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テンセントの子会社で中国最大手の音楽配信サービス「テンセント・ミュージック・エンターテイメント (TME、騰訊音楽娯楽集団)」が12日(現地時間)、ニューヨーク証券取引所に上場した。
公募(売り出し)価格は13ドル(約1500円)。8.85%高の14.15ドル(約1600円)の初値をつけ、時価総額230億ドル(約2兆6100億円)と、競合のSpotifyにほぼ並んだ。
公開価格はもともと仮条件を13~15ドル(約1500~1700円)に設定していたが、最終的には価格レンジの下限で決まった。また、同日に米預託証券(ADR)を公開し、10億6600万ドル(約1200億円)を調達。低調な市況を受け、予定額40億ドル(約4500億円)を大幅に下回った。なお、今回のIPOの主幹事は「バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ」、「ドイツ銀行」、「ゴールドマン・サックス・グループ」、「JPモルガン・チェース」、「モルガン・スタンレー」。
今年はテンセントが出資する企業の上場ラッシュだった。動画共有サイト「ビリビリ(Bilibili)」、ライブ配信サービス「虎牙(Huya)」、ソーシャルEC「拼多多(Pinduoduo)」、電気自動車メーカー「蔚来汽車(NIO)」、ニュースアプリ「趣頭条(Qutoutiao)」に続き、テンセント・ミュージックが1年の最後を飾った形だ。
今年7月、テンセントからスピンオフしたテンセント・ミュージックは、テンセントが持ち株比率58.1%の筆頭株主だが、競合のSpotifyも9.1%の株式を所有している。テンセント、テンセント・ミュージック、Spotifyの3社は2017年12月に株式交換を実施しており、テンセント・ミュージックも親会社テンセントと共同でSpotifyの株式7.5%を取得している。
米中貿易摩擦や株式市場の不振を受けて、これまでに2回IPOを延期してきたテンセント・ミュージックだが、主幹事の1社は「市況が時価総額に影響することはあっても、同社の収益力は問題ない」としている。
テンセント・ミュージックは中国最大手の音楽ストリーミングプラットフォームで、3大音楽アプリの「QQ音楽」、「酷狗音楽(Kugou)」、「酷我音楽(Kuwo)」のほか、カラオケアプリ「全民K歌(We Sing)」を運営している。2018年第3四半期の月間アクティブユーザー(MAU)は8億人を超え、ユーザーの1日当たり平均利用時間は70分となっている。また、著作権関係で200社以上と提携している。
収益源は主に音楽配信とソーシャル・エンターテイメント・プラットフォーム。2018年上半期の時点で、営業利益の7割はソーシャル事業が占めている。この点、有料会員からの収入を主とするSpotifyとは異なる。
今年第3四半期の営業利益は、前年同期比83.7%増の135億8800万元(約2200億円)。売上総利益は同125.2%増の54億4100万元(約900億円)。「見智研究所」の分析によると、同社の営業利益は2019年から5年間で4倍増になり、主力事業である音楽配信事業が売り上げの4割を占めるようになるという。この推計は、同事業の有料会員の比率が現在の5%未満から14%まで増加するという予測に基づく。
テンセントの娯楽コンテンツ事業の雄として大きな存在感を示すまでに成長したテンセント・ミュージック。音楽市場での勢いは言わずもがなだが、今後はライブ配信サービスのユーザー数増加が頭打ちになったり、著作権料が高騰したりなどで、収益に影響を受ける可能性もある。
上場に際し、同社の湯道生(Dowson Tong)董事長は、「母体のテンセントは一貫してテンセント・ミュージックを多角的に支援してくれた。『テンセントビデオ(騰訊視頻)』との協業で音楽番組を制作するなど、音楽業界の最先端を走るための戦略を実現できている」と述べた。
(翻訳・愛玉)
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