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中国自動車大手「吉利控股集団(Geely Holding Group)」傘下のスウェーデン「ボルボ・カー(Volvo Cars、以下ボルボ)」が上場する。
ボルボは今月4日、ナスダック・ストックホルム証券取引所へ上場し、250億スウェーデンクローナ(約3250億円)を調達すると発表した。実現すれば欧州で今年最大のIPOの一つになる。米紙ウォールストリートジャーナルは、今回のIPOで同社の時価総額は250億ドル(約2兆8250億円)となる可能性があると報じた。
ボルボの上場は紆余曲折を経てきた。同社は2016年にも上場に関する一通りの手続きを済ませたものの、最終的には実現しなかった。2018年と2020年にも上場を試みたが断念している。
販売台数が15カ月連続で2ケタ成長
ボルボはスウェーデンの高級車ブランドで、1927年に同国ヨーテボリで創業。1999年、米フォードに500億クローナ(約6500億円)で買収された。フォードは世界金融危機のあおりで2010年にボルボを18億ドル(約2030億円)で吉利控股集団(以下、吉利)に売却している。
吉利から資金面のサポートを得て、ボルボは中国市場に参入。同時に従来のガソリン車やディーゼル車(内燃機関車)から純電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HV)への転換を進めてきた。ボルボは全車種でEV版をリリースする目標を中国市場でいち早く実現しており、BEVやプラグインハイブリッド(PHEV)及びマイルドハイブリッド(MHEV)を含むEVの製品ラインナップを完成させている。
ボルボはマーケティング戦略でも「ガソリン車・電気自動車同額制」を打ち出しており、同一車種ならEVモデルもガソリン車と同様の価格設定を採用するという。
さらに世界で持続可能な戦略目標を設定。計画によると、ボルボは2025年にBEVの割合を全車種の50%にまで引き上げ、残りはハイブリッド車とする予定だ。2030年には販売する新車を全てEVにする。2040年までにはクライメート・ニュートラル(気候中立)な企業を目指すという。
市場戦略の方向転換とプロモーションが功を奏し、ボルボの自動車販売台数と売上高は大きく伸びた。データによると、今年上半期ボルボの自動車販売台数は前年同期比44.9%増となり、15カ月連続で2ケタの成長を遂げている。そのうち新エネルギー車(BEV、PHEV)の販売台数は前年同期比150%近く増加し、上半期の世界販売台数のうち約25%を占めた。老舗自動車メーカーの中では新エネルギー車の販売台数比率が最も高くなっている。
業界内にひしめくライバル
中国政府による新エネルギー産業への強力な後押しや「炭素排出のピークアウト」「カーボンニュートラル」などの目標により、中国のEV業界は前途有望だ。2020年の新エネルギー車の販売台数は前年比11%増の136万7000台に達している。将来的には自動車産業の構造転換にともなって製品技術とアフターサービス体制がより成熟すれば、新エネルギー車業界の生産高は大きく成長すると見られている。
しかし長期的に見れば同業界は今後、各自動車メーカーの主戦場ともなる。メルセデス・ベンツやBMW傘下のMINIなど既存の高級車メーカーも続々とEV車種を増やしており、新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」「小鵬汽車(Xpeng Motors)」「理想汽車(Li Auto)」も見逃せない。データによると小鵬汽車は今年9月の月間納車台数が1万412台と初めて1万台を超えた。自動車業界団体・乗聯会のデータによると、8月の納車台数は蔚来汽車が5880台、理想汽車が9433台だった。業界の急速な成長にともない、ボルボもライバル各社との激しい市場シェア争いに直面するだろう。
新エネルギー車への補助金が徐々に減らされていく中、EVメーカーの製造コストは以前より増加している。加えて新型コロナウイルスの影響で世界的な半導体チップ不足が日増しに深刻になっており、フォルクスワーゲンやトヨタなど多くのメーカーが生産縮小を余儀なくされている。ボルボの上場が成功しても、その株価には一定のリスクが存在するだろう。
まとめ
新エネルギー車という勢いある業界でボルボが他社にない強みを築き、技術面でも進化できれば、消費者の人気を獲得できるだろう。しかし、チャンスがあれば課題もある。資本市場は今後、成長の余地などを見て自動車メーカーを評価していくだろう。現在台頭してきている新興EVメーカーは製品やマーケティングなどで全く新しいユーザー体験を打ち出している。ボルボが既存の自動車業界のエコシステムを打破したいならば、資本市場で長期的な投資を獲得して、絶えず進化していく必要がある。
作者:小翡侠 格隆匯新股(WeChat ID:ipopress)
(翻訳・山口幸子)
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