自動運転トラック「図森未来(TuSimple)」が中国事業売却へ、米国市場に集中

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自動運転トラックを開発する「図森未来(TuSimple)」が中国事業を手放し、米国市場に集中しようとしている。ロイター通信が現地時間3月17日に伝えた。

図森未来と米国政府はすでに、同社の中国子会社のデータ収集を制限することで合意している。ロイター通信によると、図森未来は10億ドル(約1200億円)で中国事業を売却する意向で、プライベートエクイティファンド「博裕資本(Boyu Capital)」を含む出資者と折衝中という。

これについて36krは図森未来に問い合わせたが、現時点で回答はない。

図森未来は2021年4月に米国ナスダック市場に上場した。公募価格は1株あたり40ドル(約4800円)で、10億ドル(約1200億円)を上回る資金を調達した。昨年9月以降図森未来の株価は低迷しており、一時は10ドル(約1200円)を割り込んだ。中国事業を売却するという情報が拡散すると、株価は22.37%値上がりした。

図森未来は上場当初から米国政府の厳しい管理のもとに置かれており、一年にわたる調査が実施された。

図森未来のCAO(最高総務責任者)兼法律担当のJim Mullen氏はかつてブルームバーグの取材に対し、米国本社では中国チームに自動運転トラック技術のソースコードやアルゴリズムを提供していないと答えた。しかし米国政府は手を緩めることはなく、今年2月18日に調査は終了した。

ブルームバーグの報道によると、図森未来と米国政府は技術監督、経営陣、セキュリティ報告について次の内容で合意した:

1.図森未来は自動運転トラック事業の技術監督権の一部を米国政府に移譲する。自動運転トラック事業のソースコードやアルゴリズムなど自動運転に関するデータに中国支社がアクセスするのを制限する。

2.図森未来の大株主である中国ネットサービス大手「新浪(SINA)」の幹部2人、曹国偉氏とBonnie Yi Zhang氏は、今年の任期終了をもって退任する。新浪傘下の「Sun Dream」社は新たに取締役を任命しない。新浪は持ち株を増やさず、現在の持ち株を手放すよう求められることはない。

3.図森未来は新たにセキュリティ担当者とセキュリティ担当取締役を任命し、セキュリティ管理委員会を設置する。同委員会は定期的に会議を開き米国の対米外国投資委員会(CFIUS)に報告する。

以上の措置を講じれば、図森未来は米国で合法的に事業を展開することができる。

業界関係者は36krに対し、図森未来と米国政府の合意は、中国自動運転事業に対する同社の貢献がゼロになることを意味すると語った。

米中で展開の自動運転「図森未来」、米政府と中国役員排除などで合意。ナスダック上場後調査

自動運転はAIの最先端技術として国家の道路、地図データのセキュリティに関わるものであり、米中両国が覇権を争う場でもある。両国のデータセキュリティ管理を巡る駆け引きのせいで、中国国内の自動運転企業の米国上場は難しくなってしまった。

図森未来は2015年に陳黙氏、侯暁迪氏、郝佳男氏が共同で設立した。米中両国で事業を展開し、新浪、米半導体メーカー「NVIDIA」「治平資本(Zhiping Capital)」「複合資本(Composite Capital)」などから資金を調達してきた。米国では主に幹線輸送における自動運転に注力しているが、中国では港湾、埠頭エリアでの応用を進めている。

同社は2021年4月に正式に米ナスダックに上場した。これは自動運転関連としては世界初であった。昨年の業績を見ると、図森未来の売上高は626万1000ドル(約7億5000万円)で、前年比240%増だった。売上高の伸び幅が大きい一方で、損失も一昨年の1億7800万ドル(約210億円)から7億3200万ドル(約880億円)へと拡大している。

図森未来は米国で20社以上の顧客を抱え、自動運転トラックを7000台近く受注しているとはいえ、自動運転技術の研究は未だ先が見えない。ロイター通信は、セキュリティの問題が解決すれば単独で発展できるかもしれないとしている。

しかし切り離された同社の中国事業は自動運転レベル3(条件付運転自動化)が基本で、米国のアルゴリズムシステムとは異なっているという。現在は自動運転支援システムやドメインコントローラーの研究開発に取り組んでいるものの、難航する可能性が高い。

中国の自動運転トラック事業はまだ形勢がはっきりしていない。図森未来の中国事業の将来は自社開発トラックのメーカーなのか、それとも急成長を続けるスタートアップ企業か。結論が出る頃には、国内の自動運転トラック業界は今とは全く異なる様相を見せることだろう。

いずれにせよ、今後中国の自動運転トラック市場で図森未来の姿を目にすることはなくなる。

(翻訳:36kr編集部)

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