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ハリウッドのSF映画で描かれるロボットは超人的な能力を備えているが、現実世界では、最も身近で最も役立つと言えるロボットも、床掃除しかできないのだ。
まさにこの点に気づいた米iRobot社は、宇宙探査、防衛技術、医療用ロボットの研究開発を経て、2016年から家庭用ロボットに専念しようと決断した。1990年に創設された同社は、2002年に初代ルンバを発売して以来、全世界で2500万台以上の家庭用ロボット掃除機を販売してきた。現在主な製品ラインはロボット掃除機、床拭きロボット、プールクリーニングロボットの3種類だ。
3月11日、iRobot社は中国でルンバi7+を発売した。セットにはルンバ本体、充電台のほか、自動ゴミ収集機クリーンベース™が付属されている。販売価格は6999元(約11万円)だ。同社のコリン・アングルCEOによれば、ルンバi7+は主に2つの点でバージョンアップしたという。
1つ目は自動ゴミ収集機クリーンベース™である。充電台に戻ったルンバは充電されるだけではなく、本体のダスト容器内のゴミが自動的にクリーンベースの使い捨て紙パックに吸引される。ユーザーは数週間に1度紙パックを捨てて新しいものに交換するだけでいい。
2つ目はImprint™スマートマッピング機能である。最大10部屋の間取りや階の違いを記録し、学習する。キッチンやリビングの位置を把握できるルンバは、ユーザーがiRobot HOME アプリを使って設定した時間、場所、方法に従い、指定された範囲を自動で掃除してくれる。
iRobotの高価格戦略が中国の消費者に受け入れられるかどうかについて、アングルCEOは「iRobotの目標は最高のロボットを作ること。安価のロボットを求めるなら、それは我々の製品ではない」と答えた。また、中国の掃除ロボットメーカー「科沃斯(ECOVACS)」をライバルと思うかという質問に対して、「最初は気にしていなかった。しかし彼らは急成長を遂げてロボット掃除機のローエンド市場を席捲し、大きな成功を収めている。良い会社だと思うが、当社とは市場の位置づけが大きく異なる」と語った。
このほか、アングルCEOは、中国市場をターゲットに3年間を費やして開発した小型床拭きロボット「ブラーバジェット」にも言及した。中国の家庭はフローリングの部屋が多く、床の拭き掃除ニーズが大きい。そして隙間なく家具が置かれた小さな家が多く、コンパクトなロボットが適している点に気づいたのだという。
iRobot社の中国拠点ゼネラルマネージャーKelly Zhang氏によると、2016~2018年間、同社は上海オフィスの開設と中国市場の戦略策定に重点を置いていたが、2019年は売上拡大に注力し、特にハイエンド製品によって利益を出したいという。中国における売り上げの大部分はインターネット販売によるものだが、アングルCEOは実店舗での販売を重視している。店舗なら消費者にロボットの動きを実際に見てもらい、ブランドストーリーを深く理解してもらえる。
2002年以降、ルンバの製造は中国の複数の工場に委託してきたが、今年は新たにマレーシアの工場と契約を結んだ。商品の安定供給を目指すと同時に、米中貿易摩擦の影響を避けるためだ。また、先日ドイツで発表されたばかりの芝刈り機ロボット「Terra」など、新たな製品ラインも計画している。
ルンバi7+は、米国ならアレクサやGoogleアシスタントによる音声操作が可能で、中国でもアリババが開発した天猫精霊(Tmall Genie)に対応している。アングルCEO によれば、iRobotのスマートホームにおける最終的な役割は、単なるロボットメーカーではなく、空間情報の提供者であるという。
(翻訳・桃紅柳緑)
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