッピングを同時進行するSLAM技術などが発達したため、現在導入されている配膳ロボットの大半は磁気テープを必要とせず、より自由度の高い走行が可能になっている。
配膳ロボットには多数のトレーを設置できるため、ホールスタッフよりも多くの料理を1回で運べるが、現状では安定性確保のため走行速度が秒速0.9〜1.2メートルに抑えられている。
また、配膳ロボットには人間ほどの機敏性を求めることができないため、導入する飲食店には数百平方メートルの大面積と幅1メートル以上の平坦な通路が求められる。
とはいえ、現時点でも配膳ロボットが企業のコスト削減と利益向上に寄与しているのは間違いない。
PuduTechのマーケティング部門責任者によると、配膳ロボット1台が1日で運べるトレーは200~300枚で、ホールスタッフ1人が運ぶ枚数の約1.5倍だという。
また、配膳ロボットの販売価格は2〜3万元(約32〜48万円)、レンタル料は1カ月当たり2000〜3000元(約3万2000~4万8000円)となっている。一方、ホールスタッフの平均月給を約4179元(約6万7000円)とするデータも出ており、費用面での優位性も明らかだ。
配膳ロボット導入の課題
配膳ロボットの導入に問題がないわけではない。ある飲食店従業員によると、店内が混み合っている場合はロボットの走行に支障が生じ、全体の作業効率が下がるため、ロボットの使用を中止することもあるという。ロボット導入の本来の目的に反する現象が起きている。
火鍋チェーン「海底撈(かいていろう)」が運営する面積1600平方メートルのスマートレストランでは6台の配膳ロボットを導入しているが、大部分の飲食店では1、2台程度の導入にとどまっているという事実もある。
配膳ロボット本来の機能を発揮させるには、関連企業の技術向上とコスト低減が求められる。また、飲食店運営企業が配膳ロボットのコストパフォーマンスを正しく認識し、店内環境を整備することも必要になる。業界関係各社の協力があれば配膳ロボットの導入がさらに進み、予測されているような市場の拡大も実現するだろう。
作者:智東西(WeChat ID:zhidxcom)、信義
(翻訳・田村広子)
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