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バイドゥ(百度)が手掛ける自動運転プラットフォーム「アポロ(Apollo)」のロボタクシー(Robotaxi)が7月、広州で一般向けにサービスを始めた。事前予約不要で利用可能であり、広州では現時点で最大規模の自動運転モビリティサービスとなる。バイドゥのロボタクシーはすでに北京市、長沙市、河北省滄州市で一般向けに配車予約サービスを開始している。
同月22日、記者向けにロボタクシーの体験イベントが開催された。筆者が試乗して感じたのは「未来はすでにここにある」ということだ。
違和感ゼロの乗車体験
試乗当日、指定された乗車地点で待つとロボタクシーが迎えに来る。ロボタクシーと普通の乗用車の見た目で大きく違うのは車両上部の「帽子」だ。この帽子のように見える部分には多くのカメラやレーダーなどが組み込まれており、路上を行き交う車両や障害物、歩行者などを識別するのに利用されている。
乗車後、乗客は車内のディスプレイで本人確認を行う。確認が済むと自動運転が開始される。
ロボタクシーの車線変更、右左折、道を譲る行為などはどれも適切だった。運転は終始安定しており、速度もちょうどよく、全体的には人間が運転しているのとほぼ同じという印象を受けた。
運転席には保安要員が乗車している。保安要員は特殊な状況下でのみ車両を操作する。バイドゥのアポロはコンプライアンスと安全性に関わる要件を厳格に順守しており、現時点では全てのロボタクシーに保安要員が乗車している。
運転中、後部座席から見えるディスプレイにはリアルタイムで目的地、車両の速度、予定到着時間、目的地までの距離などの情報と、周囲の車両状況が表示される。ディスプレイの右下には「点賛(いいね)」と「不満(不満)」という選択肢があり、乗客はタッチすることで乗車体験のフィードバックを送ることが可能だ。
「完全無人運転」をどう実現するか
目的地に到着するとロボタクシーは道の端に駐車した。駐車も正確でスムーズだった。試乗体験終了後、アポロの運営責任者は「技術的にはすでに完全無人運転も実現できる」と話した。しかし現行の規定では保安要員の配置が必要だという。「完全無人運転」というのは今後のトレンドであり、業界が共に目指す目標でもある。
もし完全無人運転が実現すれば、保安要員はクラウド上で監視を行うようになるだろう。車両には同乗しないが、高速ネットワークやデバイスを通じて同時に複数車両の状況をモニタリングするようになるはずだ。車両が特殊な状況に見舞われれば、クラウド上の保安要員が遠隔操作を行うことができる。
アポロのロボタクシーが現在直面している主な課題はコストだ。バイドゥの無人自動運転車両そのものが高額で(LiDARだけでもかなりの費用がかかっている)、保安要員の人件費などを加えると、現時点でロボタクシーの収益化はネット配車サービスに比べて大きく劣る。
将来的な見通し
現在アポロのロボタクシーが広州で運行するルートには学校、病院、公園、ホテル、オフィスなどがある。運営時間は9時半から23時だ。ユーザーはバイドゥの「Apollo GO」や「百度地図(Baidu Map)」のアプリからリアルタイムでロボタクシーを呼んで乗車することができる。広州には乗降車地点が200以上あり、今後も増えていく予定だ。
今年2月、アポロは広州市黄埔区と共同で世界初となる自動運転MaaS(Mobility as a Service)プラットフォームを構築。ロボタクシー以外にも自動運転バスなど5種類の自動運転車両を市民向けに開放し、周辺住民の生活利便性を向上させるという。サービスの普及に合わせ、広州市はスマート交通の新インフラモデル都市構築を加速していく。
アポロは今後も政府の指針に従い、コンプライアンスと安全性に関する要求を満たすことを前提に事業拡大をしていく予定だ。より多くの地域で自動運転車両のモビリティサービスがリアルタイムで利用できるようにし、乗降車地点も増やしていくという。
作者:「深響」(Wechat ID:deep-echo) 呉鴻鍵
(翻訳・山口幸子)
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