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中国国営テレビ・CCTV が世界消費者権利デーに放送した特集番組「315晩会」で、ある電話のアウトバウンドシステムが取り上げられた。問題のシステムは人の声を完全に模倣して発することができるだけでなく、さらにコンピューターの電源をオフにした状態でも稼働でき、1日に最大で5000件ものセールス電話を発信できるという。
中国のIT大手「奇虎360(Qihoo 360)」が提供するAIセキュリティシステムのデータ分析を基にした「2018年中国携帯電話安全状況報告」によると、同年に同社製のモバイルセキュリティソフトががブロックした迷惑電話の回数は約449億3000万回で、1日平均1億2000万回だった。
頻繁な迷惑電話は人々の日常生活に影響を及ぼすが、発信者不明の着信をすべて拒否すれば、大切な電話に出られないこともあり得る。この問題を解決するべく、「北京十牛科技(Shiniu Technology)」は迷惑電話をブロックし、大切な着信を逃さないようにフィルタリングする製品「ii電話秘書」を開発した。
着信識別、AIインタラクティブ、レポート送信という3ステップにより、着信のふるい分けを行い、通話内容を記録する。各ステップの詳細は以下の通りだ。
着信識別:クラウド端末で発信者番号を割り出し、ユーザーの電話帳、登録番号などと照会して受信すべき電話かどうかを判断する。
AIインタラクティブ:AI音声が自動対応し、、ディープニューラルネットワークで訓練された対応フォーマットに沿って、相手の要件を識別する。
レポート通信:通話音声とテキスト記録をユーザー端末に送信する。
同サービスはすでに微信(WeChat)でサービスアカウントを開設し、アンドロイド版アプリもローンチしている。
同製品の事業スキームは、まず基本サービスを無料にすることでユーザーを獲得し、利益は主にオプションサービスから得るというものだ。十牛科技の伍球CEOは、「ii電話秘書の基本機能は誰にとっても必要なサービスであるため、無料であるべきだ。ユーザーのさらなるニーズはオプションサービスにより満たすことができるようにすれば、それが収入源になる」と語った。
前述の基本機能には、通信事業者に替わる無料の留守番電話サービスや受信通知サービスなどが含まれている。オプションサービスは会員制で、ユーザーは自動音声対応の声の性別やタイプ、呼び名をカスタマイズすることができる。
十牛科技がこれより前に発売したアウトバウンドロボットはすでに、通信事業体や金融系企業などで使用されている。同製品の基礎技術やロジックはii電話秘書と同様で、いずれも音声識別や音声合成、意図理解に関連している。
現在、ii電話秘書は主にオンラインチャネルで販売が伸びており、ユーザー数は5月前時点で10万人に到達し、今年末までに1000万人に到達すると予想されている。
十牛科技には一定数の大口顧客や代理業者がいる。さらにある通信事業者と進めていたプロジェクトが技術マッチングの段階に入り、月内にもサービスを開始する見込みだ。
同社は2018年12月にエンジェルラウンドで数百万元(数千万円)の資金調達を行った。現時点での計画では約2000万元(約3億2000万円)のさらなる資金調達を行い、得られた資金をユーザー管理や市場での販売促進に投じる予定だという。
(翻訳・虎野)
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