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4月19日、ショート動画共有アプリ「TikTok(中国版「抖音」という)」は、「安楽(北京)電影発行有限公司(EDKO (Beijing) Distribution)」、不動産大手「万達集団(Wanda Group)」傘下の「万達影視伝媒(Wanda Media)」、「光線影業(Enlight Pictures)」、アリババ傘下の「アリババ・ピクチャーズ(Alibaba Pictures Group )」、「新麗伝媒(New Classics Media)」、「英皇電影(EMP:Emperor Motion Pictures)」ら映画やドラマを制作・配給する6社と戦略的に提携し、メディアミックスの新たなプロモーション戦略「視界計劃」を共同でおこなっていくと発表した。今後、TikTokは上記6社と、楽曲のプロモーション、コンテンツのメディア展開等で協力していく。
TikTokの運営会社「バイトダンス(字節跳動)」副総裁の趙添氏は、これらの企業と「今後1年間で少なくとも40本以上の映画プロモーションで協力する」と語った。協力内容はTikTokのショート動画を映画やドラマのプロモーションツールとして役立てるメディアミックス戦略「視界計劃」を皮切りに、映画興行前の宣伝広告、コンテンツのメディア展開、データ分析、バズマーケティングなど多岐にわたるという。
「2018年中国インターネット視聴発展研究リポート」のデータでは、2018年6月、中国のショート動画ユーザーは5億9400万人に達したといい、このうち97.5%がインターネットで視聴している。市場規模は、同年末に118億元(約1900億円)を超え、前年比106%増となる見通し。
ショート動画市場は引き続き成長トレンドにあるが、ユーザーを惹きつけるアテンション・バリューによってプラットフォームの構図も変化する。モバイル関連データ統計会社「Quest Mobile」によると、2018年12月におけるモバイルインターネットの一人当たり1日の平均使用時間は341.2分で、そのうちショート動画が33.1%で第1位を占めているという。
ショート動画アプリに注目が集中している。こういった状況で、映画配給会社がこれをプロモーションに利用しない手はない。光線影業がプロモーションを手掛けた映画「超時空同居(How Long Will I Love U)」の例では、まず人気タレントやアイドルがTikTokに関連動画を投稿すると、再生回数が1億3900万回にのぼった。さらにユーザーにも参加を促すと、最終的には2万4000人が参加し、再生回数は8億3300万回にも達したのだ。
映画そのものだけでなく、映画で使われている楽曲(挿入歌)等のプロモーションでもその効果が期待される。アリババ・ピクチャーズや万達影視伝媒、新麗伝媒が手掛けたコメディ映画「西虹市首富(Hello Mr. Billionaire)」の楽曲は、関連ショート動画がTikTokで240万本以上投稿された。これに10億の「いいね」が付けられ、再生回数は50億回を超えた。
サッカー関連PR会社「北京旋風時代文化伝播有限公司(Beijing Whirlwind Age Culture Communication)」のスタッフは、同社が制作した楽曲もTikTokと連携してリソースシェアリングという手法でメディア展開したと語る。TikTokは既に映画やドラマの制作会社、音楽制作会社にとって欠かせないプロモーション手法となっている。
またTikTokにとっても、ユーザーを惹きつけてプラットフォームを盛り上げるためには多くの映画やドラマ、音楽コンテンツが必要だ。2019年1月の時点で、TikTokのデイリーアクティブユーザー(DAU)は2億5000万人、月間アクティブユーザー(MAU)は5億人を超え、ショート動画の業界第1位となっている。しかし、その地位に胡座をかいてはいられない。追い上げて来る多くのライバルには注意が必要だ。
(翻訳:貴美華)
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