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EV(電気自動車)向け超急速充電バッテリーを開発する「広州巨湾技研(Greater Bay Technology)」がこのほど、シリーズAで約10億元(約190億円)を調達した。中国著名投資機関が多数出資したほか、既存株主も追加出資を行った。巨湾技研によると、今後も超急速充電技術「XFC(eXtreme Fast Charging)」の開発やXFCバッテリーの生産力向上を加速させ、超急速充電のエコシステムを積極的に拡大していくという。
巨湾技研はこれから生産拠点や研究開発センターの建設、生産能力の提携などを重点的に推し進める計画だ。2023年には広州市南沙区に、XFCバッテリー8GWhの生産能力を備えた第1期工場が落成し生産を開始する予定で、新エネルギー車12万台にサービスを提供できるようになる。2025年までには生産能力を120GWhに拡大し、華中、華南、西南、華北など複数エリアで事業を展開するという。また多方面の産業資源を統合しながら、グレーターベイエリア(香港・マカオ・広東省の珠江デルタ)を起点として、超急速充電のエコシステムの積極的な拡大を推し進めるという。
同社は2020年9月に設立されてからわずか2年足らずだが、すでに2回の資金調達を経て評価額は数倍に膨らみ、新エネルギー分野のユニコーンとなった。国有企業の広州汽車集団(GAC)が民間資本を導入した混合所有制企業としてグループ内で立ち上げた初の企業で、EV向け超急速充電バッテリーや次世代型の高性能蓄電装置およびシステムの開発、製造、販売、サービスに注力している。
これまで、充電時間の長さがネックとなり新エネルギー車の大規模普及が進まず、ピュアEVの用途も多くが日常的な通勤などに限られてきた。現在、超急速充電技術はEV普及のための重要な起爆剤と見なされており、世界の新エネルギー産業の共通認識また競争の焦点となっている。欧米の大手自動車メーカーや先端分野のベンチャー企業は、一日も早い商用化を目指して、超急速充電技術の開発を積極的に進めている。
急速充電とは短時間に大量の電力をバッテリーに充電することを指すが、充電時間や充電率(SOC)の具体的な数値指標について統一規定はない。米国エネルギー省(DOE)はEV向けバッテリーの超急速充電を次のように定義している。バッテリーの比エネルギー200Wh/kg以上、充電スタンドの出力400kw以上で、10分以内に車載バッテリーを80%まで充電し、航続距離322キロメートル分の電力を充電できること。まず2023年にEVの急速充電時間(80%まで充電)を15分以内に短縮させる短期目標を定めている。超急速充電がEV普及を実現するための克服すべき重要課題として認識されていることは明らかだ。
巨湾技研の超急速充電システムは高い電流値に対応している。常温でEVやバッテリーパックを0%から80%まで充電するのにかかる時間は3Cで15分、6Cなら8分となり、米国が設定した2023年の目標値および超急速充電の定義をすでに満たしている。(編集部注:Cとはバッテリーの充放電特性を示すCレートのこと。0%から1時間で満充電できる電流値を1Cとし、数値が高いほど大電流で充放電できる)
巨湾技研の開発した6CのXFCバッテリーは広州汽車の「AION」に搭載され、EVの充電技術としては世界最速を記録した。3CのXFCバッテリーを搭載した「AION V plus」はすでに市場で販売されており、6Cバッテリー搭載モデルも近く発売されるという。
中国国内では、新エネルギーを活用した車載バッテリーの開発が急成長期を迎えている。巨湾技研は超急速充電技術を「国家の強み」にしたいと考えており、「XFCバッテリーの普及やエコシステム発展を通じて、より良い乗車体験と充電設備のコスト削減を実現し、新エネルギー車分野で中国が勝ち取った国際的競争力の維持と強化に貢献したい」と意欲を見せた。
(翻訳・畠中裕子)
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