テンセントが「ミドルウエア」戦略を強化 CISGマーケティング・マネジメント委員会を発足へ

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中国IT大手テンセント(騰訊)は現在、社内の「ミドルウエア」統合戦略を推進している。

6月4日に社内向けのメールで、グループの市場・広報チームとCSIG(クラウド・スマート産業事業グループ)の市場・広報チームを連動させたCSIGマーケティング・マネジメント委員会を発足させると宣言した。内部関係者が証言した。

メンバーには、総裁、シニア執行副総裁、副総裁、総経理など複数の管理職が名を連ねる。

発起人は、劉熾平(マーティン・ラウ)総裁、湯道生(ダウソン・トン)上級執行副総裁兼CSIG総裁、劉勝義(SYラウ)上級執行副総裁。責任者には、グループの市場・広報部門を管轄する副総裁で、テンセント・ピクチャーズ(騰訊影業)のCEOも務める程武(エドワード・チェン)氏が就任する。グループの市場・広報部門やCSIG市場チームのマネージャー級の幹部は全員、委員会の「管理メンバー」となる。ブランド、市場、広報のポストに就く末端幹部14人は「執行メンバー」となる。

同社内メールでは、総裁の劉氏、上級執行副総裁の湯氏と劉氏が主要メンバーとされ、各氏のコメントも紹介された。テンセントの最高意思決定層が委員会のリソース調整を手掛けるということの表れだろう。

テンセントのデータ・ミドルウエアとテクノロジー・ミドルウエアのオープン化を宣言する湯氏。

「産業のインターネットの理念を取り込み、テンセントのブランドイメージに一段と厚みを持たせ、さまざまな業種や業界のデジタル化を支援するアシスト役をしっかりと務めていきたい」と、劉総裁はコメントを寄せている。

委員会発足の目標として、(1)ブランド観察の仕組み確立、顧客認知度の追跡(2)市場リソースとの連携拡充、ビジネスシーンに合わせた統合型マーケティングの実施(3)テンセントのクラウド・スマート産業事業の特徴を生かしたマーケティングモデルの探求(4)インターネット関連技術による産業のレベルアップに基づいた組織力の構築―が掲げられた。

「テンセントの法人向けブランドとしての地位は向上するだろう。『事業ブランド』から『グループブランド』に格上げすることになる」と内部関係者は語る。

広告掲載プラットフォーム「広点通(GDT)」や「モーメンツ広告」などを使った従来の消費者向け広告は、配信や販売のノウハウがすでに確立されているのに対し、法人向け事業では、掲載媒体の絞り込みや顧客のマーケティング計画の策定、予算や目標の見直しの判断などの課題がある。それに対し、今後は同委員会が重点的に取り組んでいく。

委員会の発足は、テンセントが法人向けのマ―ケティング支援ミドルウエアシステムを構築することも意味している。湯氏が5月21日にデータ・ミドルウエアとテクノロジー・ミドルウエアのさらなるオープン化を宣言したのに続き、「ミドルウエア戦略」のさらなる強化が鮮明に打ち出された格好だ。

CSIGが法人向け事業モデルを選んだ背景として、製品ではなくユーザーを中心に据える方針が透けて見える。これに先立ち、劉総裁は「騰訊全球数字生態大会(TENCENT GLOBAL DIGITAL ECOSYSTEM SUMMIT)」でのスピーチで、ユーザーへの深い理解の必要性を特に強調していた。

テンセントがマーケティング・マネジメント委員会を発足させるのは、今回が初めてではない。2009年にはインタラクティブ・エンターテイメント事業グループ(IEG)でも同様の委員会を発足させており、その規模は当初の30人から1000人近くまで拡大している。今回、責任者に任命された程氏は、このIEGの委員会で手腕を発揮してきた人物だ。

CSIGマーケティング・マネジメント委員会の責任者に就任する程氏。同様の委員会をIEG分野で推進した経験を持つ。

委員会は法人向け事業のマーケティング窓口としての機能を果たすことが期待されている。

テンセントは昨年9月の大規模な組織再編と戦略調整を手始めに、従来の「社内競争が激しい企業」というイメージが法人向け事業にもたらすマイナスの影響を回避すべく、部署間の連携とミドルウエアの構築を推進してきた。今年1月には、社内オープンソースの共有を推進し、開発の重複を避けることを目的として、上級執行副総裁でテック・エンジニアリング事業グループ(TEG)総裁の盧山氏が湯氏と主導してテンセント技術委員会を発足させている。(翻訳・鈴木雪絵)

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