中国市場で存在感を示す次世代ドローンの日本「エアロネクスト」

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中国市場で存在感を示す次世代ドローンの日本「エアロネクスト」

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ドローンの耐風性の改良、飛行速度の向上、航続時間の延伸はドローン開発企業にとって常に課題だ。現在、市場で出回っているドローンには性能を高める以下の3つの方式が主に用いられている。一つ目は、先進的なドローン製造材料の使用、二つ目は制御アルゴリズムなどソフトウェア面を最適化する技術、三つ目はドローンの構造設計の最適化だ。

ドローンの開発を手掛ける日本企業「エアロネクスト(Aeronext)」が単独で開発した重心制御技術「4D GRAVITY®」は、ドローンのフレーム設計に大きな変更を加えることにより、ドローンの機体性能を向上させた。エアロネクストの創業は2017年4月で、2019年5月に深圳市で子会社の「天次科技(Aeronext Shenzhen)」を設立し、中国市場を開拓している。

エアロネクストは、大半の従来型ドローンのフレーム構造において、飛行を司るプロペラ部分とカメラや荷物などの積載物を搭載する部分が一体になっていることに気付いた。つまり、機体の飛行部が傾斜すると、搭載部もそれに応じて傾斜する。同社が開発した4D GRAVITY®技術はこの状況を一変させた。

この技術はドローンの飛行部と搭載部を分離し、雲台で結合することで、貫通ジンバル構造を形成している。これにより、飛行部と搭載部が互いに独立して位置を変えることが可能になり、ドローンの飛行部が傾斜しても搭載部は傾斜しないようになった。同社の田路圭輔CEOは、「我々の技術の中核は、ドローン動作時の重心を制御することであり、この技術により3次元空間にさらに『重心』という4つ目の次元を追加している」と語った。

4D GRAVITY®技術を搭載したドローンの機体構造 画像提供:エアロネクスト

従来型ドローンの構造では、ドローンが水平移動や加減速、方向転換の動作をする際、機体の傾斜に伴って機体の重心も変化するため、重心位置の変化により反トルクが引き起こされ、機体を前進させる役割を持つ後方モーターの負荷が大きくなっていた。

これに対し、4D GRAVITY®技術を採用したドローンは、水平動作で前方へ傾斜しても重心の位置を一定に保つことができる。それゆえ、後方モーターにも負担はかからず、機体の安定性を向上させられる。これにより、耐風性や飛行時間、飛行速度といったドローンの問題を効果的に解決することができる。

具体的に言えば、

・耐風性:機体の傾斜角度の制御における反応精度は従来型ドローンよりも高く、耐風性もより強化されている。例えば、従来型ドローンが抵抗可能な風速は5メートル/秒だが、同技術により改良された機体は耐風力が15メートル/秒前後まで向上する。

・飛行速度と航続時間:傾斜角度が大きくなっても重心は定位置を維持することができ、モーター負荷の変動も小さい。それゆえ、傾斜の拡大により、速度を向上させることができる。同時にモーターの定格値をより低く設定できるため、燃料の消耗を抑えられる。

上述の特性や優位性により、エアロネクストはすでにVR動画や運輸、などの分野に応用可能なオリジナル設計を開発している。また、4D GRAVITY®技術も直接、従来型ドローンに応用できるという。田路氏によると、同技術は複数のドローンを密着させたり合体させたりして、以前は不可能だった編隊飛行を可能にする。

政府系調査機関「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」の予測によると、世界のドローン市場は今後3年間で成長率が36%に達し、中国の民間用ドローン市場は今後3年間で30%に達するという。その成長性と開発環境を見込んで、エアロネクストは早い段階で中国への進出に踏み切ったと田路氏は語った。同社はまだ成長初期の段階にあり、商品の開発と実用化には多くの実践データによる裏付けが必要であるため、同社の次なる計画は多数のパートナーと共に試験飛行を繰り返し、多くの新たな応用シーンを模索することであり、特に従来型のドローンでは解決できない分野に挑みたいという。

6月21日、同社は中国最大手の産業ドローンメーカーMMC(MicroMultiCopter Aero Technology Co., Ltd.)と戦略提携をし、4D GRAVITY®︎搭載ドローンの中国市場投入に着手すると発表した。(翻訳・虎野)

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