シェアサイクル「Hello」が米上場 資金だけでは解決できない難題とは

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ロイター傘下の金融メディア「IFR」によると、自転車シェアリングの「哈囉出行(Hello Inc.l)」が年内に米国で上場し、最大10億ドル(約1000億円)を調達する計画だという。

Helloからはコメントが得られなかったが、複数の消息筋によると、同社が年内に上場を目指すのは確実だという。共同創業者で執行総裁の李開逐氏は2019年1月に「タイムテーブルはないが、IPOを目指すのは間違いない」と話し、昨年7月には、「科創板を含めて、上場の機会を模索していきたい」としていた。

同社の主要事業は自転車シェアリングだが、直近の数年間、モビリティに関連する分野で多数の新規事業を試みている。電動アシスト自転車シェアリング、バッテリパックの交換、ライドシェア、ネット配車、買い物代行、生鮮食品のECなどがそうだ。

これらの事業はライドシェア最大手のDiDiが手掛けるものと非常に似ている。そのDiDiも、今年上場すると見られている。

新規事業は企業評価額を高めることができるため、Helloの動きは上場前の準備と見ることができる。しかし、それ以上に重要なのは、自転車シェアリングだけでは収益が見込めないため、Helloはほかの事業に手を出すしかないということだ。

同社の筆頭株主であるアントグループ(アリババ関連会社)の態度も変わってきた。アントは2016年から2019年まで、毎年少なくとも哈囉に2回出資していたが、2020年は一回も出資がなかった。2019年6月には、アントグループの親会社であるアリババがHelloに出資するとの情報が流れたが、未だに実施されていない。

それに比べ、ライバルの資金調達は順調だ。DiDiが運営する「青桔単車」は昨年4月に2回の資金調達を行い、調達額は計10.5億ドル(約1100億円)だった。今年に入ってからは、5億ドル(約530億円)の資金調達を求めていると報じられた。生活関連サービス大手の「美団(MEITUAN)」の自転車シェアリングにおける投資も巨額だ。DiDi、美団と比べると、Helloは資金力、運営力ともに劣る。

資金調達が難しくなったHelloはコスト抑制に躍起になっている。業界関係者によると、同社は現在自転車を仕入れるたびにサプライヤーに価格引き下げを要請しているという。また、2019年年末には、哈囉の運営会社である「上海鈞正網絡科技有限公司」が保有するすべての自転車をアントグループの子会社に対して抵当にする形で5億元(約75億円)の融資を受けた。抵当とする期間は2019年12月4日〜2022年12月3日までだ。

つまり、資産を抵当に出さないと融資も受けられない状況なのである。公式発表ではこうした抵当は長年行われてきたもので、会社の財務状況に問題はないと釈明しており、アントグループもHelloを長期的な視点で見守るとの声明を発表した。しかし、疑念はなかなか払拭できず、Helloに出資した株主がエグジットのために同社の上場を急いでいると見る意見もある。

そうだとすれば、よりハードルの低い米国で上場を目指すこともうなずける。しかし、たとえ上場できたとしても、会社、そして自転車シェアリング業界を取り巻く課題はクリアできない。自転車シェアリングの黒字化には大規模な展開が必要だが、数年前に無断駐輪が社会問題になったため、中国の各地とも自転車シェアリングの車両台数を厳しく規制するようになった。資金があっても、規制によって規模の拡大ができないのである。

なかには政府の規制を無視し、違反を覚悟の上で車両を追加する企業もある。しかし、上場企業の場合、こうしたコンプライアンス違反は致命傷になりかねない。上場を本気で目指すのならば、Helloは自身の一挙手一投足を真摯に見つめ直すことが必要だ。

(翻訳・小六)

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