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決済や電子錠、空港ゲートまで、生活の様々な場面に利用されている顔認証技術。主にセキュリティ関係で活用されているが、中小企業が導入するには、費用や複雑な開発応用条件が大きなハードルとなっている。
そこで、画像認識技術関連企業「虹軟中国(Arc Soft)」は、2017年より中小企業向けに自社プラットフォームを開放。顔認識や属性分析のSDK(ソフトウェア開発キット)を無償で提供している。
今年に入り、同社のSDKは動体検出や顔照合などもカバーする最新版にアップデートされた。虹軟中国副総裁の祝麗蓉氏によると、同社のオープンプラットフォームは完全に無料であるほか、利用制限や利用条件も設けていない。企業はプラットフォーム上の全てのサービスを利用でき、バージョンアップもできる。また、同社が提供するオフラインアルゴリズムは、利用企業の情報が流出するリスクも最大限抑えている。
導入場所によって異なる光環境や、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせなど、難しい条件をクリアするため、虹軟はSDK以外にも総合的な資源を提供する。モジュールやチップのメーカー、設備構築サービスなどと連携し、製品提供、産業チェーン、サービスとサポート、マーケティング、資金の面で中小企業の参入を支援している。
シリコンバレーで設立され、今年で24年になる虹軟は、一般の知名度こそ高くないものの、コンピュータビジョンの世界ではトップに位置付けられる企業だ。現在、グローバル売上で上位20機種のアンドロイド・スマートフォンが同社の技術を採用している。2003年、サムスン製品に同社の顔認証技術が導入されて以来、AIを活用した虹軟のデュアルカメラ撮影技術や画像加工・補正機能がアンドロイド端末市場シェアの80%を占めているのだ。
同社のオープンプラットフォームで提供する最新版SDKは、スマートマニュファクチャリング、スマートビルディング、スマートキャンパスの構築や、旅行、自動車、小売り、セキュリティ、保険、IoT、農畜産業など多くの分野で活用されることを想定している。従来はスマートフォンに限定されていた技術を様々な業種に向けて拡張し、「多くの企業との協業によって、産業全体の成長につなげ、各業界のエコシステム形成に結びつけていきたい」と祝副総裁は述べた。
創業者の鄧暉(マイケル・デン)氏によると、すでに約3万社の中小企業が同社のオープンプラットフォームを利用しており、2年以内に10万社が利用することを想定している。
商湯科技(センスタイム)、曠視科技(Face++)、雲従科技(CLOUDWALK)などコンピュータービジョン関連のAI企業は、自社プラットフォームを有償提供することで収益につなげているが、無料開放に踏み切った虹軟は、既存のビジネススキームにどのような影響を及ぼすのだろうか? AIを活用した顔認証技術のさらなる普及に貢献するのか? 今後の動向が注目される。
(翻訳・愛玉)
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