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中国のスマートフォン大手OPPOが14〜15日に開催した「OPPO INNO DAY 2021」で、初の自社開発チップやスマートグラスなど多くの技術的成果を発表した。
OPPOが初めて自社で開発したチップは画像処理に特化したNPU(ニューラルネットワーク処理装置)「MariSilicon X」。台湾半導体大手TMSCの6nmプロセスで製造されている。
チップを自社製造するOPPOの方針は理解に難くない。AIの演算過程では大量のニューラルネットワークのモデルが生成される。とくに動画の利用頻度が高まっている現在、コンピューテーショナルフォトグラフィ(コンピューター処理で画像を生成する技術)にはより高い性能や電力効率が求められるようになっている。CPU(中央処理装置)、GPU(画像処理装置)に加えて、NPUが存在価値を強めているのだ。
OPPOのチップ製品を統括するシニアディレクター姜波氏によると、MariSilicon Xの演算性能は18TOPS(1秒あたり18兆回)。最新のiPhone 13に搭載される「A15 Bionics」の15.8TOPSを上回るとした。演算性能が向上すると同時に、11.6TOPS/W(1ワット、1秒あたり11.6兆回)という優れた電力効率を実現している。
演算性能以外にも大きな技術的進歩を遂げている。より強化されたHDR(ハイダイナミックレンジ=表現できる明るさの幅)、画像情報の損失を抑えるRAWデータ(生データ)現像処理、センシング性能を最大化するRGBW Proモードなどだ。
HDRに関しては、独自の画像処理ユニットを採用することで最高20ビットのダイナミックレンジを実現した。暗所撮影を例に挙げると、一般的なスマートフォン搭載のカメラでは最も明るい場所と最も暗い場所にピントを合わせた映像に大きな差が生じるが、OPPOの公式データによると、MariSilicon Xを用いた暗所撮影では、最も明るい場所と最も暗い場所のコントラスト比は100万:1に抑えられ、ほぼ肉眼と同等のレベルとなる。
RAWデータ現像処理は、これまでのコンピューテーショナルフォトグラフィ技術と異なり、RAWデータの段階で画像処理を行うことで画像情報の損失を抑える。いっぽう従来の方法では、処理を繰り返すことで多くの画像情報が失われてしまう。
RGBW Proモードに関しては、チップ内部でRGB信号とW(白色)信号を別々に処理することで、各種画素の特性を最大化する。
MariSilicon Xは、2022年第1四半期に発表予定の旗艦モデル「Find X」に搭載される。
チップの内製化はOPPO独自の技術的優位性を高め、ハイエンド路線へ舵を切る一歩となる。創業者の陳明永CEOはOPPO INNO DAYに登壇した際、「MariSilicon Xはチップ自社開発のファーストステップに過ぎず、今後もリソースの投入を続け、数千人規模の組織で着実にチップの開発を進めていく」と述べた。
イベントでは同社初のスマートグラス「OPPO Air Glass」も披露された。
スマートフォンのコンセプトを踏襲したのか、Air Glass最大のセールスポイントも軽量・薄型であることだ。重さは30グラム以下、レンズの厚みは1.3ミリで、専用メガネのつるに取り付けて使う設計になっている。
レンズは単色表示で、現在最もよく使われる回折ウェーブガイド技術が採用されており、平均輝度は1400ニト。翻訳、プロンプター、ナビゲーション、AR店舗検索などの機能が備わっている。タッチ操作、音声操作に加え、ハンドジェスチャーや頭を動かしての操作に対応する。クアルコムのウェアラブル端末用チップ「Snapdragon Wear 4100」を搭載し、バッテリー駆動時間は10.5時間で、2022年の旧正月時期に中国国内で発売予定だ。
(翻訳・愛玉)
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