人事一括管理SaaSの「北森」、ソフトバンクGなどから280億円調達

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人事一括管理SaaSの「北森」、ソフトバンクGなどから280億円調達

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企業のHR(ヒューマン・リソース)一括管理型プラットフォームを運営する中国「北森雲計算(Beisen Cloud Computing)」(以下「北森」)がシリーズFで2億6000万ドル(約280億円)を調達した。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2、ゴールドマン・サックス、フィデリティ・インターナショナル、「春華資本(Primavera Capital)」の共同投資で、既存株主のマトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯中国)、セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)、深創投(Shenzhen Capital Group)などが追加投資を行う。

同社の紀偉国CEOは、今回の資金調達情報が公開されて以降多くの投資機関から引き合いがあったと明らかにした。最終的には高い将来性、豊富な資源などの強みを持つ世界トップレベルの投資機関による出資を受け入れたという。

今回の資金調達は2018年10月のシリーズE以来約3年ぶり。この期間、北森は「一括管理型HRSaaS+LCDP(ローコード開発プラットフォーム)」製品の開発に注力していたという。紀CEOは「この3年一括管理型プラットフォームの普及に賭けていた。過去20年、HRソフトウェアはクラウドコンピューティングと人事管理システムという2つの変化に直面し、インストールタイプのクラウド型人事システム(給与システムや勤怠管理など)、人材採用システム、eラーニングシステム、人事評価システムなどが個別に市場で乱立していた。これだけ細分化されると人事データを統一して分析することが難しく、企業にとっても業務負担が増える。また、中国のHR管理モデル、プロセスや業務はその方法が千差万別で、大・中規模の企業向けにオーダーメイドの製品を構築するチャンスだと感じた」と話す。

北森はこれを皮切りに、業界初となるHR業務に特化したPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)型のLCDPを開発した。このPaaS上でHRに関連するモジュール型のSaaSソフトウェアを積極的に打ち出し、人材採用、人事、給与、勤怠、業績評価、学習など9つのクラウド、20近くのモジュールを含む一括管理型のHRSaaS製品を完成させた。また、PaaSを利用して大・中企業向けにフレキシブルにカスタマイズできる製品を開発し、自社開発サービスを提供した。

人材採用、人事評価、クラウド型人事システム、eラーニングなどHRの各方面にライバル社は多数存在する。特にクラウド型人事システムは20数社が北森にとってのライバルでその競争は最も熾烈だ。しかしライバル社はソフトウェア単体で競い合っており、紀CEOは自社の優位性について以下のように語っている。

「当社が開発に成功した一括管理型プラットフォームは、単体ソフトウェアとは大きく異なる。クライアント企業は複数のベンダーと取引する手間が省け、HR業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)にかけるコストを削減できる。2020年、当社のクラウド型人事システムにおけるSaaSは成長率100%を達成し、まずは『一括管理型』製品は社会に浸透させられると証明できた」

北森のクライアント企業は現在6000社を超え、製品の継続率は110%を超えた。この数字はSaaS開発企業の中でもトップレベルで、今回の資金調達が注目された要因でもある。

北森のSaaS開発は2010年にスタートした。当時、業界では顧客関係管理(CRM)アプリを展開する「銷售易(Neocrm)」、モバイルECの開発・運営支援を手がける「有賛(youzan.com)」、クラウド通信サービスプロバイダーの「容聯雲通訊(Cloopen、Yuntongxun)」などが開発に着手しており、有賛は2018年に、容聯は今年2月にIPOを果たした。北森は2022年にも国外上場を計画しているが、詳細な時期は未定としている。

北森と銷售易はいずれも大企業向けにサービスを展開する。大型クライアントとPaaSの成長速度は遅く、捨て金の多い事業だと考えられていた。過去、その成長モデルに懐疑的な目が向けられていたこの分野で、シリーズFまで進んだ北森は「忍耐強さ」が企業向け(to B)ビジネス成功のカギだと証明しているようだ。
(翻訳:Qiunai)

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