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中国発電動自転車ブランド「VELOTRIC」がシリーズAで5000万元(約9億8000万円)を調達した。出資したのは復星鋭正資本(Fosun RZ Capital)と紅点中国投資(Redpoint China Ventures)。VELOTRICを創業した張曦氏によると、電動自転車ブランドは欧州市場に特化すべきというこれまでの観念を打ち破る気構えで、調達した資金は米国市場での影響力強化に充てるという。
VELOTRICは、電動キックボードのシェアサービス大手「Lime」の共同創業者で中国事業を統括した張曦氏と、Limeのハードウェア開発ディレクターを務めた肖小涛氏、配車サービスなどを手がける中国の大手モビリティプラットフォーム「滴滴(DiDi)」の工業デザイン責任者を務めた孫震氏が共同で設立した。主要メンバーはLime、滴滴をはじめ、台湾の自転車メーカー「GIANT(捷安特)」や、仏スポーツ用品大手「DECATHLON (デカトロン)」など大手メーカーの出身だ。
電動自転車市場は近年、アジア・太平洋地域や北米地域で急拡大している。米市場調査会社NPDによると、電動自転車の米国での販売台数は2021年7月までの12カ月で240%の伸び率を示した。
「電動自転車の世界三大市場は中国・欧州・北米で、中国と欧州は市場が比較的成熟し電動自転車の浸透率も高いが、北米市場は浸透率が低く、現在が急拡大フェーズだ。VELOTRICはこれを事業機会と捉え、新興の北米市場に集中することを決めた」と張氏は述べる。
VELOTRICは成長が最も著しいエントリークラスの製品市場に注目。高品質の製品をすべてのユーザーに手が届く価格にするよう努めている。流用可能なプラットフォームを作って複数の製品を開発・生産し、製品のトータルコストを削減して、極めてコストパフォーマンスの高い製品をユーザーに届けるのだ。
VELOTRICの開発人員は現在30人を超え、駆動用電池・駆動用モーター・電気制御システムや構造部分は完全に自力で開発することで製品性能やコストを最適化させている。また、製品の安全性と信頼性を最優先しており、これまでにリリースした全製品は電動二輪車の電気システムに関する米国の規格UL2849に合格しているが、これは多くの電動自転車ブランドが軽視しがちな部分でもある。
現在、米国では「Discover 1」と「Nomad 1」の2製品をリリースしている。Discover 1はオールラウンド型の通勤用自転車、Nomad 1はアウトドアやアドベンチャースポーツ向けのファットバイクで、あらゆる気候や地形に対応する。
2製品とも航続距離は市場に流通する同型の製品よりも50%長い。VELOTRICの最初の製品であるDiscover 1は発売6カ月で1万台以上、1500万ドル(約20億円)を売り上げ、昨年下半期の業績を大きく伸ばした。
張氏によると、今年は製品ラインナップの拡充と販路開拓に専念するという。また、少なくとも4つの新製品をリリースし、より幅広い需要に応えていく予定だ。
VELOTRICは今年1月からオフライン販路も開拓しており、わずか2カ月未満で約200の代理店と提携を結んだ。向こう2年でオフラインの代理店ネットワークをさらに広げ、提携代理店を3000以上に増やしていく計画だ。従業員も現在の数十人から増やし続けており、生産に関しては天津市・江蘇省・浙江省の3工場と提携を決めている。
(翻訳・山下にか)
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