「VR版ユニバーサル・スタジオ」目指す 大規模VR空間「IMMERSIVE WORLD」、半年で2回の資金調達

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大規模VR(仮想現実)空間プラットフォームの「沉浸世界(IMMERSIVE WORLD)」が、半年間にシリーズA1およびA2で数千万元(数十億円)を調達した。シリーズA1は「麟閣創投(LingeVentureCapital)」が主導し、既存株主の「惟一資本(WE Capital)」、「復朴資本(Fellow Partners)」が出資に参加、シリーズA2では上場企業1社が単独で出資した。調達資金は主に技術のアップグレード、コンテンツ研究開発、人材採用、マーケティング費用などに充てる。

IMMERSIVE WORLDは2016年に設立された。ポジショントラッキングやモーションキャプチャー、体感型シミュレーションなどのVRディスプレイ技術を通じ、新世代の消費者に他とは一線を画すオフラインエンターテイメント体験を提供する。設立以来、VR技術、VRコンテンツ、オフライン施設運営など重要な要素を連携させてきた。公式情報によると、2021年末時点で全国30都市以上にVR施設100カ所近くを展開し、目下のところ商業施設に入居する最大の大規模VR空間ブランドとなっている。

VR市場は育成段階の初期にあり、一般ユーザーの多くが初めてVR技術に触れるのが体験施設であるため、同社は大規模VR空間プラットフォームとして市場育成の必要性を感じている。

家庭でVRゲームをプレイする際にはスペースの制約上ボタンでキャラクターの歩行を制御しなければならない。その結果、視覚と体の動きのズレにより3D酔いが起こり、ユーザーエクスペリエンスが低下する。これを解決するのが「大規模VR空間」だ。大規模VR空間のソフトウェアおよびハードウエアのワイヤレス技術を活用して、ユーザーは100平方メートルを超える同社の施設内で、現実と同じ1:1のスケール感で空間を歩行し現実を超えた体験ができる。

IMMERSIVE WORLD創業者の陳鑫氏は、VRに代表される技術の向上でコンテンツの表現形式がテキスト以外のラジオドラマや映画などに広がったほか、複雑なシーンをよりリアルに体験できるようになったとして「VR技術によりユーザーは想像するだけの傍観者でなくなった」と語る。

市場調査プラットフォーム「Statista(スタティスタ)」によると、2020年の世界VR産業の市場規模は38億9000万ドル(約5300億円)だった。VRゲーム、ソーシャルVRがデジタルエンターテイメントとして台頭するにつれて、I2020年から2024年までの世界VR産業の年平均成長率は54%に達するとIDCは予測している。加えて、VRテクノロジーは既存産業のデジタル化にもつながる。陳鑫氏は、VR技術によって消費者のエンターテイメント体験がいっそう向上すると述べる。

豊富なVRコンテンツ

IMMERSIVE WORLDは設立から6年間、密室モノ、ドラマシリーズ、シューティング系、SF系など豊富なVRコンテンツを制作してきた。

公式情報では、IMMERSIVE WORLDは国内外の多数の著名IP(知的財産権)と提携関係にある。今年の夏休み時期には、「仙剣奇侠伝1(The Legend of Sword and Fairy 1)」が初めてVRゲームとして体験施設に登場する。

VR版「仙剣奇侠伝1」

陳氏は「具象化したシーンを立体的に伝達できればユーザーは作品中のキャラクターになりきれる。VR技術はユーザーが情報を受け取るハードルを下げると同時に臨場感を高め、いっそう興奮を誘うものとなる」と語る。

VR技術プラットフォーム「FREMA」を構築

IMMERSIVE WORLDは、川上の開発者エコシステム、川下のユーザーおよびVR施設運営者へのサービス向上のため、VR技術プラットフォーム「FREMA」を構築した。

同社は川上の開発者に、主要なVR開発エンジンに対応したSDK(ソフトウェア開発キット)、VR空間計測などを含むフレキシブルで使いやすいプログラミング環境を提供する。川下のユーザーには、超低遅延・高フレームレートレンダリング技術、多人数位置測位技術などの安定したゲーム体験を提供する。VR施設運営者向けには、店舗運営管理システムでエコシステムの段階的な拡大を図る。

‍FREMAは主にIMMERSIVE WORLDの大規模VRアルゴリズムの力を借りて、バーチャルビジョンシステムやフィルム制御システムなどの特許を含むVR基礎技術によって優位性を作り上げている。テクノロジーとコンテンツを公開することで、VR業界のエコシステム構築にも寄与する。

iResearchのレポートによると、オフラインのエンターテイメント市場は2017年に3735億1000万元(約7兆5300億円)に達し、2019年には約4900億元(約9兆8800億円)と年におよそ15%のペースで拡大してきた。将来的にはマーダーミステリー、脱出ゲーム、KTVや映画館などエンターテイメントのリアルな消費分野全体が仮想世界に具体的な形で表現できると考えられる。

摸金校尉

目下、同社のVR施設は、主に一線・二線都市の中心部にあるショッピングモールにあり、今後2年間は、大型デジタルテーマパークやすぐにVR体験ができるコミュニティショップの開発を計画する。うち、大型デジタルテーマパークはディズニーランドやユニバーサル・スタジオをベンチマークに1000平方メートル以上の施設で同時に100人がプレイできるようにし、ヘッドマウントディスプレイを装着して恐竜に追われる体験ができるなど「VR版ユニバーサル・スタジオ」を目指すという。

(翻訳・大沢みゆき)

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