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6月20日、「2019グローバルeスポーツサミット・テンセントeスポーツ年次発表会」が海南省博鰲(ボアオ)で開催された。テンセント最高執行責任者(COO)の任宇昕氏は開会のあいさつで、中国のeスポーツユーザー数は今年中に3億5000万人を突破し、産業規模は138億元(約2160億円)に達する見込みだと語り、今の中国のeスポーツが、まさに成長期にあることを指摘した。
任氏は、eスポーツが今後の発展するうえで追い風となる3つの要素を挙げた。
一つ目は、政策による後押しだ。2016年には国家発展改革委員会が、eスポーツイベントの開催を支持する立場を初めて公式に表明した。これを受けて、海南省を含む各地でeスポーツを推進する政策が発表された。
今回、海南省は資金、人材、税収、ノービザ、イベント認可、中継放送の6分野で優遇と支援を行う「海六条」という新たな政策を発表した。資金面に関しては、eスポーツ企業の成長を後押しすべく「海南生態軟件園(Hainan Resort Software Community)」が10億元(約156億円)のeスポーツ産業特別基金の設立を計画している。人材については、優秀なeスポーツ選手やハイレベル人材を招致するための海南eスポーツ人材「千人計画」が始動した。
海南生態軟件園は、テンセントのeスポーツ事業部と共同で「海南グローバルeスポーツ・ハーバー」の建設も行う。
二つ目は、eスポーツに対する認識の変化だ。2017年11月に「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」の世界大会決勝が北京の「鳥の巣」競技場で開催されたのに続き、2018年8月にはジャカルタのアジア競技大会でeスポーツがデモンストレーション競技として採用され、2018年11月には「リーグ・オブ・レジェンド」世界大会で中国チーム「IG」が優勝するなど、いまや多くの人にとってeスポーツは身近なものになっている。
この流れを受けて、テンセントは「リーグ・オブ・レジェンド」を運営する「拳頭遊戯(Riot Games)」と共に「騰競体育(TJ Sports)」を設立、eスポーツがNBAやプレミアリーグのような、商業価値がありプロ選手を抱えるスポーツ産業に成長できるよう力を注ぐ。
三つ目は、eスポーツイベント体制が確立されつつあることだ。イベント組織における整備が進み、単なるゲーム競技から、サッカーやバスケットボールのように巨大な商業価値と影響力を持つ新興産業へと様変わりしている。
eスポーツイベントは、さまざまなマネタイズが可能だ。テンセント系の調査会社「企鵝智庫(Penguin Intelligence)」によれば、2018年のeスポーツイベント収入のうち、33.6%がスポンサーやネーミングライツによるもの、26.8%が放送権、16.7%がイベント中継という構成になっている。このほか、都市とのタイアップやハードウェア開発などがeスポーツ経済の新たな成長点になると見られている。
eスポーツの見通しは明るいとはいえ、人材不足という大きな問題も抱えている。2018年のeスポーツ従事者は7万1000人で、実に15万人が不足している。しかも、eスポーツがバスケットボールやサッカーのように広く周知されるには、まだしばらくかかると思われる。
(翻訳・畠中裕子)
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