紅米五周年 小米の戦闘部隊はアキレス腱でもある?

2013年7月31日、「ずっと信じてる 良いコトありそうって」とのキャッチコピーで、小米科技(シャオミ)は1,000元(約1万6,000円)スマホ市場に正式参入、その先陣を切ったのは、799元スマホの紅米(Redmi)だった。

以来、紅米は 小米系列製品として歩み出し、徐々に 小米の最有力ブランドへと成長。社名と同じブランド「Xiaomi(小米、以下社名 小米と区別しXiaomiと表記)」製品を追い越す部門もあるなど、今や欠かせない存在である。

この五年で、紅米は 小米の膨大な販売台数とネット基礎ツールの普及を支える強力な戦闘部隊となった。一方で、多くのライバルから真っ先に標的とされる紅米は、 小米のアキレス腱とも言うべき弱点でもある。

戦闘部隊たる所以:膨大な出荷量でネットサービス業務の外堀を埋めた

もし、紅米を失ったら、 小米はどうなる?
答え:二流スマホメーカーに落ちぶれる。

小米のCDR(中国預託証券)目論見書に記載された2017年データによると、Xiaomiの総販売台数はわずか1,762万台であった。2017年の 小米全体のスマホ販売台数は9,000万台を超えるが、その80.7%が紅米であり、海外市場ではその比率がより高くなっている。紅米の販売台数があまりにも多いことが、結果的に一台あたりの販売価格を818元という安値に押し下げた。

こうなってくると、社名のついたXiaomiが紅米の下位ブランドで、紅米が 小米社スマホ本体のように見える。

「ネットサービス業務でいかに利益を上げるか」というマーケティングを 小米が模索する過程で、紅米がXiaomiより重要になっていることは、紅米の出荷量を見れば自ずと明白である。

小米が打ち出す「ソフトウェア、ニューリテール(新しい小売手段)、ネットサービス」という三本柱の中で、ニューリテールは、ハードウェア販売ルートを確立して初めて可能となるものだ。より多くのハードウェアを売り出すことで、より多くのユーザーがネットの基礎的ツールを手に入れ、ネットサービスを利用する機会も増える。

小米が各ルートで販売している様々なハードウェアのうち、出荷量が最大で、小米が展開するネットサービス業務を支えている紅米は、小米のネットサービス戦略にとっても最大の功労者である。トータルサービスとして打ち出している小米アプリに関して言えば、アプリの利用者がXiaomiユーザーであろうが、紅米ユーザーであろうが、本質的に区別はない。

また、早くから海外市場の開拓を進めた小米は、すでに全収入の半分が海外収入となったが、紅米は小米が海外に打って出る際の必殺アイテムともなっている。価格が安いということは、世界中のユーザーにとって大いに魅力的であるのは間違いない。

2018年第2四半期、インドで最も売り上げを伸ばしたスマホに紅米の三モデルがランクインした。韓国では、小米は初めてネット通信会社と提携して紅米Note 5を売り出したが、キャンペーンの赤字補填分は88米ドル(約9,700円)以下で済んだ。スペインでは、紅米Pro 6をXiaomi A2 Liteと命名して売り出し中である。

アキレス腱たる所以:低価格は諸刃の剣

紅米の販売価格は安すぎるのか?

小米のCDR(中国預託証券)目論見書に記載された2017年データから、紅米について販売台数と販売額とを計算すると、紅米の一台あたり販売額はわずか704元である。つまり、大量に販売された紅米製品の中で、700元を切るものがかなりの台数を占めることになるのだが、この価格では紅米の主力製品Noteシリーズは買えない。

システムUI、工業デザイン、質感、カメラ最適化といった差別化要素がある中、価格は一台のスマホにとって一番固めにくい外堀である。低価格を理由に飛びつく消費者は、そのブランドのファンであり続けるのは難しい。

このため、低価格で成功を収めた紅米は、常に競争相手が存在する状態となった。魅族(Meizu)の魅藍、栄耀(honor)の暢玩、聯想(レノボ)の楽檬、中興通訊(ZTE)のBlade A、楽視(Le.com)スマホ、酷派(クールパッド)のcool、360スマホのF、Nなどだ。そのうち、紅米と市場の争奪戦をしているものも少なくない。

ちなみに、インドは価格が消費行動に反映されやすい新興国市場で、栄耀やOPPO のRealmeといったニュープレーヤーも低価格戦略で市場を拡大している。

小米全体の売上額の低さは、膨大な出荷量の割に、収益への貢献が薄いという紅米の限界を示すものである。重点産業領域の上場企業である小米がこの領域で収益アップしようと思えば、大量出荷を続けるしかない。

ただ、中国スマホ市場はすでに飽和状態に近づきつつあり、海外市場は国内以上に熾烈な競争が繰り広げられている。紅米が出荷量を伸ばし続けるのは、今後難しくなりそうだ。

さらに、これも売上額の低さが要因となるのだが、この5年で紅米は、「ローエンド」、「入門機」とのレッテルが貼られ、少なからず小米のブランドイメージを下げることになった。

2016年10月、小米CEO雷軍氏はビジネス誌「中国企業家」のインタビューでストレートに語った。「Xiaomiと紅米という2つのブランドの違いは何かを意識して区別してもらえないと、紅米とXiaomiは似たようなものと言われる」。「当時は高品質目的でも、大量生産目的でも、製品デザインの面での違いはあまり求めなかった」

雷軍氏が挙げたこの二点は、今や紅米だけに若干感じ取ることができる。消費者が「どれを選べばいいか分からない」状態に陥る红米6 Pro、红米Note 5、Xiaomi 6Xといった製品は、紅米の工業デザインが「マトリョーシカ」と揶揄される所以であり、海外展開を開始した新ブランドPocophoneでさえ、そういった声が聞こえている。

市場調査会社Canalysによる2018年第2四半期の中国スマホ市場シェア率データによると、小米は昨年の13%から14%に上がったが、出荷量の同期比伸び率は0である。つまり、小米のシェア率が上がったのは、国内市場全体の総出荷量が落ちたことによる相対的なものだ。

上場一ヶ月足らずの小米だが、休む暇なく新たな戦いに挑むことになる。

五年前、突如として急成長した紅米は小米の出荷量を一つ上のレベルに押し上げた。しかし、国内市場は先細り傾向が見え始めている。この半年で6つも新モデルを出した紅米だが、今回も勇敢な戦闘部隊となれるだろうか?

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事