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多様な用途で利用できる新業態のホテルブランド「盒子空間(SPACEBOX)」が、シリーズA+で「浅石創投(Aqua Ventures)」から資金を調達した。今年1月にも浅石創投が主導するシリーズAで約2000万元(約3億1000万円)を調達しており、これまでの調達額は累計5000万元(約7億9000万円)になる。
盒子空間は2017年4月に開業。個人経営の既存ホテルを若者向けに改装し、集客を手がけ、宿泊以外の用途を開拓し、マネジメントを改善するなどして、利用率や客室稼働率を上げている。
昨年末時点で北京、上海、広州、杭州などの一~二級都市で30店以上の既存ホテルをフランチャイズ化している。総客室数は1000室以上で、現在は月500室のペースで拡大中だ。ホテルの立地は学校周辺や商業エリアで、30室以上を備える宿泊施設を対象としている。利用客の多くは25歳以下の地元在住者で、登録顧客数はすでに40万人に達している。利用客の90%以上はSNSの公式アカウントやミニプログラム経由で獲得しており、リピート率は60%を超えている。
盒子空間の空間設計は、3つの基本思想から成る。
1)昼間は空き室になることが多い客室を有効利用する。
2)客室に宿泊以外の多様な用途を持たせる。
3)1階のホール部分を単なるレセプションにせず、別の用途でも利用して運営効率を上げる。
その結果、以下のようなサービスが生まれた。
まずは、客室の時間貸しだ。これにより、客室稼働率は190%に達したという。創業者兼CEOの厳澄峰氏によると、同社は創業初期段階で民家を借りて現在の運営モデルを試している。その結果、時間貸しのシステムは坪売上も高く、RevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)が200~300元(約3100~4700円)に達したという。これは一般的な格安ホテルチェーンの100元(約1600円)を大幅に上回る額だ。
次に、若者向けのサードプレイスとして、多様な機能を備えた空間の提供だ。室内を大々的にリフォームし、パーティーや自習などさまざまな活動に適した空間に作り替えた。UX(利用者の使用体験)を充実させるための施策だが、厳氏によると、施工の難易度やコストコントロールも考慮したという。自社で施工チームを持ち、サプライチェーンの改善も図った結果、わずか30日でホテル1棟のリフォームを完了できる体制を築いた。コストは1部屋当たり1万~2万5000元(約16万~39万円)だという。
最後に、自動チェックイン機能の導入だ。レセプションが不要になったため、そのスペースを飲食店や小売店に貸し出し、利用率と売り上げを上げている。
マネジメント体制は、2~3店の加盟店に対して1人の支配人を派遣し、経営データやサービスの質を管理する。リネン類や消耗品、クリーニングサービスなどは全店共通のものを使う必要はないが、各店が提携するサプライヤーは本部の審査を経て、本部の求める条件を満たす必要がある。
管理の利便性や運営効率の向上のため、各加盟店は盒子空間が独自に開発したPMS(宿泊予約・客室管理システム)およびCRS(集中予約システム)の導入が義務付けられている。PMSは、近隣のホテルの状況を見ながら宿泊料を随時調整するほか、自動チェックインシステムや公安局への直通連絡機能を備える。これらによって、同社は人件費の20%を削減した。
厳CEOによると、全加盟店がすでに黒字化を達成している。現在は次の業態として、コワーキングスペースと宿泊設備を併設した施設の試験運営を始めている。
(翻訳・愛玉)
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