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中国シニア向けの趣味特化型SNS「紅松」がこのほど、シリーズA+で1億ドル(約113億円)近くを調達した。「ベルテルスマンアジア投資基金(BAI)」が出資を主導。既存株主の「経緯創投(Matrix Partners China)」「創世伙伴資本(CCV)」「藍馳創投(BlueRun Ventures)」も追加出資した。
紅松は、中国の定年後のシニアに趣味を通じた交流の場を提供している。そのカテゴリーは声楽や楽器演奏、書道、絵画、ダンス、朗読、健康、デジタル、英語、旅行など数百種類に上る。各コミュニティは「小站」と呼ばれる単位で運営され、全国各地から集まる専門家の指導をオンラインで受けられるだけでなく、共通の趣味を持つ友だちづくりもできる。紅松を利用するシニアたちは、定年後も暇を持て余すことなく再び自身の価値を発揮している。同社は現在、利用者1000万人超と小站のリーダー数千人を抱え、急速に成長している。
2021年5月に発表された第7回国勢調査の結果によると、中国の総人口は14億1178万人で、うち60歳以上が18.7%、65歳以上が13.5%を占めた。60歳以上の高齢者人口は前年から5.44%増加した。現代の高齢者は、文化的な娯楽や生活の質に高い水準を求めている。しかも高い消費力と十分な時間を持っている。同社はシニア市場に大きな可能性があると判断した。
インターネット技術が発展し続ける中、デジタルでシニアライフを支える動きが活発化している。同社は2019年下半期に設立され、定年後のシニアの精神的欲求を満たすことに注力してきた。創業者の李喬CEOは「市場に出回るプロダクトはシニアの基本的なニーズに応えられていない。定年後の孤独を解消するためには『第2の人間関係』を形成する質の高い場所が必要だ。インターネット上で自分に合う場所を見つけ、より自由に交流してほしい」と語る。
同社は、コミュニティ別に設けた小站を「リーダー」に運営させる方式をとっている。リーダーにはライブ配信ページやサブチャンネル、パーティー機能などの運営ツールを提供する。ユーザーはライブ配信やサブチャンネルでのチャットなどを利用して交流できる。
市場に出回る大部分のソーシャルプラットフォームと違い、紅松はシニアを対象としていることに特徴がある。李CEOは、同社は初心を忘れず、ユーザーとの信頼関係を築こうと努めているとした上で「信頼関係の構築には時間が必要だ。ただし、シニアは何かを選択するのに時間をかけるが、一度選択したものへのロイヤルティー(忠誠度)は高い」と指摘する。
同社は「良いことはみんなに伝えたがる」というシニアの特質を生かし、口コミでユーザーを拡大している。ユーザーは、夫婦や親戚、友人、元同僚、隣人など近しい関係の人に紅松の内容を伝え、潜在的なユーザーを発掘する。李CEOによると、現在のユーザー定着率と参加率は良好だという。その理由の1つ目は、ライブ配信というスタイルが、特定のテーマで交流するのに効果的なこと。2つ目は、趣味のコミュニティ別に設けられた小站でイベント予告や資料の配信がされるほか、メンバー同士のグループチャットなどが展開されていることだ。
紅松は現在のところ、中国最大のシニア向けオンライン趣味コミュニティとなっている。李CEOは今後の事業方針について「小站の機能改善を続け、リーダーと一般ユーザーそれぞれのニーズに応えていく。新たに優秀なリーダーを迎え、共にサービスを提供する中で新たなニーズを発見し、収益化の道を探り続ける」と述べた。
(翻訳・田村広子)
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